
セツ子さんの椅子シリーズとして亡くなった人の依り代とし、ツルや木で椅子を創作して今回で4回目。
今回は去年の5月に亡くなったイサムさんの椅子だ。
イサムさんは野菜や道端の草まで盆栽にしてしまう盆栽作家だ。
植物に対する愛情は人並でない。
付き合いは盆栽園の垣根に咲くどくだみの花をほめたことから始まった。
金生町生活になってからは野草(イエツアオ)展のDMと一緒に年一回むかごを送ることで続いていた。
イサムさんからの手紙の中で”花の取り持つご縁をありがたく思っております”と書かれていたが全く同感だ。
文京区での野草(イエツアオ)展に来てくれていたイサムさんは金生町暮らしになる話をすると”野草(イエツアオ)展を見た後、巣鴨駅前の果物屋さんでむかごを買って帰るのが楽しみだったのに、と言われ送り続けていたのだ。
今回送った後、霊前にお供えしたと遺族の方からのハガキ。
あらゆる植物を盆栽にしてしまうイサムさんの椅子シリーズを創作するには今までの椅子シリーズに使わなかった素材や手法を取り入れなければと強く思った。
いつか植物に対する愛情あふれるあの盆栽園に会いに行くつもりだったのに。
イサムさんの椅子NO1(鳳凰)

山小屋付近で杜松類の朽ちた枝を見つけたのが先日みた平等院展の鳳凰をイメージできた。
鳳凰をイメージできる部分が重過ぎて立てるのが無づかしいので挑戦することにした。
手前は脚になるナツハゼの枝。
去年の4月~8月にかけてカンピザクラや椿、ツツジやモミジの植物園を作るため山小屋付近を整備したときに切った木だ。
おなじくその時採集したツルは使わなかった。

上の鳳凰部分が重いので下の脚部分に石を取り付ける。

それでも軽いので脚と座る部分の間に石を組み込んだ座を作った。
朽ちた杜松の枝の重さに似合う石を組み込むのが難しかった。