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20200208 ゲノム編集の今―何が問題か 河田昌東さん講演

2020-02-08 21:19:34 | 食・農業

2月8日伊那市内において遺伝子組換情報室代表の河田昌東(かわだまさはる)さんのお話を聞いた。以下記憶に残った点を記録しておく。

ゲノム編集の仕組み

従来の遺伝子組み換えは、例えば日本が米国やブラジルから大量に輸入している除草剤耐性大豆は、モンサント社が土壌細菌から分離したラウンドアップ耐性遺伝子を大豆遺伝子の中に組み込んだものである。この際に問題なのは、外来遺伝子の挿入場所がランダムであり、培養した細胞のほとんどが宿主大豆の遺伝子を破壊し有害な突然変異となる。その中から目的の除草剤耐性だけを持つ大豆を拾い上げる膨大な手間と時間がかかる。

これに対し、ゲノム編集は宿主細胞の標的遺伝子を特定し、その遺伝子だけを破壊し、その場所に別の遺伝子を挿入できる技術であり、効率よく遺伝子の改変ができる。

細胞中の遺伝子に変更を加えるためには、さまざまな道具がいる。まずは標的遺伝子を特定し、それを切り取ったり、そこに別の遺伝子を入れ込む「DNA分解酵素」である。そして「DNA分解酵素」を細胞内の核にある遺伝子まで運ぶ「ベクター」と呼ばれるDNAである。このベクターに「DNA分解酵素」をつくる遺伝子DNAを組み込んで細胞を感染させる。感染すると細胞のタンパク質合成能力を借りてDNA分解酵素がつくられ、細胞自身のDNAを分解し、標的の塩基配列を切り取り、あるいは別の遺伝子を挿入する。その後、細胞自身が持つDNA修復酵素によって切断面どうしが再結合・修復されてゲノム編集は終わる。

ゲノム編集の問題点

①DNA分解酵素による塩基配列の誤認が起きる、②細胞一個あたり挿入するゲノム編集酵素の量は、10万~1000万倍使い、これにより標的遺伝子は改変されるが、類似した遺伝子も破壊される、③一個の遺伝子が持つ多様な役割に未解明な部分が多い、④マーカー遺伝子によって抗生物質が効かない体になる

世界に広がる抗生物質耐性菌の脅威と遺伝子組み換え

2019年11月11日ワシントンポスト紙が、「現在アメリカ国では抗生物質耐性菌が蔓延し、年間280万人が感染症患者になり35,000人が死亡している」と報じた。

抗生物質耐性菌の増加の原因

①抗生物質多様の弊害・・・牛や豚、鶏などの家畜は抗生物質漬けとなり、その環境下で細菌は突然変異で抗生物質耐性を獲得する。

②遺伝子組み換え作物の影響・・・ゲノム編集ができた細胞とできなかった細胞を仕分けするため、発光クラゲの発光タンパク質をつくる遺伝子や、細菌の抗生物質耐性遺伝子を使うことによって、ゲノム編集が成功した細胞は暗闇で光り、あるいは培養液に高濃度の抗生物質を入れておけば成功した細胞だけが生き残ることで仕分けをしている。抗生物質耐性遺伝子を持つ農作物を食べた家畜が、体内で分解する際に腸内細菌がこの遺伝子を取り込み抗生物質耐性になる。こうした農作物や家畜物を食べれば人間の腸内細菌も抗生物質耐性になり、感染症の治療に大きな障害を生ずることになる。

また、培養液にラウンドアップを加えると10万倍のスピードで抗生物質耐性菌が発生するということも分かっている。病院や畜産現場で抗生物質使用料を減らしたとしても、世界中の遺伝子組み換え作物栽培現場で抗生物質耐性菌を生み出している可能性があるということだ。

さらに毒物を体外に排出するポンプ機能で、毒物だけではなく抗生物質も排出する結果、複数の抗生物質にも耐性を獲得する多剤耐性菌が登場し打つ手が無くなっているのである。

世界の食糧問題を解決すると称して登場した遺伝子組み換えは、今や世界の健康を脅かす道具になったのである。

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