こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

そうだったのかTPP24のギモン Q19,金融って私たちに関係あるの?

2016-10-26 15:01:33 | TPPと私たちの食・農・くらし

A19 金融危機から国民生活を守れなくなります。

 TPPの根本にあるのは、金融も国境の壁を取り払い、資金の流れを阻害することなく自由に流動させる新自由主義の思想です。シティバンクやゴールドマンサックスといった、ウォール街のメガ金融グループが主導する国際金融資金の流れを止めることは、さらに困難になるでしょう。
 こうした勢力が日本で狙っているのは、ゆうちょ銀行・かんぽ生命やJA共済などの資金、さらには年金(GPIF)、日銀マネー、企業の内部留保など、日本が戦後70年かけて蓄えてきた富です。2007年の郵政民営化のときの郵便貯金・簡易保険の資金流出と同じで、TPPはそのバージョンアップといえます。これらの資金が国際金融市場に流出すれば、日本社会の貧困化がより一層進むのは必至です。
 アメリカは第11章「金融サービス」をとても重視しています。最大の問題点は、金融危機に陥った際に、国民生活や消費者を守るために各国政府が行う金融安定化政策(マクロプルーデンシャル措置)を、事実上行使できなくなることです。1997年に起きたアジア通貨危機に対してマレーシアが行った「資本取引規制・固定相場制」や、2008年のリーマンショック後にアメリカで成立した「ドッド=フランク法(ウォール街改革・消費者保護法)」など、自国の金融システムを守る規制が、TPPの下では働かなくなるということです。アメリカ国内でも、金融危機が再び引き起こされる危険性が高まるという批判が出ているほどです。
 加えて、第17章「国有企業」の附属書では、日本だけが留保(例外)を出していません。政府は、日本政策金融公庫など国有企業をすべて民営化し、外国資本の傘下にしても構わないと考えているのです。(和田聖仁)

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そうだったのかTPP24のギモン Q18,かんぽ生命や共済はどうなるの?

2016-10-26 14:59:07 | TPPと私たちの食・農・くらし

A18 民間保険と同じように扱わなければなりません

 第11章「金融サービス」では、金融の定義は「すべての保険、銀行、その他の金融サービス」とされ、「保険」が金融の一つに位置づけられています。「共済」という記述はありませんが、これまでのアメリカや業界団体の主張で「保険」に共済が含まれているのは明らかで、今後、共済に対する意見が寄せられることは十分想定されます。
 アメリカの狙いの一つ目は、日本国内での医療保険市場の拡大です。アメリカはかねてより、かんぽ生命や共済(JA共済、全労済、コープ共済、都道府県民共済など)に対して「民間保険会社より優遇されている」として、金融庁に対し、民間保険会社と同じように共済団体を管理・監督させるよう要求しています。保険会社と同様の基準で運営されれば、利潤第一の経営が求められ、どこの地域でもカバーされるユニバーサル・サービスや、非採算部門などは撤廃されることになり、加入者の立場に立った運営はできなくなるでしょう。
 二つ目の狙いは、共済団体が将来の給付のために積み立てている積立金を金融市場に還流させることです。郵政民営化による「かんぽマネー」が財界や機関投資家、海外投資家の運用財源となったように、共済団体の積立金運用を金融市場に還流させようとしています。
 これまでのところ、TPP協定の中で共済について具体的な取り扱いは示されていませんが、アメリカは1990年代から毎年のようにかんぽ生命や共済に対して規制強化を要求してきており、TPPにおいても「米国側関心事項」として、保険(共済を含む)が位置づけられています。(橋本光陽)

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そうだったのかTPP24のギモン Q17,国民皆保険制度が守られたならだいじょうぶでは?

