本書は「アクシデントの沖縄」に続く小説である。そして末吉節子は十数年前に『アメリカンスクールの窓から』というフィクションを世に送り、「褒める教育の実践を教育界に印象づけた作者でもある。
おきなの基地内の小学校での教師生活は著者の生き方を瑞々しいものにした。その末吉が書き上げたのが、文化の違いでの無理解に悩む教師が主人公なのだ。
主人公のユキが長い入院生活から開放され
大好きな子どもたちが待つ学校へと復帰するその日から物語が始まる。「ウェルカムバック」同僚の声が心地よくユキを励ます。
しかし待っていたのは「あなたは教室には行かなくても結構です」という校長のことばだった。「サブが授業をしています」と冷たく追い打ちをかけることば。その日からユキの葛藤が始まった。
アメリカと沖縄、文化の違いはあれどもチム(こころ)はひとつ、を信じていたユキの心を揺さぶる嵐。
子どもたちからもらった入院中の手紙。早く戻ってきての文面が支えだった。なのにどうして、いま、わたしは狭い部屋の窓際に机ひとつあてがわれて座しているのか。あまりにもひどい仕打ちではないか。
ユキは校長のことばを反芻する。「病み上がりだから体罰をしかねない」との教育長の判断だとも言っていた。「どうして?」のユキの叫びを誰が受け止めてくれるのだろうか。
でも、ユキは引き下がらなかった。この辺りから物語の佳境を迎える。異文化の中での実体験者ならではの描写が光る。
これって小説というより事実なのでは?とつい思ってしまう場面も続々登場。見事に描写された会話から、ユキの心情が見え隠れ。節子ワールドへと誘われてみたい方必見です。
新刊を琉球新報で紹介してくれと文化部の方に頼まれて書き上げた。ホッとしている。なかなか本の紹介文は難しいことを実感したが、書き上げたとき、少し自分の文章に満足感もまた覚えた。
「異文化の中で」末吉節子著ぜひご一読ください。
おきなの基地内の小学校での教師生活は著者の生き方を瑞々しいものにした。その末吉が書き上げたのが、文化の違いでの無理解に悩む教師が主人公なのだ。
主人公のユキが長い入院生活から開放され
大好きな子どもたちが待つ学校へと復帰するその日から物語が始まる。「ウェルカムバック」同僚の声が心地よくユキを励ます。
しかし待っていたのは「あなたは教室には行かなくても結構です」という校長のことばだった。「サブが授業をしています」と冷たく追い打ちをかけることば。その日からユキの葛藤が始まった。
アメリカと沖縄、文化の違いはあれどもチム(こころ)はひとつ、を信じていたユキの心を揺さぶる嵐。
子どもたちからもらった入院中の手紙。早く戻ってきての文面が支えだった。なのにどうして、いま、わたしは狭い部屋の窓際に机ひとつあてがわれて座しているのか。あまりにもひどい仕打ちではないか。
ユキは校長のことばを反芻する。「病み上がりだから体罰をしかねない」との教育長の判断だとも言っていた。「どうして?」のユキの叫びを誰が受け止めてくれるのだろうか。
でも、ユキは引き下がらなかった。この辺りから物語の佳境を迎える。異文化の中での実体験者ならではの描写が光る。
これって小説というより事実なのでは?とつい思ってしまう場面も続々登場。見事に描写された会話から、ユキの心情が見え隠れ。節子ワールドへと誘われてみたい方必見です。
新刊を琉球新報で紹介してくれと文化部の方に頼まれて書き上げた。ホッとしている。なかなか本の紹介文は難しいことを実感したが、書き上げたとき、少し自分の文章に満足感もまた覚えた。
「異文化の中で」末吉節子著ぜひご一読ください。