なつみかんの木々を見上げて

野草大好きなつみかんです。
植物園や身近な場所の植物を紹介します。

古の鯖街道を通って若狭 天徳寺へ~晩夏の若狭・小浜紀行(1)

2022-09-12 05:33:52 | お出かけ

京の都には海がなく、古い時代に都人が海の魚を食するのは最高の贅沢でした。
その海の魚ですが、車も鉄道もない時代には歩いて運ぶしかありません。
日本海に面する若狭湾から京都まで徒歩で丸一日かかったので、魚は塩で締めて運ばれました。
魚を運ぶ行商人が鯖を担いで歩いた道が鯖街道です。
京都に着く頃にはいい塩加減になり、身分を問わず都人はその美味しさに舌鼓を打ったそうです。
鯖街道には2ルートあります。
一つは若狭街道で、京都出町柳から八瀬大原・途中・葛川・朽木経由で若狭町に至るメインのルート。
もう一つは、京都出町柳から貴船・花背・久多・針畑を経由して小浜に至る、最短かつ最古のルートです。
メインルートは現在国道367号線と303号線になっており、快適に山間ドライブを楽しむことができます。
8月末、ようやく取れた夏休みに、この旧鯖街道メインルート経由で小浜に行くことにしました。

自宅からは山科経由で湖西道路に入り、堅田(滋賀県大津市)から国道367号線に入ります。
実はこのルート、子供が小さい頃に朽木の今は無き自然観察施設に通い詰めており、通い慣れた道です。
とはいえ、もう最後に行ってから15年近くになるでしょうか。

懐かしい道の光景はそれほど変わっていませんでした。
途中の花折峠の鯖寿司屋さんもありましたし、葛川の流れも昔のまま。
何度も泊まった朽木グリーンパーク思い出の森も、ちゃんと営業していました。
ただ、以前は朝市が開かれていた朽木本陣はこぢんまりした道の駅に。


8時半から開店だったので、時間つぶしに裏手にある安曇川(あどがわ)へ。


想像していたのとは違い、比較的広い河川敷の向こうに川が流れています。
こんなにのっぺりしていたっけ?
もっと狭い川に清流が流れていた印象があります。
今でも清流なのでしょう、アユ釣りの人が何人か竿を出していました。


道の駅が開いたので農産物即売所でなぜかジャガイモを購入(笑)
先に進みました。
朽木をでてほどなく、保坂の交差点で左折して303号線へ。
(府道と違い、国道の「卒塔婆」はサーモンピンク系です。)


303号線に入るとほどなく鯖街道で一番若狭に近い宿場町である熊川宿が現れます。
「熊川宿は、谷間を流れる北川に沿って発生した集落で、馬や船が荷を運び込める荷次場として発展を遂げました。
今も残る江戸期に形成された町並みは、平成8年に重要伝統的建造物群保存地区に選定され、平成27年に
「御食国若狭と鯖街道」として日本遺産に認定されています。」(熊川宿ホームページより)


そうなんですよ。これから行く、若狭一帯、日本遺産に認定されているんです。
最初のここ熊川宿ですが、まだ9時前で、開いていませんでした(泣)
待ってもよかったのですが、小浜で行きたい場所が沢山あったので、先を急ぐことに。
ここはまた別の機会にゆっくり訪れたいと思います。


未明まで降っていた雨で沢山の水滴が付いたタカサゴユリ。
久々にピンクの筋が沢山見える「ザ・タカサゴユリ」です!


これから向かう小浜は、日本海の玄関口として、古くは飛鳥時代、奈良時代から人々の往来が盛んでした。
大陸から来た人々が伝えた仏教の影響も大きく、多くの寺院が建てられました。
その頃から残る神社仏閣が今に至るまで小浜には多く残り、「海のある奈良」とも呼ばれています。

そうなんです。
今回の小旅行の目的は、そのお寺を巡ることです。
今日から何回かに分けて、これらのお寺やそこでみた花をご紹介したいと思います。

話をドライブに戻します。
303号線の鯖街道の終点は、最初にも書いたように若狭町三宅。
そこから左右に伸びている道路が国道27号線(福井県敦賀市~京都府京丹波町)です。
そこを左折して小浜方面に向かいます。

最初に出かけたのは、小浜市ではなく若狭町にある天徳寺。
途中に看板を見つけて衝動的に立ち寄ることにしました。


衝動的と言いましたが、このお寺と、近くにある瓜割の滝の名前は知っていました。
というのも、以前ハマっていた陰陽師という漫画(岡野玲子作、原作:夢枕獏)に安倍晴明が雨乞いをするシーンがあったから。
忘れかけていた記憶が、一気に蘇りました。

