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HER2乳癌の抵抗性を回避する新たなタンパク質化合物

2016-06-12 06:06:13 | 癌の治療法
Promising treatment prospects for invasive breast cancer

June 3, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/06/160603071704.htm


(有効成分のDARPins(赤とオレンジ)は HER2受容体(青色)を屈曲させてbend、増殖シグナルが細胞内部(黄色の線から下)に伝達されなくなる

Credit: (c)UZH)

スイスだけで毎年5700人以上の女性が乳癌と診断され、約1400人がこの病気のために死亡する
非常に浸潤性の乳癌の多くでは細胞が表面上にHER2という受容体を持ち、その結果として制御不能の細胞増殖が生じる
HER2受容体を認識するトラスツズマブtrastuzumabやペルツズマブpertuzumabのような様々な抗体が長年乳癌の治療で使われてきた
しかしながら、これらの抗体は癌細胞を絶滅させることはない
そのような治療法は癌細胞を休止状態にして、いつでも再活性化が可能である


なぜ乳癌細胞は抗体による治療に抵抗するようになるのか
Why breast cancer cells become resistant to antibody therapy

今回チューリヒ大学生化学部のディレクターAndreas Plückthunたちが率いる研究チームは、なぜトラスツズマブのような抗体が癌細胞を全滅させるどころか腫瘍の増殖を遅くするだけなのかを発見した

HER2受容体は複数のシグナル伝達経路を同時に使い、成長して分裂すべきだという情報を細胞に伝える
しかし現在利用できる抗体はシグナル伝達経路のたった一つ(PI3K-AKT)を阻害するだけで、残り(RAS-RAF-MEK-ERK)は活性化したままである
そしてこれらの開いた経路で最も重要なものは、RASという中心となるハブを通じてつながっている(RAS-PI3K)

「HER2受容体から発せemitられた成長シグナルを再び活性化する原因は、このRASタンパク質である
抗体は効果を失い、癌細胞は増殖を続ける」
初めて詳細が明らかにされたメカニズムをAndreas Plückthunはそのように説明する


チューリヒ大学の科学者は、癌細胞でHER2から同時に発せemanateられた複数のシグナル全てのスイッチを切るための驚くほど効果的な解決法を発見した
彼らは同時に2つのHER2受容体に対して標的を定めて結合し、そしてそれらtheirの空間的構造を変化させるようにタンパク質化合物protein compoundをデザインした
この『受容体屈曲/receptor bending』は細胞内部に伝えられるはずのあらゆる成長シグナルを阻害し、結果として癌細胞は全滅する

もう一つの利点はこの物質の効果が非常に選択的であるということで、癌細胞は効果的に全滅させるが正常な体細胞は傷つけないまま残すことを保証する
この革新的なタンパク質物質protein substanceはマウスの腫瘍を退縮させ、しかしマウスの健康を危険にさらすことはなかった


非常に効果的なタンパク質化合物はまもなく患者で試験される予定である
Very effective protein compound soon to be tested on patients

この化合物の有効成分active ingredientは、複数の『DARPins(designed ankyrin repeat proteins/デザインされたアンキリンリピートタンパク質)』から構成されている

この生産が容易でかつ多くの望ましい結合性質を持つ新しい種類のタンパク質化合物はPlückthunの生化学ラボで考案されて生み出された
これと非常に似た物質が分割独立spin-offしたチューリヒ大学の企業であるMolecular Partnersによって現在開発されており、その目的はこのメカニズムによって機能する初めての薬剤をできるだけ早く一連の臨床試験で試験することである

Andreas Plückthunは楽観的である
「HER2陽性の癌細胞の『アキレスの踵』が明らかになった今、乳癌のような浸潤性の腫瘍を将来効果的に治療するための新たな機会が訪れつつある」


http://dx.doi.org/10.1038/ncomms11672
Intermolecular biparatopic trapping of ErbB2 prevents compensatory activation of PI3K/AKT via RAS–p110 crosstalk.
ErbB2分子間の二重パラトープ的な捕捉は、RAS–p110クロストークを介するPI3K/AKTの補償的活性化を妨害する

