goo blog サービス終了のお知らせ 

長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『モスダイアリー』

2018-11-04 | 映画レビュー(も)

父の自殺により全寮制寄宿学校に預けられたレベッカ(サラ・ボルジャー)。親友ルーシー(サラ・ガドン)の御陰ですっかり学校生活を楽しんでいたが転入生エネッサの出現により、周囲では謎の事件が相次いでいく…。

メアリー・ハロン監督の2011年作はまるで山岸涼子風の幻想怪奇モノだ。元はホテルだったという女子寄宿舎、謎の転校生と怪事件…とゴシックホラーのキーワードが揃う。エネッサ役リリー・コールの人並外れた容姿が際立ち、サラ・ガドンも完成された美貌で花を添える。レベッカ役ボルジャーは『イン・アメリカ』の子役と聞いてびっくりだ。

 元々、寡作の映画監督であったが、ハロンはこの後『またの名をグレイス』まで6年待つことになる。82分という尺では小品という印象は拭えず、プロットを追うだけの収まりのいい展開がやや物足りない。


『モスダイアリー』11・加、アイルランド
監督 メアリー・ハロン
出演 サラ・ボルジャー、サラ・ガドン、リリー・コール、スコット・スピードマン
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『モリーズ・ゲーム』

2018-05-24 | 映画レビュー(も)

こちらもびっくりするような話だ。オリンピック候補のモーグル選手から一転、ハリウッドセレブが通い詰める高額闇賭博ポーカーの主催者となったモリー・ブルームの手記を『ソーシャルネットワーク』『スティーブ・ジョブズ』の脚本家アーロン・ソーキンが映画化した。

自ら脚色も手掛けたソーキンは冒頭からヒロインの頭脳明晰さを怒涛のセリフ回し、編集スピードで表現する。ケガにより競技人生を諦めたが、ロースクールに入れる程の頭脳を持った人だ。闇賭博の熟知も実に理路整然。そして厳格な教育を受けてきただけに義理堅い。彼女はFBIに逮捕されても顧客リストを公開する事はなかった。

 事実は小説よりも奇なり、といった所だが意外と品行方正というか、彼女に破綻した歪さがなく、その実話ゆえの生真面目さが本作の欠点でもある。主演ジェシカ・チャステインは色気タップリの装いでも知性があふれ出るモリーの生真面目さにピッタリだ。前作『女神の見えざる手』同様、配役における性別格差をぶち破る力演だが、『ゼロ・ダーク・サーティ』のようなエグ味が出なかったのは監督の個性ゆえだろうか。

 そしてここでも『アイ、トーニャ』『ボストンストロング』同様、親が不在だ。ケヴィン・コスナー扮する厳格な父はいくら努力しても認めてはくれない。なるべきロールモデルを見失ったモリーを救うのは弁護士チャーリー(知性的なイドリス・エルバ)であり、このもう1人の父親の存在によって彼女は再起していく。決してへこたれない、バイタリティあふれる強さ。モリーはもがき、倒れても再び立ち上がり、次のステージへと向かっていくのだ。

 ソーキンは役者の扱い方もしっかり心得ており、マイケル・セラ(モデルはディカプリオか!?)、クリス・オダウド、そしてこのところ好投の続くビル・キャンプ(『ナイト・オブ・キリング』)らのシーンスティラーぶりにも触れておきたい。


『モリーズ・ゲーム』17・米
監督 アーロン・ソーキン
出演 ジェシカ・チャステイン、イドリス・エルバ、ケヴィン・コスナー、マイケル・セラ、ビル・キャンプ、クリス・オダウド
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする