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石原軍国都政で教育現場は「命令と処分」の場と化した~憲法違反の10・23通達・予防訴訟~

2012-07-31 | 原発利益共同体 ・ 軍事体制

 ~卒業式での「国歌斉唱命令違反」処分通達・抗議の手記~ つづき。


 (4)その後私はT高校定時制に移りましたが、10・23通達以後7年たった今でも、卒入学式では職務命令が出されます。

 教職員が皆起立すれば、生徒に対しても「起立せよ」という無言の圧力がかかります。この10・23通達は、生徒の自主的判断を許さず、最も大切にしなくてはいけない生徒の心を踏みにじることにつながっているのです。

 Tさんという年配の女性が入学してきたことがありました。彼女は戦前は軍国少女だったのですが、戦後の民主的な流れの中で平和の貴さを実感してきた方です。戦後の混乱の中で高校に行けず、70歳になって定時制高校に入学してきたのです。

10・23通達が出てからの卒入学式に、彼女は在校生として何度か参加しました。その中で、「君が代」斉唱時、彼女は起立しませんでした。ある日、彼女が言うのです。「私は自分の体験からどうしても起立できないのです。でも、その度に一部の参加者や来賓の方が、ものすごい形相で私をにらむのです。怖くなります」と。

 そのTさんは、病気がちな身体を引きずりながら何とか4年を過ごしましたが、「日の丸」「君が代」、及び周りの視線に耐えられないという理由で、4年間の締めくくりとなる自分の卒業式を欠席してしまいました。

 定時性には外国にルーツを持つ生徒も数多く在籍しています。在日コリアンのある生徒は、「『君が代』が流れる場には居たくない」と言って、遅れて途中から卒業式に参加しました。彼らにとって、その行動は本当に辛い選択だったと思います。

私が今教えている生徒たちの中にも、中国やフィリピンなどにルーツを持つ生徒たち、さらに心に様々な傷やトラウマを抱えた生徒たちが増えています。

彼らの心の中に乱暴に踏み込み、教員全員を一様に起立させて圧力をかけ、強制的に「君が代」を歌わせるなど、決してあってはなりません。


 (5)10・23通達以降、喜びであるはずの卒入学式が来る度に、私は辛い思いに悩まされ、ノイローゼのようになります。それに加え、教育の自由を奪う様々な動きの中で、早期退職を何度も考えました。私が知っている教員の中にも、異常な締め付けの中で心身のバランスを崩し、今の都立高校に絶望して教壇を去っていく人が絶えません。

私の場合、毎年のように退職を考えながらも何とか踏みとどまったのは、生徒たちの姿にその都度励まされてきたからです。ある女子生徒は、中学3年間一度も学校に行けませんでした。外出するのはコンビにだけ、あとは引きこもり状態でした。その彼女が定時制に来て友達ができ、今は皆勤で学校に来ています。

ある母子家庭の男子生徒はアルバイトをしたあと定時制で学び、授業が終わるとまた別のアルバイトに出かけ、深夜まで働きます。彼の健康が心配ですが、そうやって母親を必死で支えています。
また、80歳になる女性は、沖縄修学旅行に参加し、ひめゆり資料館で平和の大切さを噛みしめ、体験学習ではカヌーに挑戦、浮き具を身につけて最後まで漕ぎきりました。

成長・発達していく生徒たちの姿は私たち教師の支えであり、希望です。彼らが理不尽な強制を受けることなく、自由な高校生活を全うし、民主的人格を築いて欲しい、その気持ちが私を何とか支えてきたのです。


 (6)退職を前にした今こそ、私は心から訴えたい。10・23通達以降、あきらめと萎縮と無力感が現場を覆いつつあります。教育とは無縁であるべき上意下達と職務命令体制が作り出した、現代の「恐怖政治」です。
卒入学式で、処分を背景に毎年起立することを強制される、あげくに椅子の位置一つ決めるのにも都教委にお伺いをたてなければならない・・一体これが学校でしょうか。本来の教育でしょうか。

教育は、生徒に一方的に教え込むことではなく、生徒からも学び、ともに生きる中で教師自身も成長していく営みです。それらは、圧力による強制からは実現できません。憲法違反の10・23通達が断罪・撤廃され、教師が生きがいを取り戻し、生徒が生き生きと活動する都立高校が再び実現することを、私は疼くような思いで願っています。

 最後に、裁判官の方々には、38年にわたる私の教師としての思いを受けとめていただき、教育の再生につながる判決を、引き続き下していただきますよう、心からお願いする次第です。ありがとうございました。


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 資料
 ①予防訴訟とは?

 行政機関の権力行使に対し、事後では回復できない重大な損害が予想される場合、事前にその予防(事前救済)を求めて起こされる訴訟を予防訴訟という。

 日の丸・君が代を強制する東京都教育委員会(都教委)の通達や職務命令に対して、都立高教員ら228人(06年3月現在約400人)が原告となり、04年1月、都教委と石原慎太郎都知事を相手取った事前救済を求めた訴訟で注目を集めた。

 06年9月21日に地裁判決が出て、原告側が完全勝利した。都側が控訴し、高裁へ。
 2011年1月に高裁判決が出たが、全くの不当判決。原告側が控訴し、舞台は最高裁に移った。

 ②10・23通達とは?

 10・23通達とは、2003年10月23日に東京都教育委員会が卒業式、入学式などで「教職員は会場の指定された席で国旗に向かって起立し国歌を斉唱する」などをこと細かく指示し、「従わない場合は、職務上の責任を問われる」とした通達である。

 実際に起立しなかった教職員には重い処分が出されており、繰り返せば一層重い処分が科せられる。この通達は憲法・教育基本法・子どもの権利条約に違反する違憲違法な通達であり、従う義務はなく、これに基づいて処分することは出来ないとの確認を求めて、2004年1月30日に都立学校教職員が「国歌斉唱義務不存在確認等請求」裁判(予防裁判)を起こした。

 原告は約400名。その後、都教委は、国歌斉唱時の不起立、ピアノ伴奏拒否、生徒不起立の責任などで、436人(2011年3月末現在)もの教職員を処分しており、処分撤回を求める裁判が相次いでいる。


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 あとがきより。

 石原都政の始まりとともに、私は定時制に勤務した。定時制の生徒たちの多くは、ホンネで生きていた。魂のぶつかり合いがあった。そういう環境の中で、私は定時制に「はまった」。しかし、定時制統廃合が吹き荒れる中で、その矛盾は容赦なく現場を打ちつけた。
社会の貧困化は生徒たちを直撃した。「教育の原点」であるはずの夜間定時制は大きく揺れた。教師の私も、あきらめや絶望にうちひしがれた。
 それでも、若い生徒たちには希望があった。はち切れんばかりのエネルギーがあった。彼らと共に生きた12年の日々は、私にとって宝である。拙い文章であっても、この体験を文章化しておきたい。これを単なる「思い出」にすることなく、どう今後に生かしていくのか、私のこれからの課題である。 


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 てことで、とりあえずK先生の今後のご活躍にも期待して。英語レッスンと社会問題のブログしてネ

 定時制の生徒によくいそうな?吾輩ですが自分のペースでやれることをやっていきますので、これからもよろちくお願いします
 


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