天徳寺は瓜割の滝の手前にあります。
開基は今からおよそ1300年前、白山を開いた泰澄大師が馬頭観音を刻んで宝篋ケ嶽の中腹に安置したことに由来しているそうです。
他に、この辺り一帯に湧き出る水の水神に対する強い信仰によるとの説もあり、確かに歩いていても水の冷気が漂ってきます。
天徳寺は現在は高野山真言宗のお寺となっており、庭園が有名とのこと。


山門を入って寺務所の受付に向かいますが、人の姿はなく「御用の方はブザーを押してください」。
指示通りブザーを押すと、お寺の方が出てきてくださいました。
拝観料を納めて庭園の見学に向かいます。お庭は本堂の中から見ることができます。


こちらがお庭です。
「傑出した作庭技術による」ものだそうですが、私には庭の良しあしがよく分かりません・・・
庭の石がワイルドでした。


庭の隅で咲いていたタカサゴユリの方に目が・・・


お寺を後にし、瓜割の滝に向かうことにしました。
長くなりすぎるので、残りは明日・・・

【撮影:2022/8下旬 福井県若狭町】
※文中の情報は、パンフレット、Wikipediaなどを参考にさせていただきました。


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11 コメント

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おはようございます^^ (attsu1)
2022-09-12 07:06:06
鯖街道、
今日はまた新たな京都を知ることができました。
確かに京都府に海はありますが、都には、海は無い、
昔は、現在の県境と違い、都は、別格のところだったんでしょうね。

安曇川、
これも読めない^^;、あどがわですか、
昔見た景色でも、そのままのところと変わっている所有りますよね。

陰陽師、
聞いたことはありますが、漫画は読んだことないです。
へぇぇぇ、以外な趣味も有ったんですね。
と言う私も、昔は、あれこれ漫画読んでいました^^;
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鯖街道 (fukurou)
2022-09-12 07:24:48
なつみかん様
おはようございます。
鯖街道にしようか?
泊が伴うよね?!
京都一周に決まる前の会話です。
琵琶湖一周が終わりかけた頃、次歩く場所の候補に挙がりました。
今でも若狭から京都までの古道を歩きたいと言う思いがあります。

小浜と言えば中学時代、テントを担いで旅行した思い出の場所です。
河原にでもテントを張ろうと思っていた矢先、ふと立ち寄ったお寺で、住職の奥さんが境内の隅っこならテントを張っていいよと親切におっしゃってくださいました。
夜缶詰で簡単な夕食を食べていると、家のおかずまで差し入れしてくださいました。
次の朝、このお寺はお水送りで有名なお寺だと説明までしてくださって、鵜の瀬と言う場所まで案内してもらいました。
大変お世話になった若狭神宮寺を思い出してしまいます。
二月堂のお水取りの写真を撮りに行ったり、初詣に九体寺さんにお参りに行くようになったルーツだと思っています。
長々と朝から思い出話ですみません!(笑)
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鯖街道 (さざんか)
2022-09-12 11:20:29
こんにちは。
天橋立、伊根の舟屋方面に旅行したとき、オバマの近くをバスで通って、ガイドさんが鯖海道の話を聞かせてくれました。
なつみかんさんの丁寧な説明で、よく分かりました。
若狭一帯、日本遺産になっているんですか。
そんな地域なのになぜ小浜に原発が!
とここで言っても仕方ないですが。
天徳寺のお庭、いわゆる日本庭園とはちょと違う雰囲気ですね。
石がゴロゴロ、なんて言ったら叱られるかな。
爪割の滝とは妙な名前ですね。
先は長そうで、楽しみにしています。
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山があるのに山梨県 (ninbu)
2022-09-12 19:53:53
なつみかんさん、こんばんは。
今日の話題は鯖街道ですね。
京の都には海がなく、古い時代に都人が海の魚を食するのは最高の贅沢でした。
山のない京都と同様の話が、山があるのに山梨県でもあるんです。(笑)

私が山梨県の甲府に転勤で行ったとき、最初に疑問に思ったのがこのことです。
甲府駅の売店に、山梨名物「煮貝」と書かれたお土産が並んでいるんです。
なぜ、海のない山梨県の名物が「煮貝」なのかと驚きました。

地元の人に聞くと、次のような説明があり、納得しました。
 
黒鮑を醤油で煮た高級食品(例として、煮貝150g(3粒)8,600円)で、山梨ではお歳暮にもよく送られます。
海なし県でなぜ鮑が名物になったかというと、今から約400年前、海産物が憧れだった甲斐の人々が、山梨でも海の幸を食べられるようにと、伊豆で獲れた鮑をそのまま醤油に漬けて馬に乗せて運んだことが由来だそうです。

