むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦花何連歌(巻107、令和6年9月16日満尾)

2024年09月16日 | 作品集

初折表    
発句 朝顔や葩に込めたる空の色 路光 ひら
清かに過ぐる荻の上風 弓子 さやか
第三 遠峯の雲居はるかに月出でて 純一  
第四 湖におちゆくかりがねのつら 直人  
第五 唐楫の音高くして旅立たむ 弓子  
第六 息せき馳する道はひとすぢ 路光  
第七 初雪のもよほす野辺は冬がれて 直人  
第八 里いかばかりもみぢ散るころ 純一  
初折裏    
第一 夕さりに上る烟ぞなつかしき 路光  
第二 光射し来る夏の山の端 弓子  
第三 いつしかに目にこそ見えね袖の風 純一  
第四 二人あゆみし宇治のなが橋 直人  
第五 しば舟のはやき流れに手をとりて 梅豊  
第六 あかぬ別れを惜しむ関の戸 ヒサヨ  
第七 もれ出づる月やたれをか照らすらむ 路光  
第八 北野の巫女は霧にかくれじ 純一  
第九 やや寒むのゆ庭に神酒をささぐるに 直人  
第十 み山をゆくや小牡鹿の声 梅豊  
第十一 村雨の過ぎて静けき鄙の里 ヒサヨ  
第十二 入日のどかにあかねさす雲  
第十三 花や満つ老木若木をこきまぜて 和雄  
第十四 千代万代と契りおく春 深峰  
名残折表    
第一 ふみ通ふ悔いもなぎさのさゞれ石 南天  
第二 ゆらぐ心にうちよする波  
第三 移り香に涙のあまるねやの袖  
第四 君を偲びて植うる姫百合 弓子  
第五 時鳥うへなき声ぞなつかしき 純一  
第六 遠き尾峰にかかる白雲  路光  
第七 大比叡は常の燈しもゆかしくて 梅豊 おほびえ
第八 苦しき海に法のうれしさ  直人  
第九 世をすくふ誓ひの網もありとかや ヒサヨ  
第十 まづ漕ぐ舟の行方さだめむ 和雄  
第十一 野辺わたる色なき風の身にしみて   
第十二 ものわびしらに衣擣つ音  南天  
第十三 中空に見るこそ月はさやかなれ  深峰  
第十四 命待つ間に訪はむ故郷  
名残折裏    
第一 麓までなびく煙をしるべにて  
第二 いづくをさすや水鳥のむれ 純一  
第三 朝霜のむすぼほれたる寒き沼 弓子  
第四 そこともわかぬ岩垣の道 梅豊  
第五 行く方ははやも霞みてうららけし 路光  
第六 桜がさねの袖のやさしさ ヒサヨ  
第七 散りまがふ花をもろてにうけとめて  直人  
挙句 惜しめ弥生をうぐひすのこゑ  

賦初何連歌(巻106、令和6年8月12日満尾)

2024年08月12日 | 作品集

初折表    
発句 蝉こゑも風さへ暑き野末かな 和雄  
木々の隙より夏の日の影  弓子  
第三 片岸の岩の清水に手をひぢて 路光  
第四 はるけき峯に雲のかけはし 純一  
第五 山越ゆる雁行く方に出で立たむ  
第六 露おき初むる果てもなき道  和雄  
第七 さ迷へばいらかに月のかかやきて 弓子  
第八 咲くはここぞと香る白菊 路光  
初折裏    
第一 いづこへか駒の足音かろやかに  純一  
第二 空晴れわたり光るみづうみ 直人  
第三 竹生島はるかにのぞむ舟こぎて 梅豊  
第四 君へ届けと珠の四つの緒 弓子  
第五 みるままになびきひかるる恋衣 和雄  
第六 馴れし通ひ路雪な隔てそ  純一  
第七 うち泥み忍ぶ心ぞ憂かりける 路光 なずみ
第八 しばしやすらふ旅のひととき 梅豊  
第九 しるべすらかたぶき朽つる山里に 直人  
第十 朧にうかぶ手枕の月 和雄  
第十一 思はずもこちふく風におどろきて 純一  
第十二 音もうららかに来鳴くうぐひす  直人  
第十三 咲きしより訪はぬ日ぞなき花の色 梅豊  
第十四 ふるの社にすゑ祈るべし 純一  
名残折表    
第一 鎮まりし池の鏡もさやけしな ヒサヨ  
第二 道行くほどにくれわたる空  
第三 柴人やいづくをさして急ぎけむ 深峰  
第四 時雨もやする深山辺の奥 南天  
第五 冴ゆる日の衣手うすし草の庵 弓子  
第六 いまは枯野の襲ともがな 梅豊  
第七 しののめのきのふにかはる松の風  
第八 ふりにし身にも秋は来にけり 直人  
第九 虫の音のなほぞ侘びます宿りなる 和雄  
第十 霧の籬に見えぬ古寺 純一  
第十一 山踏みに人訪ふことは難からむ 路光  
第十二 恋しかるべき百合の花影 ヒサヨ  
第十三 月も憂し忍び通ひの夏衣  
第十四 ふり出でて行く名残やはなき  深峰  
名残折裏    
第一 辻々はけさ立つ市に賑はひて 南天  
第二 浮き雲見ゆる里のをちこち  弓子  
第三 雪気さへもよほす野辺の風さむみ 梅豊  
第四 暮れゆく嶺やまだ冬のいろ  
第五 舟ひとつ泊りもとむる水際に 直人  
第六 霞敷くなる波ぞのどけき  和雄  
第七 寄せ返す袖の香もあり花の春  草芳  
挙句 てふも来たれや内の御園生 路光  

