むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦青何連歌(巻72、令和3年6月29日満尾)

2021年06月29日 | 作品集

初折表    
発句 うちしめりあやめ色こき水沼かな 弓子  
風も涼しく並ぶ八つ橋 初瀬  
第三 ささがにの糸ほの揺れつかかやきて 和雄  
第四 軒静かなる竹のひとむら 梅豊  
第五 袖笠に千尋のかげやありがたし 草芳  
第六 晴るる野に見ゆ秋の夕暮れ 典子  
第七 眉月の光もやがてまさるらむ 路光  
第八 いづくの峰かさをしかの声 純一  
初折裏    
第一 川の瀬を落ちゆく舟のおぼつかな 直人  
第二 ただ遅れじと急ぐ帰るさ  
第三 うらめしやふたみちゆゑの前わたり 初瀬  
第四 徒名飛び交ふ村のそちこち 弓子  
第五 おしなべて雪に静寂となりななむ 梅豊 しじま
第六 なほ消え残る野屋の埋火 和雄  
第七 香も古き灰後れたる文の色 典子  
第八 昔がたりの老いのつれづれ 草芳  
第九 夢ぢには悟りの母のあらはれて 純一  
第十 霞にまがふありあけの月 直人  
第十一 白雲を懸くるつばさの帰る雁  
第十二 友を呼びつつ若菜摘むてふ 路光  
第十三 衣手に咲き満つ花の枝受けて 弓子  
第十四 見るに変はるな春の山々 初瀬  
名残折表    
第一 巡るとも畏き宮居つきせめや 和雄  
第二 頻波ぞたつ住吉の浦 梅豊 しきなみ
第三 澪標おなじ潮に洗はれて 草芳 うしほ
第四 ならぬ宿世か思ひ乱るる 典子  
第五 ゆくりなく契りし末の妹背ごと 路光  
第六 今こそ越えめあまたなる関 純一  
第七 道の奥卯の花咲くはいつならむ 直人  
第八 雨降る里になほ蝉の声  
第九 むなしくもあるか心のすきま風 初瀬  
第十 酒を酌みつつ見やる浮き雲 弓子  
第十一 行く水も夕くれなゐに波映えて 梅豊  
第十二 寝覚めの岸辺薄かそけし 和雄  
第十三 さむしろで月とともにや明かすらむ 典子  
第十四 秋はてぬればとほき虫の音 草芳  
名残折裏    
第一 うらやまし空飛ぶ鳥は山の端に 純一  
第二 冴ゆる雲路もすゑは古里 路光  
第三 いつの間に時雨に濡るる唐衣  
第四 車をやれば胸ぞときめく 直人  
第五 道すがら荒磯の波と戯れて 弓子  
第六 白きこてふのつとの香やなに 初瀬  
第七 散るもなほ色ひとしほの花の苑 和雄  
挙句 歌詠みをしむ日こそ永けれ 南天  

 


賦何田連歌(巻71、令和3年6月12日満尾)

2021年06月12日 | 作品集

初折表    
発句 ひとひらの雲のゆくへや夏木立 可矢  
道の辺そふるあぢさゐの色 直人  
第三 五月雨に小川も速き瀬となりて 梅豊  
第四 軒の雫の音ぞ清けき 典子  
第五 山みれば雁いづくにか消ゆるらむ 純一  
第六 旅寝を癒す目の前の鹿  
第七 仮枕こころづくしの有明に 路光  
第八 袖かす露もいよよ麗し 和雄  
初折裏    
第一 岸近く残り菊の香ほのたちて 弓子  
第二 なに吹く風の川につげなむ 初瀬  
第三 塵の身は絶えぬみなわにあらざるに 直人  
第四 御法の門も知らで過ぎしや 可矢  
第五 ふりてなほ思ひのけぶりなびくらむ 典子  
第六 逢ふも交野の駒の通ひ路 梅豊  
第七 むら雨に濡るる狩衣さ迷ひて  
第八 涼しさ残る夏の笹原 純一  
第九 短夜の手向けとやせむ東歌 和雄  
第十 月にさそはれ光る蛍火 弓子  
第十一 うたかたの消えて結ぶもならひにて 初瀬  
第十二 春やあやなき憂ひえ避らず 路光  
第十三 まかげさす野山に花は咲きみてり 可矢  
第十四 里こそかはれなべてのどけし 直人  
名残折表    
第一 幾かへり飛鳥の寺をたづぬらむ 梅豊  
第二 こころはなぎぬ入相の鐘 典子  
第三 袖が香に頼むる契り残されて 純一  
第四 せめて聞かせよ無げの言の葉  
第五 訪ふ人の往来もかれしあし原に 路光 ゆきき
第六 時雨の雲の絶え間さがしぬ 和雄  
第七 指す方のはつかに見ゆる山の雪 弓子  
第八 さびしさ消せとたくひとくゆり 初瀬  
第九 次々と去りし友らの面影に 直人  
第十 すがたかはらぬ相生の松 可矢  
第十一 浦舟の出で立つ波ぞ静かなる 典子  
第十二 雲な隠しそ旅のゆくすゑ 梅豊  
第十三 望月に語らふ宿の夜も更けて  
第十四 あはれをさそふ鈴虫の声 純一  
名残折裏    
第一 深山にははや露霜のしげからむ 草芳  
第二 色まさりける野辺の八千草 梅豊  
第三 天離る鄙にもうれしすさびごと 和雄  
第四 歌をつらぬる安き日もがな 路光  
第五 袖をうつあたたかき風吹きそめて 初瀬  
第六 さみどり匂ふうららけき岸 直人  
第七 花を待つ光や淡き水の面 和雄  
挙句 円居の果てぬ暮れかぬる苑