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RNAトリプルヘリックス・ヒドロゲル接着剤で腫瘍を縮小する

2015-12-18 06:20:36 | 癌の治療法
Shrinking tumors with an RNA triple-helix hydrogel glue
December 7, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151207113746.htm

ブリガム・アンド・ウィメンズ病院/Brigham and Women's Hospital (BWH) の研究者は
効率的かつ効果的efficient and effectiveに遺伝子療法を送り届けるための手段を開発し、
それによりトリプルネガティブ乳癌の前臨床モデルにおいて90%近くまで腫瘍を縮小させた

この新しい技術はヒドロゲルhydrogelと自己形成性のナノパーティクルを使う
ヒドロゲルは強力接着剤super-glueのようなゲルであり、2つの溶液が混ざると自発的に形成される
そしてナノパーティクルは腫瘍を抑制して標的にする2つのマイクロRNAから構成される

このプラットフォームは局所的に注入することが可能である
それにより腫瘍のある箇所に用量を増やすことができるようになり、一方で腎臓や肝臓などの臓器に蓄積するリスクを低下させる

この自己形成性のナノパーティクルを含む粘着剤adhesiveがこのアプローチを使ってマウスモデルに注入され、
既存の化学療法薬より強力で、腫瘍細胞に選択的かつ特異的な効果を示し、生存時間を延長した

「癌は全身性の疾患であり全身への治療が必要であると通常は見られているが、今回我々は局所的な治療が非常に強力であることを示す」
首席著者のNatalie Artzi, PhDは言う

「この結果はとても優れたものであり、局所的で徐放性sustainedのデリバリーの強力さを実証する
これは癌治療における遺伝子治療の有望さを示すものだ」

研究者はこのアプローチが他のマイクロRNAや別の種類の遺伝子的な物質、例えばアンチセンスRNAや低分子干渉RNAなどを組み合わせて、癌以外の広範囲な疾患に送り届けて治療するためにも使えることに言及する

次のステップとして研究チームはこの技術をより大きな動物モデルにおいて生体適合性biocompatibilityと効能efficacyに関してテストする予定であり、
プラットフォームの規模を拡大して、潜在的に治療として使えるマイクロRNAと癌の治療法の組み合わせをスクリーニングすることで治療の改善につなげようとしている


http://dx.doi.org/10.1038/NMAT4497
Self-assembled RNA-triple-helix hydrogel scaffold for microRNA modulation in the tumour microenvironment.
腫瘍微小環境においてマイクロRNAを調整するための、自己形成性RNAトリプルヘリックス・ヒドロゲルによる足場

Abstract
マイクロRNAを癌の治療法として使える可能性は、効果的に届けるための手段がないために限定される
今回我々は、
2つのマイクロRNA(腫瘍を抑制する『マイクロRNA』と、腫瘍形成性マイクロRNAを阻害する『拮抗マイクロRNA/antagomiR』)から構成される自己形成性のデュアルカラーなRNAトリプルヘリックス構造/self-assembled dual-color RNA-triple-helix structureが
腫瘍を相乗的に阻止する優れた能力を発揮することを示す

※color: 色、色合い、外見


RNAトリプルヘリックスからデンドリマーへの共役結合は安定した三重ナノパーティクルを形成させ、
これがデキストランアルデヒドとの相互作用上にRNAトリプルヘリックスの接着性の足場を形成する
後者のデキストランアルデヒドは腫瘍で自然に生じる組織アミンと化学的に相互作用して結合する

我々はさらに自己形成性のRNAトリプルヘリックス共役結合体がin vitroとin vivoで機能的なままであり、
トリプルネガティブ乳癌マウスモデルの腫瘍をゲル移植後2週間で90%近く縮小させることも示す

我々の発見は
RNAトリプルヘリックス・ハイドロゲルが有効な抗癌プラットフォームとして使用可能であり
癌の内因性マイクロRNAの発現を局所的に調整することを示唆する



Figure 1: Self-assembled RNA-triple-helix hydrogel nanoconjugates and scaffold for microRNA delivery.
マイクロRNAを送り届けるための自己形成性RNAトリプルヘリックス・ハイドロゲル・ナノ共役結合体と足場

aは『2カラーのRNAトリプルヘリックス』を形成するための3本のRNA鎖の自己形成プロセスを示す
このRNA三重ナノパーティクルは、安定したツーペアのFRETのドナーdonor/クエンチャーquencherとなるRNAオリゴヌクレオチドから構成される

※quench: 火/光を消す、冷却する、力づくで抑える



参考サイト
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/FRET
二つの蛍光分子がごく近接して存在する場合、一つの蛍光分子からもう一つの蛍光分子へエネルギーが移行する事が知られ、この現象をFörster共鳴エネルギー移動(FRET)という。蛍光分子のうち、エネルギーを受け渡す方をドナー、受け取る方をアクセプターと呼ぶ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B6%88%E5%85%89
消光

https://en.wikipedia.org/wiki/Quenching_(fluorescence)
クエンチング/quenching


関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/ba31225fb3f8b2ca8d9732645ddc4c3d
PD-L1を抑制するmiR-34aをリポソームナノパーティクルにより癌にデリバリーする



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151203122211.htm
重炭酸アンモニウムammonium bicarbonateを使ったナノパーティクルを近赤外線レーザー光near-infrared laser lightによって気化させ、癌細胞のエンドソームを破壊してマイクロRNAのmiR-34aを届ける
 

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