鯖街道沿いの話題も楽しませていただきましたが、懐かしい甲府がらみ魚の話題だけになってしまいました。(^^;)
コメントのボリュームが多くなってしまうので、このあたりで失礼します。
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小浜 (カンサン)
2022-09-12 20:25:40
なつみかんさんへ、小浜には私はオバマ大統領が就任したあとに、行ったことがあります。(^ ^)
遊覧船にも乗りました。
日曜日、六甲高山植物園に行きました。アサギマダラが来ていました。ケーブルカーも修理が終わって動き出しました。キレンゲショウマもまだ見ごろでした。
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駅の名前も (なつみかん)
2022-09-12 21:31:44
attsu1さん、こんばんは。
この距離を徒歩で日本海側から京都盆地まで運んだというのは大変だったでしょうね。
春秋はともかく、冬の寒さで命を落とした人も多かったみたいです。
その代わり、冬に運ばれた鯖は格別のおいしさだったらしいですよ。
すごい贅沢ですね。

安曇川、JR湖西線の駅名にもあるので何気なく読んでいましたが、ひょっとして読めないのではと読み方を付記しました。

陰陽師は一時期すごくハマりました。
映画もみましたよ~
今は憑き物が落ちたみたいに、冷静です(笑)
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鯖街道を行く (なつみかん)
2022-09-12 21:40:54
fukurouさん、こんばんは。
鯖街道、今回はメインルートの国道を通りましたが、私ももう一つの古道にちょっと興味があります。
一部分を車で昔通ったことがありますが、とても細くて荒れた道でした。
(まあ、いわゆる腐道ですね)
今は「鯖街道サイクリングマップ」というのが道の駅などに置いてあって、自転車で走るのを推奨しているみたいでしたよ。
国道を自転車で走っている人が妙に多いと思いましたが、そういう人もいらっしゃるんですね。
マップによると、距離は約75km、高低差は最高で500mくらいのようです。

中学生のときにテントを担いで小浜まで行かれたのですか?
それはすごいですね。
お寺の境内でテントを張ってもいいと言ってくださったお寺が神宮寺だったのですね。
神宮寺は好きなお寺で、多分3回くらいは行ってると思います。
今回は行ってないお寺を中心に回ったのですが、別の機会に鵜瀬と神宮寺はゆっくり行ってみたいです。
(余談ですが、鵜瀬は子供連れの家族が川遊びをしていて、写真になりませんでした。神聖な場所かと思っていたのですが、大らかですね)

fukurouさんの思い出話、楽しく拝見しました。
ありがとうございました!
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お隣ですが・・・ (なつみかん)
2022-09-12 21:46:36
さざんかさん、こんばんは。
やはり福井県の若狭湾といえば、原発が有名ですよね。
私が小学生の時の修学旅行は敦賀の原発の見学でした。
当時は未来のクリーンエネルギーという感じだったのだと思います・・・

それはともかく、小浜は古くから大陸との交易が盛んで、人の交流もあり、思いがけない立派な古寺や、食べ物などがあります。
リアス式海岸の海はとても静かでまるで湖。
ウナギやフグの養殖もおこなわれていて、京都からのグルメツアーなども盛んです。
今回は古寺巡りでしたが、他にも楽しめるところは色々ありますよ~

天徳寺の庭園は、京都市内のお寺の庭園とは違い、なかなかワイルドでしたよ~
いずれにしても、全然知識がなく、それほどの興味もないので、ただただパチリしてきただけです。
申し訳ないです。
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タイトルの意味 (なつみかん)
2022-09-12 21:49:54
さざんかさん、先ほどのお返事のタイトルの「お隣ですが」の説明を書き忘れました。
原発があるのは小浜市ではなく、西隣のおおい町と高浜町です。
東側には美浜原発がありますので、まさに挟まれています・・
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なるほど! (なつみかん)
2022-09-12 21:58:07
ninbuさん、こんばんは。
海のない山梨に、海から貝が運ばれてきたのですね。
貝と言っても、淡水の貝ではなく、海の貝、しかも最高級のアワビとは・・・
こちらは伊豆から醤油漬けにして馬で運ばれたというのですから、輸送費も相当かかるでしょうね。
超高級食材として、もてはやされたというのがよく分かります。
それが現在でもお歳暮として使われているのですね。
(しかも3粒8600円!)

山梨時代のninbuさんの思い出、十分伝わってきました。
そういえば、信州には塩の道というのもありましたね。
海のものを内陸部に運ぶことがどれほど重要だったのか、よく分かります。
懐かしい思い出、大歓迎です(^^)
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一時期有名に (なつみかん)
2022-09-12 22:00:52
カンサンさん、こんばんは~
そういえば、小浜市にはオバマを勝手に応援する会というのがありましたね。
結局オバマさん、来てくださったんでしたっけ。
語呂合わせとはいえ、微笑ましい話だと思いました。

六甲高山植物園にまた行かれたのですね。
お近くですか?
私も行きたいのですが、西向きに高速使うのはハードルが高いです~
投稿、見せていただきますね!
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