賦朝何連歌(巻105、令和6年7月27日満尾)

2024年07月27日 | 作品集

初折表    
発句 五月雨のあはひ眩しき日向かな 路光  
青葉しげれる岡の通ひ路 直人  
第三 なつかしき空蝉高く鳴き立ちて 深峰  
第四 思はぬ風ぞ野をば渡れる 妙子  
第五 帆をかけよ旅の船出やころならむ 弓子  
第六 波ひやゝかに頻る湊江 南天  
第七 天霧れど残る有明なほ著し 和雄  
第八 いづこを指すか雁のひとつら 純一  
初折裏    
第一 帰るさの里の辺りに鹿の声  
第二 尾花や露に乱れ臥すらむ   
第三 つれもなき人待つほどに袖ぬれて  梅豊  
第四 うつろひはてむ恋ぞ悲しき ヒサヨ  
第五 耳なるる誓ふ言の葉くぶる火に 直人  
第六 室の八島のけぶり立つまで 路光  
第七 おほみわの社の森よしるしあれ 妙子  
第八 門に知られぬ雪ぞ降りける  深峰  
第九 更くる夜の霜の白きはたゞならで  南天  
第十 凍つる山路の月の寒けさ 弓子  
第十一 我が身をば思へば憂き世いかがせむ 純一  
第十二 うぐひす語れあたらいにしへ 和雄  
第十三 花の舞ふ汀しづけき須磨の浦   
第十四 霞隠れに藻塩焼く衣 きぬ
名残折表    
第一 ともかくも云はば心やあらはれむ 専順  
第二 まきの柱に差し入れし文  梅豊  
第三 恋ひ恋ひて馴れし宿りも今はとて  路光  
第四 などほとゝぎす忍び音に鳴く 直人  
第五 白妙の卯の花山ははるけきに 深峰  
第六 竹の葉風の匂ひ洩る袖  妙子  
第七 大堰川波にたゆたふ雲の影  弓子  
第八 棲みし桂の里も寂びてき  南天  
第九 ねんごろに常の燈かゝげつゝ  和雄  
第十 老いの身にしむ松虫のこゑ 純一  
第十一 旅立ちし都の秋はいかならむ  
第十二 野に賑はふは八千草の花  
第十三 月影は玉なす露に映ろひて 梅豊  
第十四 庭ぞいろなき風ものこらぬ ヒサヨ  
名残折裏    
第一 行く水の音のみすなる静けさに 直人  
第二 しばし休らふ岸のをし鴨 路光  
第三 降りいづる帷子雪も寒けしな 妙子 かたびらゆき
第四 ひとへに頼む爪木とる道 深峰  
第五 片山のたそかれにしもあらなくに 南天  
第六 霞たなびく里ぞ穏しき 弓子  
第七 散ることを知らぬといふか花ざかり 純一  
挙句 み空もゆかし春のたまゆら 和雄  

賦何水連歌(巻104、令和6年6月12日満尾)

