さっき、ピップ君が二階の,お兄ちゃんの部屋から,
ぬいぐるみをくわえて走ってきました。
白いアザラシのぬいぐるみ、「ごまちゃん」以外
あまり興味を示さないのに、めずらしい。
そういえば,10年前,日本から引っ越してくるときに、
当時5歳の息子は大切そうにこのぬいぐるみを抱えていました。
まだ,彼の部屋に、この2匹、おいてあるのですね。
ピップ君、ご丁寧に往復して,2匹とも。
この,ぬいぐるみ、全く同じ、ラブちゃんのぬいぐるみなのですが、
名前を「わんわん」と言います。
息子の小さかったときの、宝物。
そして、心の支え。
何しろ、1歳のお誕生日を迎えて,一週間もしないうちに
終日保育園ですごす、息子でしたので。
彼の通った保育園は,渋谷区のカソリックの教会が運営する
とてもすばらしい先生たちと、環境の、
(いまは環状六号線の道路拡幅のため、庭園がほとんどなくなってしまったけれど)
これ以上は望むべくもない保育園でした。
ただ,一つだけ,保育に必要のないものは持ってこないでください
と言われ、息子はわんわんを連れて行くと抵抗。
ぬいぐるみも、なくなる困るので。と言い渡され,
わんわんは,必死に食い下がった私たちと園側の妥協点として、
廊下の手提げの中に終日入れておくことに。
一日何回かは,廊下に行っては袋の中のわんわんを撫でていましたね。
片時も離さず、この子がいないと、夜も眠れなく,一度ならずも
何度か行方不明になって,そのたびパニックになったので,
スペアのわんわん2号も迎え入れて。
No3の、お宮参りの写真。
手にはしっかり、わんわんが。
なつかしいなあ
3歳になって,野猿のように毎日ドロドロになって庭園で遊んでいた息子の生活は
突然、終わりを告げ,「ブリティッシュ・スクール・イン・東京」
と言うガッコウに、入れられた彼。
英語が全くわからず、朝から午後1時半まで「お机に座る生活」に、
精神的に参ってしまい、チックになったり、戻したり、不安定になってしまった彼。
おそるおそる,学校へ持たせた、わんわん、
先生は「問題なしよ~,みんないろいろ持って来ているし。気にしないで」
と言ってくださり,ほっとした私たち夫婦でした。
「私の宝物」をみんなに見せて,なぜ宝物なのか,説明するという
授業の時も,大いばりでわんわんを持っていきましたね。
その年の学校のクリスマス会では、わんわんも,彼とおそろいの金色の紙で
王冠みたいな帽子を,つくってもらって、かぶって一緒に参加。
入学して,7ヶ月ほど経つと,息子も、だんだん英語も理解し始め、
保育園に戻そうか?
と,真剣に悩んでいた私たちも、一安心。
明るい顔で学校に行くようになりました。
もちろん毎日わんわんを連れて。
そして,学年末。
年度末のレポート,こちらの成績表のようなものですが、
校長先生自ら、手書きのコメントに、こう書かれていました。
「かれと、WAWAは、毎日,ちゃんと学校に元気に来ました。偉かったね....」
なんだか,そのとき私は「イギリスの教育って、わるくないかも」
と感じたのでした。
いまでも,日本でいうと高校一年に相当する息子たちの通う学校に
制服や規則はありますが,
たとえば、息子の友人、ロバートは金髪のロンゲ。
理科の実験ときなど、先生は
「はいっ、ロバートと、髪の長い女の子は、危ないのでゴムで縛って!」
と言うそうです。
頭髪も、ピンクなどに染めない限り、「常識的」であれば
許されるそうで。
私の時代から,こういう部分に、日本では少し変化はあったのでしょうか?
知りたいようで,知りたくない私です。