むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦花何連歌(巻92、令和5年6月6日満尾)

2023年06月06日 | 作品集

(六義園内 妹背山、路光寫)

初折表    
発句 風はなほ縁てまねく皐月かな 初瀬  
木の下闇の深みゆく森 和雄  
第三 松かげにほととぎす鳴く朝のきて  
第四 おぼつかなくも急ぐ旅立ち 純一  
第五 せせらぎに脛なかばまで漬つるらむ はぎ
第六 岸に休へばすでに白露 路光  
第七 山の端に残る有明影すみて 直人  
第八 柴の庵に秋のおとづれ ヒサヨ  
初折裏    
第一 野分だつ昨日の萩は散りにけり  
第二 いつしか消ゆる中空の雲 純一  
第三 燃え上がる思ひに文の濡ればみて  
第四 別れを告ぐる言の葉ぞうき 直人  
第五 道ならぬ恋の逢瀬のいくそたび 路光  
第六 かたしく袖の夢は恨めし  
第七 戯れの世を捨て頼む法の舟 ヒサヨ  
第八 流れも清き瀧の水上 深峰  
第九 音に聞く旧りにし宮の跡やこれ 南天  
第十 うさぎもわかぬ雪のみよしの 初瀬  
第十一 吹く風に出づる三日月冴えはてて 典子  
第十二 心安きは里のはらから 弓子  
第十三 語らへば花や今しと匂ふらむ 和雄  
第十四 霞の衣かざす佐保姫 純一  
名残折表    
第一 うぐひすの来鳴く社にくつろぎて  
第二 空もうららに歌ぞつらぬる 直人  
第三 四年ぶりきほひて集ふ友はよし  路光 よとせ
第四 過ぎにし方をわかぬおもかげ  
第五 馴れ掬ぶ深筒井つの仲なりき ヒサヨ  
第六 世々の契りをさやは忘るゝ 南天  
第七 くれ竹のうきふしのみを形見とて 深峰  
第八 衣に移る古き墨が香 典子  
第九 みほとけとこもるひと夏ひたすらに 初瀬  
第十 心の塵をすすぐ室の戸 和雄  
第十一 荒息に山の石路のぼり立ち 弓子  
第十二 橋も朽ち果て遠き谷の湯  
第十三 めづる月杯また川にたゆたひて 純一 つき
第十四 露の宿りと見しや現し世 路光  
名残折裏    
第一 時雨すぎ紅葉の錦あざやかに 直人  
第二 片雲よきて渡るかりがね ヒサヨ  
第三 別れをば我が友とする旅の空  
第四 故郷したふ北風ぞ吹く  深峰  
第五 言問ふも峰はさらさらこたへずて 南天  
第六 まづとけそむる雪の下水 初瀬  
第七 見るほどにほのかに開く花ざくら 典子  
挙句 春日を遊ぶ苑のてふてふ 弓子