2016-10-26 14:56:07 | TPPと私たちの食・農・くらし

A17 制度の内側から壊されていくでしょう

政府は、国民皆保険制度を支えている、薬の価格を決めるプロセスは変更されないと言っています。しかし、制度の枠組み自体は変わらなくても、これまでよりさらに「企業寄り」の運用に変わっていく恐れがあります。
 TPP協定の第26章「透明性及び腐敗行為の防止」の附属書では、各国の薬の価格を決めるプロセスにおいて「透明で公正」な手続きを行うよう求めています。保険収載といって、新しい薬や医療機器を保険に適用する手続きを進める際には、「検討を一定期間に完了すること」や「手続規則、方法、指針を開示すること」を求めたり、製薬会社が不服を申し立てることもできるようになっています。
 日米二国間の交換文書(サイドレター)にも、薬の価格の決め方について、外国の利害関係者が政府の審議会に出席することや、意見書を提出できることが定められています。今後、アメリカの製薬企業が「透明性」を盾に、利害関係者として影響を及ぼすようになり、発言力が今以上に強まっていくでしょう。外国の製薬企業の主張に沿う形で、薬の価格制度が運用されれば、実質的に価格決定プロセスが変わることになります。
 さらに、「関連する将来の保健制度」(日本は国民皆保険制度)について「協議する用意があることを確認」したことも明記されました。いつから何を協議するかは書いていませんが、「協議する」という確約をさせられた形です。このまま外国企業の言いなりとなれば、国民皆保険制度が続いても内側から壊され、空洞化する危険があります。(寺尾正之)

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そうだったのかTPP24のギモン Q16,医療制度は変わらないんでしょ?

2016-10-26 14:53:29 | TPPと私たちの食・農・くらし

A16 安価な医薬品が手に入りにくくなります。

 確かに、すぐに「公的医療保険制度(国民皆保険)に関する変更は行われない」かもしれませんが、製薬大企業に有利なルールが盛り込まれました。アメリカの医薬品・医療産業がどれほど巨大かを考えれば自明のことです。各国の交渉で最後まで揉めたのも、薬に関する分野でした。協定文では、薬の特許期間やデータ保護についてのルールが定められました。
 ❶特許期間の延長:新薬は、特許出願から販売承認まで概ね10年かかります。その間に「不合理な短縮」とみなされる期間があれば、その年数分、特許期間は延長されることになりました。政府は、5年を上限とした延長制度が日本にもあると言っていますが、協定文に延長する年数は書かれていません。アメリカが相手では、5年以内に収まる保証はありません。
 ❷データ保護期間:新薬のデータというのは、料理のレシピのようなもので、公開されれば安価なジェネリック薬(後発薬)を製造できます。政府は日本もデータ保護が8年とされているので問題ないと言っていますが、協定文はデータ保護期間を「8年に限定することができる」という表現で、8年に限定しないこともあるという、あいまいな文言です。協定発効後10年で再協議も行われますので、さらに長期化する恐れもあります。
 このように、TPP協定が発効すれば新しい薬の価格がなかなか下がらない恐れが強まっています。これは患者の負担に直結し、保険料の引き上げにもつながります。途上国は新薬のデータを早く開示することを求めていて、「国境なき医師団」も「医薬品入手の面で最悪の貿易協定として歴史に残る」と痛烈に批判しているほどです。(寺尾正之)

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そうだったのかTPP24のギモン Q14,食の安全は守られたの? Q15,検疫がしっかりしていれば大丈夫では?

2016-10-26 14:49:00 | TPPと私たちの食・農・くらし

A14 消費者が求める厳しい規制はできなくなります。

政府は「今後も日本の安全基準が変わるようなことはない」と説明していますが、そうではありません。食の安全を守るために規制しようとすると、明確な科学的根拠が必要になり、消費者は食べたくないものがあっても、ますます避けることができなくなります。
 TPP協定の第7章「衛生植物検疫(SPS)措置」には、SPS委員会という専門委員会が新たに設置され、食品の安全性について検討することが書かれています。ここでは締約国や利害関係者が意見を述べることができ、「リスク分析」という客観的で科学的な証拠に基づく考え方が用いられます。
 これは、輸出国や遺伝子組み換え企業・食品企業などにとって大変都合のいいルールです。例えば、遺伝子組み換え作物など、安全かどうか世界でまだ科学的に結論が出ていないものについても、はっきり危険だと証明する必要が出てきます。ヨーロッパでは「予防原則」といって、科学的に因果関係が十分証明されていない状況でも規制を行う考え方がありますが、こうした慎重な考え方は通用しないのです。
 日本政府は、BSE対策や遺伝子組み換え食品の承認、食品添加物の使用基準、農薬の残留基準などについても規制緩和をどんどん進めています。その背景には、TPPの貿易優先の考え方に沿い、アメリカからの要求に対して日米平行協議で譲歩を重ねたこと、さらには国際機関の甘い基準を重視していることなどがあります。TPPが発効すれば、消費者が求める厳しい規制はこれまで以上に実現できなくなります。(山浦康明)