2024年06月12日 | 作品集

初折表    
発句 ふかみゆく香や夏草の朝戸風 梅豊  
青葉なびける庭のひと本 直人  
第三 ほとゝぎす遠き山より訪ひ鳴きて 弓子  
第四 沖つ白波舟揺るるまゝ 鑑   
第五 時なれば物見の旅に出で立たむ 路光  
第六 分くべき笹に露ぞおもれる 南天  
第七 空わたるさやけき月もかたぶきて 直人  
第八 初嵐かと聞くは四つの緒  弓子  
初折裏    
第一 霧晴れてあてなる袖も都路に 鑑   
第二 さても珍し国のくさぐさ 路光  
第三 なぐさまぬ言の葉ぞなき家の風 南天  
第四 訓へのふかさ知るはまことか 直人  
第五 憂き名さへよそながら見る物恨み 弓子  
第六 恋の焔に涙する寝屋 鑑  ほむら
第七 逢ふことのかれて久しき霜の里 路光  
第八 道絶えよとや雪げもよほす 南天  
第九 彼の岸へわたす舟だになきものを 直人  
第十 月はおぼろに昇る暮れ方 弓子  
第十一 せゝらぎに若鮎跳ぬる広野原 鑑   
第十二 袖あたゝかき風もことわり 南天  
第十三 散りまがふ花につゝまれ寝ぬる夜や 路光  
第十四 なほざりならずなど過ぐしけむ 深峰   
名残折表    
第一 あだなると契のすゑを誰ぞしる 純一  
第二 色うつろふも見えぬ心根  
第三 思はずもふり敷く四方の白雪に 妙子  
第四 簾を上げて仰ぐ山並み ヒサヨ  
第五 いのりこし三輪の神杉たづねてむ 梅豊  
第六 しでうちなびく清き広前 直人  
第七 駒止めて水飼ふ沢に雲の影 弓子  
第八 岸辺をつたふ道ぞ遠かる  
第九 くれなゐは夏の形見と夕づくひ 南天  
第十 経れば深草野とやなるらむ 路光  
第十一 秋風に我も鶉となきをりて 深峰  
第十二 露のごときかいのちはかなし 純一  
第十三 仮寝する枕の上の雨の月  
第十四 葺かぬ軒にぞ紅葉かつちる 妙子  
名残折裏    
第一 作りゑにいろどる筆のかず添へて 専順  
第二 ありなし雲を残す山の端 梅豊  
第三 をしの影弱き光のさす池に 直人  
第四 冬や来ぬらむ橋の初霜  弓子  
第五 暮れ果つる静けき村に鐘なりて  
第六 野に若草の匂ひをぞ踏む 南天  
第七 老木さへ心のままに花満てり 和雄  
挙句 そへ歌詠むも春のよろこび 路光  

賦何心連歌(巻103、令和6年5月8日満尾)

2024年05月08日 | 作品集

初折表  
発句 花匂ふ春も名残のたもとかな 梅豊
広野にこてふひとり舞ふ影 純一
第三 川沿ひの霞む家々眺めゐて 弓子
第四 村雨すぐる里の夕暮れ
第五 しるべなき麓の道やはてぬらむ 南天
第六 外山に聞くはさを鹿の声 直人
第七 いづくにか雲間の月はたゆたひて 純一
第八 もみぢに秋ぞ色まさりゆく 梅豊
初折裏  
第一 出で船の潮もかなひぬ浦風に 弓子
第二 白帆かたぶく浪の湊江 南天
第三 ひと目見し姿に心よりそひて 直人
第四 越ゆるはつらき逢坂の関 純一
第五 うつせみの衣の君のおもかげに 梅豊
第六 飛び交ふ蛍知れぬ暮れ方 弓子
第七 入り残るよわき光をよそながら 南天
第八 うす霧立つや宇治の川岸 直人
第九 長き夜を救ひたまへと御仏に 純一
第十 しづかにてらせ山の端の月 梅豊
第十一 くもりなき鏡は家の宝にて 南天
第十二 うき身なりとも春はのどけし 直人
第十三 藤波はすゑの社をかざりをり 純一
第十四 きよらにそよぐ佐保姫の袖 梅豊
名残折表  
第一 たち別れはかなの雲のむら消えて 南天
第二 行くかた遠き沖の釣船
第三 せめてわがこがるゝ浜の火をも見よ 妙子
第四 待つ暮ごとに胸ぞとどろく 専順
第五 覚えしは髪かきやりし手のぬくみ 路光
第六 いつしか咲くや恋忘れ草 草芳
第七 声も憂し山ほととぎす来鳴く屋戸 弓子
第八 さやけきほどの朝風もがな
第九 池の面にかげを映せる竹生ひて 梅豊
第十 平らけき世は今も変はらじ 純一
第十一 老のはてたけゆく秋と見るままに 直人
第十二 よわるか虫もあたり寂びてき 南天
第十三 衣打つ音かすかなる里の月
第十四 ものがたりせよ松のひともと 妙子
名残折裏  
第一 もしほ焼く磯の煙のいや白く 草芳
第二 雪降り初むる冬の荒海 弓子
第三 峰遠くしぐれの空と見えつるに
第四 かた岡の辺ぞゆふひかかれる 梅豊
第五 野の雉子などかほろろと聞こゆらむ 純一
第六 霞のひまにのぞく若草 直人
第七 花ありと風のたよりの里に来て 南天
挙句 盃めぐるあたたかき庭