むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦何垣連歌(巻45、平成31年4月13日満尾)

2019年04月13日 | 作品集

初折表    
発句 花待つやあはれ知るらむ雨の声 梅豊  
さみどり匂ふ庭の下萌 直人  
第三 山里はをちこちこてふたはぶれて 初瀬  
第四 霞の絶え間小舟ゆく川  
第五 水面吹く風ぞ衣をひるがへす 素拙  
第六 あるか無きかの砧打つ音 純一  
第七 出でし月今宵いづくにやどるらむ 草芳  
第八 萩の上葉に置き添ふる露 さう美  
初折裏    
第一 蓑笠をくくりし駒と関越えて 弓子  
第二 都の景色永遠に忘れじ 素拙 とはに
第三 日の本はみそひととせの世ぞ替る  
第四 誰が四つの緒や調べ涼しき さう美  
第五 ほととぎす雲居の上を過ぎ行きて 直人  
第六 しとど濡れたる残り香の袖 純一  
第七 ひれ振るは外つ国向かふ背の君に 弓子  
第八 唐土舟の泊る松浦  
第九 藻塩焼く磯に冷たき風吹きて 初瀬  
第十 波にただよふ冬の望月 梅豊  
第十一 彼の岸に渡る日を待つ夜毎に 直人  
第十二 朧に響く三井の鐘の音 素拙  
第十三 山桜遊びやせむと散りにけり 弓子  
第十四 童らつどふ陽炎の丘 純一  
名残折表    
第一 うすくこくたなびく雲の流れきて 初瀬  
第二 行方定めぬ憂さ払ふ道  
第三 恋ひ恋ひて逢へぬこの世のわびしさに ヒサヨ  
第四 今も浮かぶは君のおもかげ 梅豊  
第五 黒髪にふれし指先忘られで 直人  
第六 玉の緒と見る沢の蛍よ 初瀬  
第七 旅長しほのゆるる灯は漁火か  
第八 風の便りも聞かでいく年 可矢  
第九 手の小窓開けば世々の裏表 和雄  
第十 友どち偲ぶすべもあれかし 路光  
第十一 故郷の荒れ果つる様言葉失す 素拙  
第十二 もみぢの映ゆる遠き峰々 梅豊  
第十三 大寺のいらかにかかる月明かし さう美  
第十四 鐘のこゑさへいと澄みにけり 初瀬  
名残折裏    
第一 すめろぎの四方に行幸を繰り返し  
第二 やまとうた継ぐきさきおはせり 和雄  
第三 白鶴の舞へる雲井のはるけさよ 可矢  
第四 袖ふる方にそびく山並み 路光  
第五 ほのぼのと明けゆく空に旅立ちて 梅豊  
第六 風やはらかにうららけき頃 初瀬  
第七 時や今花のつぼみも膨らみぬ 素拙  
挙句 弥栄いのるむさしのの春 和雄  

 


4月3日 恒例の古河「花の下連歌」を開催しました

2019年04月07日 | 近況

むさしの連歌会では、毎年この季節、古河の満福寺において、猪苗代兼載翁を偲び「花の下法楽連歌」を張行しています。この日は、少し風が寒いものの、よく晴れ上がった花日和。地元古河のメンバーを含む「むさしの連歌会」の総勢十数名に、お忙しいなか遠くから駆けつけて下さった鶴崎裕雄先生ほかのゲストを加え、にぎやかに連歌の集いを催すことができました。 

満福寺は、室町時代後期に、時の古河公方=足利成氏(しげうじ)によって開かれた古刹。そこに、猪苗代兼載翁のお墓があります。兼載は宗祇とともに「新撰菟玖波集」の編集にかかわった人。そう申し上げれば、国文学を勉強した方ならばお分かりいただけるのではないでしょうか。 

兼載は、1452年に会津の猪苗代家に生まれ、応仁の乱を避けるため関東へ来ていた心敬に、連歌を学びました。それから京に上り連歌・和歌等の研鑽を積んで、宗祇の次の北野連歌会所奉行に就任。当時の連歌界の中心にいた人です。 

兼載は、もともと関東・奥州に縁が深かったのですが、古河との縁は、晩年、足利政氏のもとに身を寄せ病を養ったことで極まります。1510年に亡くなり、ここ満福寺に葬られました。兼載は、ことのほか桜の花を愛していたとか。今もその供養碑には、後の人が植え継いだ見事な桜が枝垂れかかっています。

  

 (注)碑文「永正七庚午六月六日卒 耕閑軒法橋兼載翁墳 花散りて名のみ残るや墳桜」 

 

連歌会は、先ずご住職の敬祷のもと、池田代表以下の参加者が、兼載翁の供養碑に線香を手向けることから始まります。それぞれ心の中で、連歌の上達、あるいはこのように楽しい連歌のつながりを築いてくれた大先輩への感謝を念じたことと思います。 

 

 

そして昼食を取り、ご住職心づくしのお菓子等をいただきながら、二座に分かれて世吉を巻き上げました。今日初めて連歌を詠んだという人もいましたが、見事な付け。喝采の声が上がっていました。 

それから本堂で、巻き上げた連歌を奉納しました。最後は、鶴崎先生からのご挨拶。「来年の大河ドラマは明智光秀が主人公なので、これを機会に広く連歌のことを知ってもらおうと思っている」、「現代に連歌が根付くためには新しい人の参加や各地の交流が不可欠なので、古河や鎌倉での連歌会張行はとても嬉しい」とのお言葉をいただきました。 

帰路にはもう一度、山門の見事な花を眺めました。今もここに連歌会が続いていることを、兼載翁が喜んで下さったら幸いです。

 

 

 

 


賦何人連歌(巻44、平成31年4月3日満尾、古河花の下法楽連歌、わたらせ座)