 

A15 「48時間ルール」では食の安全を守れません。

 現在、日本に入ってくる輸入食品は、平均92時間あまりかけて検疫所でチェックしていますが、TPPでは、48時間以内に検疫を終えて国内で流通させることが原則となりました。
 TPP協定文の第5章「税関当局及び貿易円滑化」には、輸入手続きの迅速化という名目で、「原則48時間で必ず入れなければならない」(原文で“shall”(すべき)と記載)と書かれています。日本政府は例外も認められると説明していますが、この条文が厳密に適用されれば、輸入品をしっかりとチェックできるのか、甚だ心配です。今でも、全国の検疫所で400人あまりの検査官が抜き取り検査(検査率10%程度)を行っているに過ぎないなか、さらに検疫体制がおろそかになることが予想されるからです。
 これまでにも、トマトから基準値を大幅に超える残留農薬が見つかった例がありましたが、判明したときにはすでに全量が消費済みで4万人以上が食べてしまいました。以前は、検疫所で安全性が確認されるまで留め置いていたのですが、近年、貿易優先の考え方が重視されているのです。今後TPPが発効し、さらにグローバル企業が利益を拡大することが重視されれば、消費者の健康や権利は後回しになりかねません。(山浦康明)

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そうだったのかTPP24のギモン Q13,遺伝子組み換え(GM)表示はなくならないのでは?

2016-10-26 14:45:46 | TPPと私たちの食・農・くらし

A13 表示はなくならなくても輸入は増えます

 遺伝子組み換え(GM)表示がすぐになくなることはありませんが、今の日本の表示は不十分です。より厳しい義務表示はできなくなります。
 現在、日本で流通するGM作物は大豆、とうもろこし、菜種、綿実で、これらを使った食品には「大豆(遺伝子組み換え)」などと表示することになっていますが、これを積極的に書きたがる企業はいません。GMと非GMを分別していない(混ざっている)場合は「不分別」と表示することになっているので、実際にはGMを使っているのに関わらず「遺伝子組み換え使用」と書く必要がないという、甘いルールなのです。また、油やしょうゆなど加工度が高いものは表示義務がないなど、抜け道がたくさんあります。
 こうしたなか、消費者からはより厳格な義務表示を求める動きもあります。しかし、TPPでそれはできなくなるでしょう。TPP協定の第8章「貿易の技術的障害(TBT)」には、各国が食品表示のルールを作る際の規定があり、「義務表示」など強制力のある表示を行う場合は、輸出国やGM企業なども利害関係者として関与できる仕組みがあり、必ず反対してくるからです。
 今後GMは、アメリカで承認され話題となったサケなど動物にも広がります。そうしたものに表示義務を課すことも難しくなるでしょう。
 さらに、未承認のGM食品・穀物がわずかに(5%以上)混入していた場合、「違法だから」とアメリカなど輸出国に送り返すことができず、「まず協議する」というルールも作られました。それらを日本が早く合法化するよう、輸出国が要求することも可能になります。日本は、ますます遺伝子組み換え大国への道を突き進むことになるでしょう。(山浦康明)

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そうだったのかTPP24のギモン Q12、国産表示があれば心配いらないのでは?

