もはや無意味な6カ国協議

6カ国協議が成果のないまま休会となった。
予想通りの展開。
20日の衆院イラク支援特別委員会での閉会中審査における質疑でも指摘したが、もはや6カ国協議は、無意味なメカニズムであることが明白になった。

昨年9月の共同宣言のフォローアップが不調に終わって以来、すでにその効用は甚だ疑わしいものであったが、今回の再開は、事前の準備に時間をかけてきた分だけ(実際、麻生外相も、6カ国協議は開催することに意義があるわけではない。急ぐ必要はない、と言ってきたから、開催するとなれば相応の成果が見込めると憶測を呼んでいた)、一部に大きな期待を寄せている向きもあった。

しかし、結局は、徒労に終わったようだ。北朝鮮は、国連制裁などが効いて追い込まれて6カ国協議に復帰したのではなく、余裕たっぷり5カ国を振り回し、堂々と核開発続行のための時間稼ぎに成功した。あとは、核保有国としてのブランドが定着することを待つばかりといったところ。

日米は、今後6カ国協議に応じるべきでない。この枠組みでは、拉致問題の解決も覚束ない。本気で北朝鮮の核開発を止めるためには、米朝直接協議で、94年の枠組み合意IIを締結し、ヨンビョンの核施設を停止させる以外にない。枠組み合意Iでは、少なくとも8年間同施設の稼動は凍結されていた。しかし、2002年の再開以来、年々兵器級プルトニウムが蓄積され、ついには最大10発の核爆弾を保有するに至り、実験に踏み切る余裕が生まれたのである。

この深刻な事態を視野に入れて、数年前から米国内では、米朝直接協議を促す識者の声が大きくなってきた。94年の核危機の際には空爆寸前まで覚悟したペリー元国防長官(民主党)や、最近イラク研究グループ提言を出して脚光を浴びたベイカー元国務長官(共和党)など、いずれも米政府に影響力のある重鎮だ。我が国は、議長国の中国ばかりが注目を集める6カ国協議などにいつまでもお付き合いしていないで、国連制裁の誠実な履行を各国に呼びかけるとともに、核の米朝二国間協議、拉致の日朝二国間協議という実質的に意味のある協議を立ち上げるよう、米政府に働きかけるべきだ。

20日の質疑でも提案したが、イラク安定化のためには、イランやシリア、パレスティナ和平のために日本独自の外交ルートを駆使してブッシュ政権の外交攻勢を促すべきだし、朝鮮半島問題でも米朝直接交渉へブッシュ大統領の背中を押してやるべきだ。それが、真の同盟国としての責務であり、いずれも我が国の安全保障上の死活的な利益が絡んだ問題だ。外交はお付き合いでもなんでもない。国益を見据えて、同盟国に注文をつけねばならない時があるはずだ。そして、ブッシュ政権が中間選挙で敗北し、外交政策全般の見直しを行っている今がその時だと思う。
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