むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦何水連歌(巻74、令和3年8月22日満尾)

2021年08月22日 | 作品集

初折表    
発句 蜩の声の底ゆく谷路かな 和雄  
かすかにわたる秋の初風 直人  
第三 白露の置く玉庭に佇みて 弓子  
第四 見れば木の間に月ぞ残れる 路光  
第五 夜を深み砧の音の聞こゆらむ 純一  
第六 賑はふ街は袖のいろいろ  
第七 横雲のをちこち空にさまよひて 初瀬  
第八 しばし汗ほす岸のすずしさ 可矢  
初折裏    
第一 河の瀬に鵜飼ひふねまつ夕まぐれ 梅豊  
第二 かへす扇もあはれとぞ見る 深峰  
第三 舞ひ姿残る面影消えやらで 直人  
第四 なほ思ふ身にをりからの文 和雄  
第五 埋み火を包まば燃ゆることわりぞ 路光  
第六 轍をおほふ雪の通ひ路 弓子  
第七 つらくともいくさ終えし日巡り来て  
第八 たのむすべなき美濃のふるさと 純一  
第九 山ふもと田のなりはひは変はらずや 可矢  
第十 かすみに匂ふ春の月影 初瀬  
第十一 あたたかき夜風に夢の途絶えして 梅豊  
第十二 おぼろに聞くや清水の鐘 直人  
第十三 満つ花に佛も酔へりけふの面 和雄  
第十四 御苑かぎろひうたげ果てなし 路光  
名残折表    
第一 片山の塒に帰る夕からす 弓子  
第二 出湯の宿に癒す長旅  
第三 来や来やとたよりの文を待ちわびて 純一  
第四 思ひぞへだつたえだえの雲 可矢  
第五 吹けや風涙の袖もかわくほど 初瀬  
第六 そよとばかりに猪名の笹原 梅豊  
第七 霰ちる有馬の山にわけ入りて 直人  
第八 神さぶるみち杜ぞけだかき 和雄  
第九 この年の実りゆたにと祈るなり 路光  
第十 木陰に並び憩ふ早乙女 弓子  
第十一 いかにせむふとくちなはの近付きて  
第十二 にはの訓へは鳥のそらの音 純一 をしへ
第十三 月させば関の内外ぞしづかなる 可矢 うちと
第十四 げに老までは露のいくたび 初瀬  
名残折裏    
第一 蔦もみぢ急ぐ山路に足とめて 梅豊  
第二 谷間にのぞくさを鹿の影 直人  
第三 よしなきに易き心の旅衣 和雄  
第四 雲をしるべと行方しらずも 路光  
第五 川の辺の屋戸の灯しの二つ三つ 弓子  
第六 琴の音通ふのどかなる里  
第七 幾春も色あかぬ花ながめばや 純一  
挙句 野に若草のゆかりこそあれ 南天