2016-10-26 14:43:14 | TPPと私たちの食・農・くらし

A12 アメリカでは牛肉の国産表示が禁止されました。

 じつは、アメリカではこれまで、国内法で牛肉や豚肉の原産国表示が義務付けられていました。米国民はどうしても国産肉を買うため、カナダやメキシコはそのぶん、自国の牛肉が売れなくなります。これは輸入肉に対する差別であり、公平な自由貿易を定めたWTOルールに違反するとして、カナダとメキシコはパネル(紛争解決のための委員会)に訴えました。
 2015年5月、パネルの上級審は、「必要とされる記載を超える負担のある表示」、つまり不当な貿易障壁に当たるとして、訴えを認めたのです。アメリカは敗訴し、原産国表示を廃止しなければならなくなりました。
 WTOの判断の元となった規定は、TPP協定の第8章「貿易の技術的障害(TBT)」にも準用されています。つまり日本の農産物も、原産国の表示ができなくなる可能性があることを意味しています。
 産地の表示ができればいいのでは、と考える方もいるかもしれませんが、それも難しくなるかもしれません。第18章「知的財産」では、地理
的表示が「一般名称として日常の言語の中で通例として用いられる言語」(例えば、「新潟県産こしひかり」や「宮崎県産マンゴー」などが考えられる)だと、利害関係者から表示の取り消しを求められる可能性があります。
 また、第8章の附属書にも、食品の包装の表示は「正当な目的で必要なものに限る」「正当な商業的利益が保護されること」とされています。こうしたことから、国産表示や産地表示が海外の利害関係者に不当であるとして訴えられ、日本が敗訴することは十分にあり得るのです。(山田正彦)

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そうだったのかTPP24のギモン Q10 漁業にも影響はあるの? Q11 林業は自由化されているから影響ないのでは?

2016-10-26 14:23:37 | TPPと私たちの食・農・くらし

A10 漁業補助金が出なくなる恐れがあります。

TPPは農業の問題としか考えていない人が多く、漁業者からも不安視する声は聞かれません。これまで日本は、漁港の整備や燃料に補助金を交付したり、漁船を造るために低利な融資を行ったりすることで、沿岸の零細な漁民をかろうじて守ってきました。
 ところがTPP協定の第20章「環境」では、「濫獲(乱獲)や過剰な漁獲能力に寄与する補助金」を規制し、削減・撤廃しなければなりません。政府は、日本は過剰な漁獲に当たらないので、「補助金はなくならない」と説明しています。しかし濫獲とは、「最大持続生産量(総量を減らすことなく漁獲できる最大量)を維持する水準」と定義されており、日本はアジやサバ、イカ、サンマなどを除いて、過剰な漁獲とされる可能性があります。しかもその判断は、国際機関やTPPの小委員会で行われます。参加国のなかに、伝統的な沿岸漁業に理解を示す国は見当たりません。
 もう一つの懸念は、外資系水産会社が漁業権に入札できるようになることです。第10章「国境を越えるサービス」の附属書では、例外は「漁業への投資、または漁業に関わるサービス」だけであり、「漁業」そのものは守られていないと考えられます。イギリスがEUを離脱したのは、沿岸の漁業が外資系企業に荒らされたのも理由の一つだったと報じられています。
 これまで日本の漁業は、いわばセーフガードともいえるIQ制度(輸入上限を定め、それ以上の輸入を禁じる制度)により維持されてきましたが、これも廃止されます。関税も、昆布を除いて即時撤廃または16年かけて撤廃です。このままではひどい打撃を受けるかもしれません。(山田正彦)

 

A11 国産材利用の流れに逆行します。

 たしかに丸太の関税は1964年にゼロになっており、合板の関税も高いもので10%と、すでに自由化は進んでいます。その結果、安い輸入材に押され、2002年には木材の自給率が18.2%まで下がってしまいました。
 しかし、国際的な森林資源や環境保全の動きで丸太の輸入が難しくなってきたことや、戦後植林した国内の森林が成長し、ちょうど利用できる時期になってきたこと、さらには国産材の利用を広げようと振興策が進められていることを受け、ここ数年で自給率は上昇。2014年には31%にまで回復しています。
 TPPでは、今残っている合板などの関税も長くても16年で撤廃されます。そうなれば、合板などの輸入がさらに増え、せっかく回復してきた自給率がまた下がってしまいます。国内の山林が荒れたり、国内外の環境に悪影響を与えたりする心配もあります。
 政府は、木材加工施設の大規模化やセーフガードで影響を防ぐと説明しますが、輸入相手国第3位のアメリカに対してセーフガードはなく、カナダとは4年後にセーフガードの存続自体を再検討することになっています。
 また、地方自治体などで木材の地産地消のために進められている地域材の利用振興策は、「輸入材を差別するもの」としてアメリカなどの企業・投資家からISDS条項で訴えられかねません。
 林業は、地域経済の再生や環境を守るうえでも、今後の日本にとって大切な分野です。しっかりと着目しなければなりません。(坂口正明)

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そうだったのかTPP24のギモン Q9,農産物は例外があるから守られたのでは?

