むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦千何連歌(巻35、平成30年10月23日満尾、鎌倉連歌会)

2018年10月29日 | 作品集
       
冷泉為相卿追善 於鎌倉浄光明寺 藤の座    
  (巻34と名残折表第四までは同じです)    
初折表    
発句 声よりもすくなげなれや霧に雁 南天 (注)
古き都も葉をそむる頃 初瀬  
第三 泉には十六夜の月冷えさびて  
第四 色なき袖も風にさやけし 梅豊  
第五 遠き峰流るる雲の宿るらむ 直人  
第六 道づれならぬ旅はいつまで 可矢  
第七 思はずの雪なほつらき今日の朝 和雄  
第八 埋もるままの庭のむら笹 素拙  
初折裏    
第一 軒ちかく小すずめの声にぎはひて 草芳  
第二 野辺のせせらぎ跳ぬる若鮎  
第三 いづくよりおぼろに届く寺の鐘 初瀬  
第四 いやます思ひへだつればこそ 和雄  
第五 時経れど忘るものかは逢ふ日まで 直人  
第六 待つも契りのならひなるらむ 南天  
第七 門鎖さで文もやあるとたたずめり 草芳 かどささで
第八 死なむずるかの岨伝ふ人 そはつたふ
第九 彼の岸に渡る術をばたびたまへ 和雄  
第十 語りあかさむゆきかへる波 可矢  
第十一 由比が浜涼しき月の帯ゆれて 初瀬  
第十二 かすかに吹ける小野の松風 直人  
第十三 友よ来よかつ散る花を惜しまなむ 南天  
第十四 歌を連ねて過ぐす永き日 素拙  
名残折表    
第一 うぐひすの初音聞かばや奥の寺 ヒサヨ  
第二 背戸の端山もいつか霞みぬ 路光  
第三 め見まし春の色濃き杣の里 さう美 とめみまし
第四 いとしき妹の置きし玉章 純一  
第五 なにやらむ衣のうつり香にほひきて 梅豊  
第六 詫び偲びつつ幾夜重ねつ 正謹  
第七 流れゆくうき世とどむる堰もがな 和雄  
第八 願ひ聞きたべ水分の神 路光 みくまり
第九 涼風に茂りいや増す庭の草 さう美  
第十 若葉の映ゆる遠き山々 純一  
第十一 野阜を杖に頼りて登りきぬ 草芳 のづかさ
第十二 谷戸の御寺は露寒の中 正謹  
第十三 望月に虫やさしくも声そへて 梅豊  
第十四 霧のとばりも晴れわたりけり 直人  
名残折裏    
第一 折からに沖たつ雲ぞ標なる 和雄  
第二 しぐるる雨のへだつ細道 純一  
第三 もとほれば凍てし紙子はつらからむ 路光  
第四 手にすくひしは朝の光よ さう美  
第五 さへづりの声にさそはれ開く窓 草芳  
第六 笛の調べはかげろひの先 純一  
第七 武士の都は花もいさぎよし 正謹  
挙句 天のやさしさつつむ国原 直人  
       
(注)冷泉為相卿本歌(藤谷和歌集)
   霧のうへにあまた聞きつる声よりも見ればすくなき雁の一つら
 

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