今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

シリーズ「ノラと家猫と」 その5 エピローグ・みんなが幸せに 

2018年06月29日 | シリーズ完結:大脱走、「ノラと家猫と」
~本記事は全5話からなるシリーズです~

その4 「奇跡の絆」より続く;

ノラか家猫かと言っても、猫には選ぶ機会がないし権利も与えられない。選べと言っても答えは出せないだろう。でもクウは再び家猫として戻り、灰白くんはノラの世界に戻っていった。自分にはクウが強運の持ち主だと思える。灰白くんは今は潤沢に食にありつけるが、B婦人の容態次第ではとんでもない結果にもなりかねない。もちろんそんなことを灰白くんが知る由もない。

人間社会で暮らす限りそのルールには従ってもらう。と思うのは人間の勝手で、猫の知ったことじゃない。共存するなら譲り合いの精神が必要だが、残念ながら人間にはそれがない。猫の世界にもルールがあるのに、それを無視して自分たちのルールを押し付ける。そして、家猫になればお前たちは安全だぞと脅しをかける。何故なら、人間は地球生物の絶対王者、神の如き存在だからです。

一方知識人と呼ばれる人を中心に、そう思わない人たちも少なくない。先日の新聞でも「5つの自由」と呼ばれる動物福祉の特集をやっていた。その内容は別の機会にしますが、妻の考え方と似ている。欧米では根付きつつあるこの考え方が、動物を器物とした法律を持つ日本ではずっと遅れているのです。地球は人間だけのものではない。人間に邪魔だからと他の動物を駆除するのなら、爆発的に増えて自然を破壊する人間こそ、真っ先に駆除すべき対象なのではないか。

               
              クウ(右向)、キー(左向)とちび太(手前)

でも、だからと言ってB婦人に我慢を強いるのは極論だ。B婦人は本来気遣いのあるとても明るい人。「子ニャンを救え」に出てきたように、貯水池に落ちたキー(当時黄チビ)を「助けてあげて」と頼んできたのもB婦人なのです。しかし婦人が抱える重度の猫アレルギーは、理屈の通じることのない生理的問題だ。いくらノラたちに罪はないと言っても、問題の対象をどうにかする以外解決しない。人間はノラたちのように、嫌だからその場を離れるというわけにはいかないのだから。

ノラの問題、餌やりの問題、地域猫の問題、家猫として保護の仕方の問題、これらの問題はいずれも、B婦人の悩みのように善意の人たちを巻き込んだひとつひとつの問題の集合体であって、その背景には"地球上の他の生物とどう共存していくのか"といった奥深い倫理上のテーマを抱えている。だから、関係者があっち向いたりこっち向いたりしていてはまとまるはずがないのです。

               
                   ちび太(左)とみう(右)

幸い、再び潤沢に食事にありつけるようになった灰白くんの鳴き声はだいぶ小さく穏やかになった。白黄くんとも2匹並んで食べるようになり、喧嘩の唸り合いも殆どなくなった。落ち着いてきた頃、Bさん宅を訪ねて様子を伺ってみた。奥様は不在だったが、会いたくなかったのかどうかはわからない。「うーん、」とBさんは言った。「こっちにとっては家の正面だからね。」「たまに喧嘩の声もするし・・。」 少しは改善したかの問いにBさんは否定的な表情を見せた。奥様の状況が改善してないことが察せられた。当家にとっては裏だが、特別に音がよく聞こえるように配慮していたつもりだったが、やはりBさんには不満なのだ。

灰白くんと白黄くんは交互にわが家の家裏にいるようだが問題は、白黄くんがいるときに灰白くんが来ると追い払おうとするので灰白くんが近寄れない。そして離れたところから鳴くので声が大きくなる。灰白くんは1才そこそこのはずでまだ若く、白黄くんには敵わないらしい。当家にとっての問題は、夜明けから夜更けまで、何度も何度もねだりに来ることだ。食べても20分くらい経つとまたねだりに来る。いちいち対応すれば例の「大食いランキング」で言っても超横綱の遥か上、まるで底なしの胃袋だ。その異様な食欲をいまだに理解できないでいるのです。今朝も4時過ぎに鳴くので飛び起きてあげた。寝直そうとしたら5時前にはまた鳴き始めた・・。

               
            珍しく2匹揃った灰白くん(手前)と白黄くん(奥)

妻と相談して、とりあえず灰白くんを家中に保護することにしました。現在"お友達になろう"プログラム実行中。この2匹、いずれにしてもこの秋が終わる頃までには何とかしようと思っていた。寒くなればソトチビがまたやって来るかもしれないからです。灰白くんのお迎えにはもう1人、いやもう1匹、ニャーにも了解してもらわなければならない。

クウはその後、雨降って地固まるが如くわが家の一員らしくなってきた。まだ到底触れないが、自分が横を歩いても逃げなくなった。そしてご飯時になると全身を足に擦り付けてくる。今はちび太とキーと、子ニャン3匹の破壊力に閉口しています。

               
                  ニャー(奥)とキー(手前)

思えばこのところクウのことで振り回されてきました。しかし他にも問題山積です。ニャーにはついにストレス症状が出始めて、先日は家の中でスプレーをしました。みうの目と耳は再び悪化し、左目の周りは涙?のせいか毛が抜けてしまった。キーとクウは手術の申し込みをしなければならないし、保護者さん探しをスタートするはずだったリンは最近ぷくぷくと太ってしまい、只今思案中です。ちび太は相変わらず元気だがやがり里親さん探しを再び始めるか思案中。お店のテンちゃんは単なる夏バテならまだいいけど、最近は食欲がなくなって元気がない。ダイフクやモドキやミケも見なくなったし、新顔の情報もあります。

先の新聞特集で滝川クリステルさんが言っていました。日本のボランティアさんたちは、目先のことに追われて動物たちとどう向き合うべきか考える余裕がないと。このブログの屋台骨でもある「ノラたちとの共存を目指して」シリーズ。いよいよ佳境に入って、次のテーマは動物たちと人間性という倫理的な考察、その次はノラの幸せという形而上学的な考察です。いまのところまだ頭の中で漠然としていますが、今回の経験で少しづつ姿形が見え始めた気がするのです。

               
               ニャー(上)、リン(下左)とキー(下右)

シリーズ「ノラと家猫と」
その1 灰白くん、白黄くんと地域問題(前編) 2018.6.13
その1 灰白くん、白黄くんと地域問題(後編) 2018.6.15
その2 事件勃発・高齢保護者の限界      2018.6.17
その3 ノラへの道(前編)             2018.6.20
その3 ノラへの道(後編)             2018.6.20
その4 奇跡の絆                    2018.6.28

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