こんにちは「中川ひろじ」です。

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そうだったのかTPP24のギモン Q10 漁業にも影響はあるの? Q11 林業は自由化されているから影響ないのでは?

2016-10-26 14:23:37 | TPPと私たちの食・農・くらし

A10 漁業補助金が出なくなる恐れがあります。

TPPは農業の問題としか考えていない人が多く、漁業者からも不安視する声は聞かれません。これまで日本は、漁港の整備や燃料に補助金を交付したり、漁船を造るために低利な融資を行ったりすることで、沿岸の零細な漁民をかろうじて守ってきました。
 ところがTPP協定の第20章「環境」では、「濫獲(乱獲)や過剰な漁獲能力に寄与する補助金」を規制し、削減・撤廃しなければなりません。政府は、日本は過剰な漁獲に当たらないので、「補助金はなくならない」と説明しています。しかし濫獲とは、「最大持続生産量(総量を減らすことなく漁獲できる最大量)を維持する水準」と定義されており、日本はアジやサバ、イカ、サンマなどを除いて、過剰な漁獲とされる可能性があります。しかもその判断は、国際機関やTPPの小委員会で行われます。参加国のなかに、伝統的な沿岸漁業に理解を示す国は見当たりません。
 もう一つの懸念は、外資系水産会社が漁業権に入札できるようになることです。第10章「国境を越えるサービス」の附属書では、例外は「漁業への投資、または漁業に関わるサービス」だけであり、「漁業」そのものは守られていないと考えられます。イギリスがEUを離脱したのは、沿岸の漁業が外資系企業に荒らされたのも理由の一つだったと報じられています。
 これまで日本の漁業は、いわばセーフガードともいえるIQ制度(輸入上限を定め、それ以上の輸入を禁じる制度)により維持されてきましたが、これも廃止されます。関税も、昆布を除いて即時撤廃または16年かけて撤廃です。このままではひどい打撃を受けるかもしれません。(山田正彦)

 

A11 国産材利用の流れに逆行します。

 たしかに丸太の関税は1964年にゼロになっており、合板の関税も高いもので10%と、すでに自由化は進んでいます。その結果、安い輸入材に押され、2002年には木材の自給率が18.2%まで下がってしまいました。
 しかし、国際的な森林資源や環境保全の動きで丸太の輸入が難しくなってきたことや、戦後植林した国内の森林が成長し、ちょうど利用できる時期になってきたこと、さらには国産材の利用を広げようと振興策が進められていることを受け、ここ数年で自給率は上昇。2014年には31%にまで回復しています。
 TPPでは、今残っている合板などの関税も長くても16年で撤廃されます。そうなれば、合板などの輸入がさらに増え、せっかく回復してきた自給率がまた下がってしまいます。国内の山林が荒れたり、国内外の環境に悪影響を与えたりする心配もあります。
 政府は、木材加工施設の大規模化やセーフガードで影響を防ぐと説明しますが、輸入相手国第3位のアメリカに対してセーフガードはなく、カナダとは4年後にセーフガードの存続自体を再検討することになっています。
 また、地方自治体などで木材の地産地消のために進められている地域材の利用振興策は、「輸入材を差別するもの」としてアメリカなどの企業・投資家からISDS条項で訴えられかねません。
 林業は、地域経済の再生や環境を守るうえでも、今後の日本にとって大切な分野です。しっかりと着目しなければなりません。(坂口正明)

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