Abstract
AKT-ErbB3ネガティブフィードバックのような補償的メカニズムは、ErbB2依存的な腫瘍の標的治療への感受性を低下させることが知られている

今回我々はトラスツズマブ治療中のPI3K/AKT経路の再活性化につながる適応メカニズムを記述する
これはErbB3の再リン酸化とは独立して起きる

リン酸-ErbB3シグナルの迂回は、ErbB2が過剰発現する細胞ではRAS-PI3Kクロストークを介して作動し、このシグナル迂回は活性化したErbB2ホモ二量体が原因であるattributable

薬理学的な阻害やRNA干渉といった方法によるErbB2/RASとErbB3の二重阻害や、RAS-p110α相互作用を妨害する特定のタンパク質結合によって実証されるように、PI3K/AKT経路の再活性化を防ぐためには両方の経路を阻害しなければならない

※ErbB2/HER2の下流には RAS-RAF-MEK-ERKと PI3K-AKTという2つの経路があり、PI3Kというキナーゼは110kDaの触媒サブユニット(p110)と85kDaの制御サブユニット(p85)から成る

これらの一般的な原則を適用し、我々は二重パラトープの『designed ankyrin repeat proteins(DARPins)』を開発した
これは二量体化する能力がない状態でErbB2を捕捉し/閉じ込めtrap、ErbB2だけでなくErbBの全体的な阻害を引き起こしてentail、発癌シグナル伝達における永続的なオフの状態を作り出す
それにより、ErbB2に依存する腫瘍に大規模な/広範囲extensiveのアポトーシスを引き起こす

このように、ネットワークの頑強さrobustnessの根本にあるメカニズムへのこれらの新たな洞察は、ErbB2/ErbB3を標的とする治療に対する適応応答を克服するためのガイドを提供する


http://www.nature.com/ncomms/2016/160603/ncomms11672/fig_tab/ncomms11672_F10.html
Figure 10: Model of induction of apoptosis and adaptive resistance in response to ErbB2 blockade.
ErbB2阻害に対する適応的抵抗性とアポトーシス誘発のモデル


(a) ErbB2の過剰発現はリガンドがなくてもErbB2とErbB3を活性化するのに十分であり、主にErbB2/ErbB3-PI3K/AKTというシグナル軸により腫瘍の成長を駆動する

このシグナル伝達経路はAKTとErbB3との間のネガティブフィードバックな調節を構成的に抑制する
しかしながら、このシグナル経路はErbB2/ErbB3受容体または下流のシグナル伝達経路の阻害によって軽減されるrelieved

(b) トラスツズマブによる治療は リガンドに依存しないErbB2/ErbB3ヘテロ二量体化に対して選択的に干渉することによって 部分的なErbB2阻害を誘導し、それによりErbB3をPI3K/AKT再活性化から分離する

今回我々はErbB2/RASから生じるemanate新たな適応応答を明らかにした
この応答では、PI3K/AKTシグナル伝達を活性化させるErbB3は迂回される
(AKT↓─┤RAF↑,FOXO↑→ERK↑,ADAM17↑,p27Kip1↑→ErbB3,EGFR転写↑,ADAM17切断によるheregulin/ERG↑)

(c) 二重パラトープのDARPins(6L1G)は、ErbB2のリガンド依存的な複合体ならびにリガンドには依存しない複合体、その全てを妨害する

そのようなあらゆるErbB2の阻害は、PI3K/AKTシグナル伝達カスケードならびに引き続く適応応答を阻害し、ErbB発癌ネットワークを安定したオフの状態にする
結果として、本来備わっているintrinsicアポトーシスが誘発され、適応的な抵抗性の発生を阻害する



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luminal A、luminal B、HER2+/ER-、basal-like、normal breast-like、claudin-low



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