昨日でしたか「ブラタモリ」で古都・奈良の正倉院の番組が放映されていました。
歴史的な建物をTVを通じて見ながらある本を思い出しました。
ちょっと異質とも思える仏閣建築と書道との関係についてです。
正倉院に限らず、東大寺や法隆寺の夢殿などの仏閣、更に中國の紫禁城など
共通して屋根は緩やかな曲線を描いていることです。
曲線と申せばNHK大河ドラマ「光る君へ」という題字もしなやかな曲線美です。
この書体がゴシック体でしたら紫式部の世界とは思えずイメージが大きく違ってきます。
ご紹介申しますのは中國の言語学者、林語堂(りんごどう)(1895~1976)の著書です。
「中国=文化と思想」
(なるほど、そ~なんだ)ととても勉強になり納得いたしました。
要点を引用しながらのご紹介です。
中國の書道の影響が建築物にまで及んでいる!
仏閣建築では柱の直線と屋根の曲線の対比によって組み合わされているのが特徴です。
真っすぐな死んだ線を嫌う書道の精神が傾斜屋根の曲線に表現されています。
直線と対比して用いる曲線、波状線、不規則な線の応用です。
下記の書体は中国の書道家、鄭孝胥(テイコウショ)の書です。
「官」と「家」の頂部は「屋根」を代表し、字の中央のたわみと中國式の屋根の
湾曲効果になっており、「令」の字の頂部は「人」のかたちで、屋根の上部の線に酷似しています。
そして全体に反りをもたせ、底部で跳ね上がっています。(下記の写真もご覧ください)
「家」の字の中央の曲がった線と他の筆画は頂部にある1点で集中し、互いに巧妙に
平衡を保っています。
エジプトのピラミッドのような直線だけの建造物とは大きく違っています。
(中略)
時々見かける欄干のあるアーチ橋も弧状を描き、自然と調和しています。
例えば錦帯橋のアーチはとても有名です。
今までこうした書体と建物などの関係は考えたこともありませんが説明文を読めば
(ナルホド、納得です)
中国・紫禁城
正倉院
東大寺
夢殿
寺院建築の屋根が普通の民家の屋根のように直線だったらイメージは随分と違ってきます。
中國式建築では骨格は見せるもので、梁や垂木(たるき)も隠そうとせず、これらも建築物の美を
構成する一部にしています。
(確かに西洋建築では外壁で全てを隠します)
中國伝来の芸術の精神は「律動」であり、その律動に対する崇拝は書道からと言われています。
西洋美術では肉体の美を追求した芸術作品が多いことと対照的です。
ムツカシイことを記載しましたが元々、小生には芸術論など不詳ですが建築物の美については
興味があり、引用しながらのご紹介です。
ブログでは要略してのご紹介ということで、ご興味ございましたら林語堂氏の著書でどうぞ。
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