毅然として、内憂外患に立ち向かう!
5月の連休前半、日米首脳会談に臨む野田総理と共に訪米しました。野田政権が発足して初のワシントン訪問であると同時に、民主党政権の総理大臣として初めてホワイトハウスに招かれることとなった今回の訪米は、私も外交安保担当の総理補佐官として半年以上の周到な準備で臨みました。
日米首脳会談で、野田外交の「アジア太平洋ドクトリン」を公表
結果としては、小泉総理以来6年ぶりの日米共同声明を発出することができ、この2年迷走を続けた日米関係を修復するのみならず、同盟協力を新たなステージへと引き上げることに成功したと自負します。昨夏、野田さんが代表選にチャレンジする以前から、共に外交戦略を練り上げてきましたし、ことに昨年の暮れ以来野田政権の「アジア太平洋ドクトリン」づくりに没頭してきましたので、今回の日米首脳会談において、米国と協力して「アジア太平洋地域の安全保障秩序を構築して行こう」と世界に向かって高らかに宣言できたことに、大きな感慨を禁じ得ません。
国益を守り、国益拡大につながった日中韓サミット
対米関係を安定化させると、日本外交の選択肢は広がります。先日北京で行われた日中韓首脳会議では、我が国が目指してきた日中韓FTAの年内交渉入りに合意したほか、日中間で海洋の危機管理協議の開始、日韓間で安全保障協力の推進に合意するなど、数年前では考えられないような成果を上げることができました。しかも、尖閣や慰安婦問題で日本の主張を一歩も譲ることなくこれらを実現できたことは、特筆に値すると思います。たしかに共同宣言から北朝鮮対応が削除されたことは残念でしたが、却って日韓連携の緊密さと中国の「異質性」が際立つ結果となりました。
これ以上、永田町の混沌を放置することはできない!
さて、このようなダイナミックな戦略外交を展開するためには、内政の安定化がどうしても不可欠です。しかし、夏に向けて、永田町が騒然混沌としてくることは間違いないでしょう。少なくとも、原発再起動、TPP、消費税で、前門の虎(野党)と後門の狼(党内野党)が野田政権の行く手に立ち塞がるに違いありません。しかし、急務である被災地の復興や除染に加え、膨大な財政赤字、長引くデフレ経済、エネルギー不足、電力供給の不安定に喘ぐ我が国に、一刻の猶予も許されないことは火を見るより明らかです。
今こそ、党派を超え「政策断行」勢力の結集を!
日本経済・産業を崩壊させないためにも、重病や救急の患者さんの命を守るためにも、安全性が確認された原発は再起動(※注)しなければなりません。TPPや日中韓FTAなど高いレベルの経済連携をアジア太平洋で積極的に進めて行くためには、農業分野の改革開放政策の断行は待ったなしです。また、持続可能な社会保障制度を構築し、将来世代にこれ以上の借金をツケ回さない財政健全化を実現するためにも、消費税増税の先送りは断じて許されません。今こそ、真剣に、党派を超えた「政策断行」勢力を結集しなければなりません。「未来に誇れる日本」に与党も野党もない。国益と将来世代への責任あるのみです。粉骨砕身頑張ります!
※注:長島昭久のエネルギー政策につきましては、2011年7月16日コラム乾坤一擲「脱・原発依存と日本の未来」を併せてご参照下さい。