むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦何方連歌~猪苗代兼載翁追善花の下~(巻91、半世吉、令和5年4月25日満尾)

2023年04月25日 | 作品集

(満福寺境内の桜)

初折表    
発句 久に合ふほゝ笑み交はす花の交 裕雄  
みな萌えそろふ草の武蔵野 南天  
第三 ももちどり色音はなほもあやなして 和雄  
第四 はるけき山にかゝる白雲 ヒサヨ  
第五 旅の舟いづちをさして急ぐらむ 純一  
第六 真帆に追風を受けて初汐 路光 おひて
第七 すみのぼる松原ごしの望の月 草芳  
第八 秋も今はの鳴き弱る虫  直人  
初折裏    
第一 庭の面に小雨のふるも静かなり 梅豊  
第二 暇をかこちてはげむ槻弓  
第三 あなにくや恋のかたきに左袖 初瀬  
第四 結びとどめよわが魂の糸 弓子  
第五 ふみもみぬ雪ならなくにしらじらし 南天  
第六 くゆる烟は嶽にいつまで 和雄  
第七 音のみする木の下闇のほとゝぎす ヒサヨ  
第八 むかしをおもふ我が身かはらじ 純一  
第九 頼めども来む世の契ものはかな 路光  
第十 かたへ朧に須磨の月影 梅豊  
第十一 浦伝ふ風うらうらとうちすぎて 直人  
第十二 まだし山路は下萌えの頃 草芳  
第十三 香をだにも常磐に残せ梅の花  
第十四 春の盛りののどかなるべし  初瀬  

(注)発句は鶴崎裕雄先生より頂いたもの。


賦何心連歌~猪苗代兼載翁追善花の下~(巻90、令和5年4月15日満尾)

2023年04月15日 | 作品集

(兼載翁墓所)

初折表    
発句 花ざかり一葉くもらぬ木ずゑ哉 心敬  
河辺の浪のかゝる若草 興俊  
第三 遠山の雪解の水やさやぐらむ 路光  
第四 それと見しまに帰るかりがね 純一  
第五 風荒ぶかど田の道を旅立ちて  
第六 野にはみながら暮れの薄霧 和雄  
第七 月は今雲よりいでてすみにけり 初瀬  
第八 すゝきのなびく影ぞさびしき 草芳  
初折裏    
第一 さを鹿の鳴き声響く岨伝ひ 弓子  
第二 秋のしぐれや奥山にする 梅豊  
第三 逢はぬ身は心もさのみはれやらで 南天  
第四 ふた道ゆくと聞くはまことか 直人  
第五 御仏のをしへをこはむこりずまに 純一  
第六 糸竹の音を学ぶ楽しみ ヒサヨ  
第七 なつかしき氷室の風に袖ゆれて 和雄  
第八 盃巡る月の涼しさ  
第九 友よいざこの高殿にうた詠まむ 路光  
第十 うきよはよそと舞へるひとさし 初瀬  
第十一 をりからの雨に鎮まる布留の山 草芳  
第十二 おぼろに見ゆる杜の玉垣 弓子  
第十三 梅が香を夕くれなゐは匂はせて 梅豊  
第十四 そこともしらぬ鶯の宿  南天  
名残折表    
第一 老が身をおく庵だにあるものを 直人  
第二 わが父母の百世いきませ 純一      ももよ
第三 をりをりに浮かぶる舟の大堰川  ヒサヨ       おほゐがわ
第四 峡また峡の奥ぞ水上 和雄  
第五 道ならぬ思ひの果てにさすらひて  
第六 髪に霜降るほどの恋病み 路光  
第七 下帯も心もとけぬもどかしさ 初瀬  
第八 君がしゝまをわすれやはする 草芳  
第九 風吹けば萩のこぼるる鄙の家 弓子  
第十 秋いろふかき野路の玉川 梅豊  
第十一 羽音して汀を鴫や立ちぬらし 南天  
第十二 夕暮れの空袖ぞつゆけき 直人  
第十三 三日月のほのめく光は山の端に 純一   かげ
第十四 いづこかとまり果てぬ篠原 ヒサヨ  
名残折裏    
第一 時雨ゆく雲やはるけき標ならむ 和雄  
第二 雪の吹き入る宿の隙々  
第三 はなれ磯の藻塩たく火の香のみして 路光  
第四 沖より寄する東風のさざなみ 初瀬  
第五 あやなくも胡蝶を追ひて山野辺に 草芳  
第六 弥生の空を跳ぬる若駒 弓子  
第七 またや見む花も錦の糸ざくら 梅豊  
挙句 霞の袖を引きも止めまし 南天  

(注)発句は心敬の『芝草』、脇は興俊(若年の兼載)の『河越千句』による。