2016-10-26 14:18:03 | TPPと私たちの食・農・くらし

A9 手をつけていない品目がないことを政府も認めました。

 守られたものなど一つもありません。TPPでは、これまでのFTAと異なり、関税の撤廃・削減をしない「除外」や「再協議」の規定が存在せず、すべての農産物が関税撤廃の対象となります。
 日本の農産物のうち高関税のものは、重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)などごく一部にすぎません。これらの重要農産物は、地域や国土の保全、国民生活に大きな影響を与えるため、TPPに関する国会決議は、関税の撤廃・削減をしないことを求めていたのです。しかし、政府はこの決議に反し、重要5品目の29%(170品目)で関税撤廃に合意しました。野党が「無傷のものはいくつあるか」と追及すると、政府は、税率を維持したとするものも含め、すべての品目に手をつけたことも認めました。重要5品目以外では、じつに98%の品目で撤廃されます。
 政府が「例外」とする、即時の撤廃を免れたものには、さまざまな悪条件を押し付けられました。牛・豚肉の関税は大幅に引き下げられ、輸入肉との価格差を考慮すれば実質ゼロで壊滅的な影響を受けます。米、麦、乳製品、砂糖については輸入枠が新設されます。日本は現在、水田面積の4割で減反しながら、WTOの下で年間77万トンの米を輸入していますが、TPPで輸入枠がさらに8万トン近く増えます。輸入が急増した際に関税を一時的に引き上げるセーフガードも発動が著しく難しく、すべて期限付きです。
 さらにとどめを刺すのが、日本だけが農産物輸出国5か国と約束した、発効7年後の見直し協議です。5か国の平均関税撤廃率は99.8%。日本がさらに厳しい譲歩を強いられるのは必至です。(岡崎衆史)

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そうだったのかTPP24のギモン Q8,じゃあ、TPPはどうやったら止められるの?

2016-10-26 13:41:11 | TPPと私たちの食・農・くらし

A8 日米が批准しなければTPPは発効しません。

 TPP協定は、全参加国が2年以内に議会承認など国内手続きを終えられない場合、国内総生産(GDP)の合計が85%以上を占める6か国以上が合意すれば、発効することになっています。このこと自体、GDPが重視された経済大国優先のルールといえます。
 TPP参加国ではアメリカと日本がGDPの8割近くを占めているため、両国とも批准しなければ発効できません。その意味では、日本はTPP発効の鍵を握ります。日本が批准しなければ、アメリカの結果を待つことなく、その時点でTPPは破棄となるのです。
 アメリカでは大統領選を控えTPP反対の声がかつてないほど高まっており、批准の見通しはまったく立っていません。その他の国は、2016年2月の署名後は国民への説明や影響試算などを行っており、またアメリカの批准が見通せない中で早期批准をする必要がないため、2016年8月現在で関連法まで含めて完全に批准した国はありません。
 こうした状況のなか、4月の国会、そして秋からの臨時国会で拙速に批准を進めようとする日本の姿は極めて異常です。十分な説明もなされないまま、批准の手続きを進めさせてはなりません。
 アメリカとEUの貿易協定(TTIP)や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などのメガFTAも、交渉が大幅に遅れています。各国の異なる
状況を無視して企業や投資家に有利なルールを押し付けようとする交渉には矛盾と無理があり、また途上国政府や市民社会が強く反発していることが理由です。日本でも、いのちや暮らし、民主主義の観点からも、「TPPはいらない!」という声を上げ続けることが大切です。(内田聖子)

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