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2014年12月3日

2015-03-08 16:35:51 | 

2番目に多い認知症の潜在的治療法
Potential therapy for second most common form of dementia



アラバマ大学バーミングハム校(UAB)の科学者がJournal of Neuroscienceで発表する研究によると、特定のタイプの神経伝達物質受容体の機能を促進する薬は認知症の2番目に多いタイプの患者に有効かもしれない。

前頭側頭型認知症(Frontotemporal dementia; FTD)は、患者の行動と人格ならびに社会スキルが急速かつ劇的に変化する壊滅的な疾患である。FTDの発病年齢は比較的若く50代半ばから50代後半であり、大抵は人目を引く患者である。予後は厳しく、患者は急速に悪化して通常は発症後10年以内に死亡する。現在FTDに有効な治療薬は存在しない。

UABの研究チームは、微小管関連蛋白質(microtubule-associated protein; MAP)の一つであるタウの突然変異を主に集中的に研究している。タウ蛋白(tau protein)の蓄積は最もありふれた認知症のアルツハイマー病と関連しているが、タウ遺伝子の突然変異がどのようにして特定の脳領域に影響を及ぼし、そしてFTDを引き起こすのかについてはほとんど何もわかっていない。

UABの研究者は、FTDと関連する突然変異を持つヒトのタウを発現する新しいマウス・モデルを用いた。これらのマウスはFTDの患者で観察されるのと似たような挙動、つまり衝動的で過度に繰り返される行動を示す(グルーミングなど)。このマウスでは特定の脳ネットワーク領域でのシナプス/ネットワーク機能も損なわれる。

「タウの突然変異は、NMDAというグルタミン酸受容体が固定する箇所(anchoring site)のサイズを低下させてシナプスを損なう」、神経学部准教授のErik Roberson医学博士は言う。

「固定箇所の縮小は興奮性信号を受け取るシナプスで利用可能なNMDA受容体を減少させ、したがってシナプスの発火とネットワーク活動を制限する。」



研究チームは次にサイクロセリン(cycloserine)を利用した。この薬はNMDA受容体の機能を補助することが知られており、FDAによりすでに承認されている。マウスモデルにサイクロセリンを投与するとNMDA受容体の機能は加速され、シナプスの発火とネットワーク活動は回復した。正常なネットワーク活動の回復は、マウスで観察される行動に関する異常を取り消した。

Robersonの研究チームは、NMDA受容体機能を増加させることが人間のFTD患者に有益である可能性があると仮説を立てている。この仮説はすでに利用可能な薬のサイクロセリンを用いた前臨床試験で検証されるだろう。

学術誌参照:
1.前頭側頭型認知症のマウス・モデルにおいて、タウの介在するNMDA受容体の障害は、選択的に脆弱なネットワークの機能不全の根底にある。

Journal of Neuroscience、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141203185128.htm

<コメント>
前回の記事と関連する内容で、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia; FTD)の原因の一部はタウ(tau)遺伝子の変異によるNMDA受容体の障害が原因かもしれないという記事です。

Abstractによると、マウスにヒトのFTDと関連する変異(V337M)を持つタウを発現させると、繰り返される脱抑制的な(repetitive and disinhibited)行動が加齢依存的に見られ、腹側線条体(ventral striatum; 側坐核と嗅結節。尾状核と被殻から成る背側線条体の対語)ならびにライル島(insula)において選択的にシナプスが障害され、さらにタウの変異によりPSD-95が枯渇してシナプス後肥厚(postsynaptic density)が縮小し、シナプスでのNMDARの局在が障害されたとあります(PSD-95はシナプス後肥厚を構成する足場タンパク質。NMDARのカルボキシル末端に結合する)。

>In the ventral striatum, decreased NMDAR-mediated transmission reduced striatal neuron firing.
(腹側線条体において、NMDARによる伝達の減少は、線条体ニューロンの発火を減少させた)

実験に使われたサイクロセリン(cycloserine)は結核の治療として使われる抗生物質で、Wikipediaの英語版にはNMDARのグリシン結合箇所に結合するパーシャルアゴニストであると書かれています。ブリタニカ国際大百科事典によると、副作用として催眠、精神錯乱、けいれんなどがあるとされています。