London徒然草

「ばく」のロンドン日記

お義母さんのゼラニウム

2005-08-31 | ガーデニング
1年前の4月、北ウエールズに一人で住んでいたお義母さんが、亡くなりました。

夫であるお義父様を急な心臓発作で亡くして4半世紀、寝込んで4ヶ月、最後はいっさいの治療も,食事も自ら,拒み,覚悟の最後でした。本当の「Lady」だったと、みんなも言ってくれましたし,私もそう思っています。

いつもとっても,おしゃれで、何よりも家の事やインテリアに関して徹底的な好みがあり,部屋はモスグリーンとピンクで、いつもまるで,インテリア雑誌に出てくるような素敵な家に住んでいました。高齢にも関わらず,ペンキも自分で塗ってしまうし。

そして、猫とガーデニングが大好きでした。本当にセンスの良い人だったと思います。

日本人の私も、娘として心から,受け入れてくれて。

亡くなったとき、夫とその兄弟は、彼女の遺品をほぼすべて処分するという選択をしました。私は食い下がって,彼女が玄関に飾っていた,石でできた、片足をぺろぺろとなめている猫の彫刻を貰い受けました。だって,日本人の私には思い出の品がなにもないなんて,悲しすぎたからです。

そして、その猫は、この2月、うちの玄関から誰かに盗まれてしまいました。後から,玄関におくなんて、と言われましたが,私はこの猫ちゃんが我が家の守り神として、お義母さんと共に、私たちを守ってくれるような気がしたから。

あまりにショックな出来事でしたが,思い出しました。この,深い赤の珍しい色のアイビーゼラニウム。あまりにすてきな色だったので,私がおねだりして彼女から一枝もらったものでした。

まだ,このゼラニウムがあった。と思うと、気持ちも幾分晴れて。



そして、とても絵が,好きで,描く事も趣味を越した腕前でした。亡くなる直前まで,絵画教室にも通っていましたし。
そんなところが、孫娘に受け継いでくれていると良いな。と願うのです。下の娘が描いた,ピップのドローイングです。



もっと、電話したり、会いに行ったり、すればよかった。月並みですが,後悔先に立たずです。
今日は,きれいに咲いているゼラニウムを見て,いろいろとフラッシュバックしてしまって。
明るい晩夏の日差しの中、彼女との思い出を、庭に座って転がす午後になりました。