むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦何手連歌(巻30、平成30年6月9日満尾)

2018年06月23日 | 作品集

初折表    
発句 めもあやに匂ふ緑や夏衣 初瀬  
袂ふくらむ野辺の涼風  
第三 ほととぎす来鳴く田伏に里居して 路光  
第四 小車すぐる道の静けさ 直人  
第五 ほどもなく四方の山雲はれゆかむ 和雄  
第六 秋の千草も折を得つべし 南天  
第七 望月に虫のすみかも照らされて  
第八 光うつろふ露の白玉 路光  
初折裏    
第一 待てしばし潮も船出にかなふらむ 和雄  
第二 流るる先は楫のみぞ知る 初瀬  
第三 恋におち盲の身にはすべもなし 直人  
第四 袖のうつり香人なとがめそ 南天  
第五 初時雨契りの宿は降り避きて  
第六 熾火にこめし思ひいくばく 路光  
第七 古寺のしかも名残の鐘ひとつ 初瀬  
第八 よはひかさねて祈るのちの世 直人  
第九 仏もしわが罪問はばいかがせむ 南天  
第十 かすみがくれに光もる月 梅豊  
第十一 山際をひとつら帰る雁みえて 素拙  
第十二 宮の籬に憩ふ白蝶  
第十三 いとし子に花かむざしを作りけり 草芳  
第十四 こぞの衣手染むる紅色 さう美  
名残折表    
第一 七重八重つもりし文を読みかへし 梅豊  
第二 思ひありその浦の波風 初瀬  
第三 恨みわび過ぐすや隠岐の島かげに 路光  
第四 けぶりも見えぬ里のさびしさ 直人  
第五 かはほりの飛び交ふ空に雨きざし  
第六 菖蒲襲ねの袖笠もがな 南天 あやめ
第七 市中は幟はためきにぎはひて 素拙  
第八 行く道とほくつづく人なみ 梅豊  
第九 我のみや果てなき夢の橋わたる さう美  
第十 踏みみ踏まずみ旅のあとさき 初瀬  
第十一 かはらけに酒注ぐ音聞こえきて  
第十二 庭を流るる白きうす霧 直人  
第十三 雲晴れて月影はゆる池の面 さう美  
第十四 汀の草に置ける露霜 素拙  
名残折裏    
第一 古き蔵続く街並み船着きぬ 草芳  
第二 いざ出迎へて荷をやおろさむ 梅豊  
第三 かづきつけ枯野がさねに風寒し  
第四 雪も降りそむひとすぢの道 直人  
第五 旅の空伴う馬のいななきて 草芳  
第六 そちこち芽ぶく草萌ゆる原 素拙  
第七 なべて世を染めて花さくころとなり 初瀬  
挙句 春のみ苑に宴ひねもす 路光  

賦唐何連歌(巻29、平成30年5月26日満尾)

2018年06月23日 | 作品集

初折表  
発句 竹落葉きのふの風の形見かな
まだひそやかに軒の青柿 和雄
第三 何やらむ鳥の鳴き声きこえきて 梅豊
第四 たどる山路にけぶりひとすぢ 直人
第五 たひらかに峰かげ写す水の面 さう美
第六 舟の白波跡かすかなり 深峰
第七 月清し磯の香りをともなひて 初瀬
第八 尾花かたよる野辺の夕暮れ 南天
初折裏  
第一 宿さして肌寒の中急ぎ行く 素拙
第二 あるかなきかに遠きさをしか 純一
第三 墨にじむ文いくたびもひらきみて
第四 恨みはいつも君が移り気 和雄
第五 枕浮くわが涙さへ知らざらむ 深峰
第六 風のたよりにかよふふたみち 南天
第七 しるべ絶えゆくすゑ迷ふ神頼み 素拙
第八 憂き世忘るる白雪の里 純一
第九 初瀬の山鐘も響くや音さえて 初瀬
第十 あまねく照らす月こほるらむ 直人
第十一 宮人の襲の色目あてやかに
第十二 みゆきの輿の旅の永き日 和雄
第十三 詠む歌に花のひともと見まくほし 南天
第十四 初うぐひすはまどひ去にけり 深峰
名残折表  
第一 もののふの弓弦のわざはたへなれや 純一
第二 習ひ覚ゆる先ぞけはしき 素拙
第三 色好み恋の玉章こころ得て 直人
第四 もじの関にも雪のさまたげ 南天
第五 ねむごろに語りし宵も幻に 和雄
第六 横雲分かつ峰ぞつれなき
第七 それとみて心まかせの旅の空 初瀬
第八 卯の花くだす雨ももの憂し 路光
第九 時鳥ただ一声に影うせて 直人
第十 あらためて知る風の涼しさ 和雄
第十一 笹深き広野の路を踏みながら 南天
第十二 時の流れを誰かとどむる 初瀬
第十三 遠山よへだて隠すな沈む月
第十四 小夜ふくるまま衣露けし 路光
名残折裏  
第一 ここかしこあきつ遊べる柞原 和雄
第二 芒の波を愉しむも今 南天
第三 瀬の色に冬の近きを思い知る
第四 棹のしづくも響く静けさ 初瀬
第五 百鳥のさへづる苑をよそに見て 路光
第六 のどけき里ぞはやもくれゆく 直人
第七 盛りなる花を手をりて帰るさに 南天
挙句 なほかげろひのはるかなる丘 和雄