フクジュソウを求めて、近くの山の斜面、小川を越えた山裾、遠隔地の廃校跡と、
ここ「ユー地区」内を半日近く歩き回った。
個人的な好みだが、フクジュソウの花は枯れ葉を割って地面から直接咲くような
状況がいちばん画になる。
この日は、どこも茎を伸ばしており花も風雨に晒された様子があった。
一週間前の雪と、それから続いている低温の日々にすっかり初動?が遅くなって
しまった。
お日様も出ていないこんな日に、フクジュソウを訪ねたのにはワケがある。
見慣れていた道内のフクジュソウに種類があることを、最近知ったからだ。
ひとつは一般的なフクジュソウ(Adonis ramosa)であり、もう一つが
キタミフクジュソウ(Adonis amurensis)である。
この地にあるのはどちらの種類か、それを調べるのがこの日の目的だ。
フクジュソウと比較した、キタミフクジュソウの外見上の特徴は、
①葉の裏に軟毛が多く生えている ②花弁よりもがく片が長い
③一つの茎に一つの花を咲かせる(一茎多花ではない)などなど。
そのあたりを念頭に置き、幾つかの生育地を巡った。
【第一地点】
いつもの斜面には、咲き始めたエゾエンゴサクと堅い蕾のニリンソウ。
そこから笹藪を少し登ると黄色く花が開いていた。
葉の裏の軟毛 → (画像でははっきりしないが)あり
【第二地点】
川を渡った斜面を目指す。
河畔に並ぶギョウジャニンニクと、南向きの斜面の行者様。
生育場所で育ち方もずいぶん違う。
株立ちしているが → 一つの茎に花は一つ
【第三地点】
花弁とがく片の関係は?
花びらよりもがく片 → 長い
葉の裏の軟毛は、こちら(右画像)が明らかだ。
三地点を巡っての観察結果は、何れもキタミフクジュソウの特徴をよく留めて
いるように見えた。
ユー地区全体がそうなのか、もっと調査を広げなければ判断できないが、
これまで何となく「フクジュソウ」と呼んでいたものが、突然主張を始めたように
思えてきた。
ネット知識だが、本州以南ではこの二種の他、東北・中部・九州に分布し、
1989年に新種とされたミチノクフクジュソウ(Adonis multifola)、四国の一部に
分布し2001年に新種とされたシコクフクジュソウ(Adonis shikokunensis)
があるという。
日本全体では、四種のフクジュソウが分布域を分けていることになる。
今年の初動日は、フクジュソウが他人でなくなった半日となった。