2019年04月07日 | 作品集

初折表    
発句 咲き盛る花や主の寺の庭  
渡る瀬の面に匂ふ若草 路光  
第三 帰る雁かすみの波を越えゆきて 和雄  
第四 をち方山に残る白雪 直人  
第五 都へと風をしるべに旅立たむ 梅豊  
第六 もなき秋の夕ぐれ 可矢 はなむけ
第七 破れ衣月を伴とし酌む酒に 弓子  
第八 とはに続くかすだく虫の音  
初折裏    
第一 きざはしに足結の鈴はとどまりて 直人 あゆひ
第二 甍の空にひとひらの雲 可矢  
第三 もののふは努むるものぞ朝にけに 路光  
第四 君の許へとなびけ黒髪 弓子  
第五 今はただながき思ひをいかがせむ 梅豊  
第六 語りも尽きぬ柏木の苑 和雄  
第七 涼風のわたる汀をたどり来て 直人  
第八 光りてゆくは鮎か水泡か 可矢  
第九 年ふりて徒しく過ぐす日ぞ多き  
第十 産土神に出づる凍て月 弓子  
第十一 やうやうに改まる御世影見えて 和雄  
第十二 こころありげにあそぶ糸遊 梅豊  
第十三 またや来む桜綻ぶ吉野山  
第十四 ならび蝶々いこへ一時 路光  
名残折表    
第一 忘れ水広野のいづく流るらむ 可矢  
第二 かくせし思ひ色に出でけり 直人  
第三 さればこそ浮名の立つも数しれず 和雄  
第四 身をすてゆくも君ゆゑにとぞ 梅豊  
第五 山深き寺に法説く声ありて  
第六 旅の衣にかかる五月雨 ヒサヨ  
第七 湯の宿に重き荷置けば待つ守宮 弓子 やもり
第八 卯の花垣もあはきたそがれ 可矢  
第九 たらちねの心弱きを勇めつつ 和雄  
第十 氏の社にいざや参らむ 路光  
第十一 和みゆく風平らかに世はふりて 典子  
第十二 流るる霧にあらはれし山 直人  
第十三 空はれて長谷の御寺に望の月 ヒサヨ  
第十四 露にしだるる紅白の萩 可矢 べにしろ
名残折裏    
第一 たもとほる里廻に裳裾濡るるらむ 弓子  
第二 声たをやかに庭の遣り水 和雄  
第三 朝影に氷面の鏡はうち澄みて 路光  
第四 ふかき山峡雪ぞ降りつむ 典子  
第五 遥かなる道を思ひて仮枕 ヒサヨ  
第六 心地よさげに鄙のうぐひす 弓子  
第七 風やさし花笠縫はむ糸柳 可矢  
挙句 御代を寿ぐ天つ佐保姫 直人  

賦何人連歌(巻43、平成31年4月3日満尾、古河花の下法楽連歌、まくらが座)

2019年04月07日 | 作品集

初折表    
発句 枝垂れたる花は光のみ寺かな さう美  
古き河辺にうぐひすのこゑ 初瀬  
第三 遠山は薄き霞に覆はれて 素拙  
第四 旅に出でよと雲の誘ひ 純一  
第五 笹分けの道なき道といふなかれ 南天  
第六 いで秋風に衣重ねむ 草芳  
第七 あかあかと里に宿れる月の色 初瀬  
第八 狭庭に余るしるき菊が香 純一  
初折裏    
第一 筧より流るる水の音聞こゆ 素拙  
第二 沖の小舟に吹くや涼風 初瀬  
第三 焦るとも訪ふ人のなくうらさびし 草芳  
第四 過ぎる車に揺るるこころね 素拙 よぎる
第五 逢ふことをいづれ果さむ契ゆゑ 純一  
第六 つれなきまでの出雲なる神 初瀬  
第七 八重垣は永き年経てすさみにき 草芳  
第八 それと見しまに積もる白雪 純一  
第九 暮れ初めし冬の街角音もせず 素拙  
第十 冴ゆる夕ぞら月は出でけり 草芳  
第十一 飛ぶ鳥のねぐらに帰る影見えて 初瀬  
第十二 仔馬の跳ぬる丘に草萌ゆ 素拙  
第十三 川面には桜ぞ散れるあでやかに 純一  
第十四 吉野の山にめぐる佐保姫 初瀬  
名残折表    
第一 たをやかにほほ笑み浮かべ幸運ぶ 素拙  
第二 いづこの琴かなまめかしき音 純一  
第三 御簾ごしにきみが香りのただよひて 初瀬  
第四 つのる思ひにこころ乱るる 素拙  
第五 きぬぎぬを忘るまじとて誓ひしに 純一  
第六 時は流るるきのふけふあす 初瀬  
第七 つかの間と雲居を訪へやほととぎす 南天  
第八 遅れし老のことわりもなし 裕雄  
第九 いとはしき世にも昔をしのびつつ さう美  
第十 紅葉かつ散る故里の家 よしお  
第十一 裏山に鹿の呼び合ふ姿あり 素拙  
第十二 法よむ声や秋風にそふ 草芳  
第十三 月の舟水なき海をたゆたひて 初瀬  
第十四 長き夜に待て夢の名残を 南天  
名残折裏    
第一 しはぶきの遠き方へと行きすぎぬ 草芳  
第二 笠を傾け急ぐ足取り 素拙  
第三 暑き日は振り分けの荷の重々し 裕雄  
第四 いこひて涼し群竹の風 さう美  
第五 この道はいづこに続く道なりや よしお  
第六 霞の色もうすきくれなゐ 初瀬  
第七 新しき御世を愛づるや花の歌 裕雄  
挙句 天地の間春を寿ぐ 素拙 あひ