むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦何舟連歌(巻40、平成31年1月12日満尾)

2019年01月16日 | 作品集

初折表  
発句 初暦めくるこの年おだしかれ 草芳
幸を願ひて若菜摘む野辺
第三 遠山を苗代水のうつすらむ 可矢
第四 風やはらかにはこぶさへづり 初瀬
第五 をりからに白き群雲流れきて 純一
第六 霧のまがきも失せ果てにけり 直人
第七 高窓をさし入る月のさやけきに  和雄
第八 もみぢばかざしやどへかへらむ 梅豊
初折裏  
第一 せきたればよき直道をたどらばや 路光
第二 旅の衣を過ぐる涼風 素拙
第三 ほどもなくいかづちの声とどろきて
第四 わがふところに妹ぞとび込む 直人
第五 いつにても恋のあやまち出で来らむ 路光
第六 夢かうつつかうらむ残り香 初瀬
第七 見返へれば鎌倉山もひとしぐれ 和雄
第八 悔ゆる思ひにひびく鐘の音 可矢
第九 行く末は定めなき身と知るゆゑに 純一
第十 おぼろに浮かぶ薄き月影 素拙
第十一 咲く花を玉串とせむ伊勢の宮 初瀬
第十二 斎庭にそよぐあたたかき風
第十三 ませ垣にこてふ連れ舞ふ頃なれや 路光
第十四 幾代もつづけのどかなる御世 純一
名残折表  
第一 糸竹を楽しむ友らつどひ来て 直人
第二 豊旗雲のたなびける原 素拙
第三 仮枕明日の戦さはいかならむ 可矢
第四 家に譲りの太刀を佩くべし 路光
第五 山坂を老い隠さむと走る身か
第六 かざして沖に白波の見ゆ 初瀬
第七 漕ぎ出せば藻刈の舟も揺れゆれて 和雄
第八 ぬれしたもとの潮のかをりよ 草芳
第九 つれなくも君の面影忘るまじ 純一
第十 永遠に残さむ水茎のあと  素拙
第十一 おとづれを秋の長雨とどむらむ 初瀬
第十二 雲間に消ゆる雁のひとつら  直人
第十三 よるべなき心を照らせ望の月
第十四 更けゆくほどに澄める中空 路光
名残折裏  
第一 風やみて池面の波も静まりぬ 素拙
第二 笹の小舟にかかる白雪 可矢
第三 炭焼きのけぶり立つ見ゆ山の辺に 直人
第四 いつしか馴れし鄙の離れ庵 和雄
第五 しどけなく弾く琴の音も聞こゆらむ
第六 ゆたかにおほへきさらぎの色 初瀬
第七 一重八重ゆけどいづこも花の蔭 可矢
挙句 春は盛りととよむ百鳥 路光

賦片何連歌(巻39、平成30年12月22日満尾)

2019年01月10日 | 作品集

初折表    
発句 木枯しに耐えで散り舞ふ紅葉かな 直人  
ひびき凍れる水鳥の声 梅豊  
第三 時雨めく街中つとにしづもりて  
第四 都大路にゆく影もなし 純一  
第五 なにとなく外山の裾もかそけきに 和雄  
第六 谷の家並みつつむ夕霧 弓子  
第七 月ははや風をも待たで匂ふらむ 初瀬  
第八 いで白菊の香をば聞かばや 路光  
初折裏    
第一 八千草を分け行く原に露おりて 素拙  
第二 池の岸辺にすだく虫の音 草芳  
第三 古寺の碑の文字たどりつつ 可矢  
第四 奥山訪ふも旅の楽しさ さう美  
第五 恋しくば夢にてあはむいとせめて  
第六 ひとへ心を君に寄せけり 梅豊  
第七 白雪の積もれる里に妹ぞ待つ 純一  
第八 衣重ねて幾日へぬらむ 和雄  
第九 八百万神に願へど時はすぐ 初瀬  
第十 月もおぼろに宮の広前 路光  
第十一 のどけしや駒の手綱に鈴つけむ 弓子  
第十二 野辺のせせらぎ光る若鮎  
第十三 ふりかかる花にやさしき桜川 和雄  
第十四 春の錦と歌によみしよ 可矢  
名残折表    
第一 わけもなく故郷思ふ朝夕に 草芳  
第二 世のうつろひに見えぬ行く末  純一  
第三 墨染の袖に涼風はらませて 弓子  
第四 吹き来る雲にひとり語らむ 初瀬  
第五 繰り言を別れし君に伝へ得ず 素拙  
第六 いつか果さむたまゆらの恋  
第七 さりながら情うすきも色に出て 和雄  
第八 あるかなきかのうぐひすの声 純一  
第九 風ゆるし谷の氷もとくるらむ 可矢  
第十 ひひな飾りの家をめぐりぬ 弓子  
第十一 苑の内筵を拡げ酌み交はし 素拙  
第十二 酔ひてか梢あかくなり初む 初瀬  
第十三 中天の月な忘れそ叢雲よ なかぞら
第十四 袖をかしたる露もひかりぬ 和雄  
名残折裏    
第一 旅発ちの蓑笠しかと括り付け 弓子  
第二 足取り急ぐ遠き雷 素拙 いかづち
第三 すざまじき声は負けじとせみしぐれ 純一  
第四 描けや西に茜ひとはけ 初瀬  
第五 山里ははだれ霞に暮れ初めて 路光  
第六 まどろむ庭にあたたかき風  
第七 花はいま十重に廿重に匂ひつつ 南天  
挙句 春のさかりにわらべらの声 直人  

賦何人連歌(巻38、平成30年12月8日満尾)

2019年01月10日 | 作品集

初折表    
発句 寒けさに心も覚むる朝明かな あさけ
貴なる斎庭しるき初霜 純一  
第三 山幾重遅早あれど雪積みて 和雄  
第四 苔の石階登る影なし 草芳 いしばし
第五 時折にしじまを破る鳥の声 素拙  
第六 霧の晴れ間に川下る舟 さう美  
第七 たひらけき水面に月のたゆたひて 純一  
第八 紅葉の錦野辺ぞ際立つ  
初折裏    
第一 白露を散らせし風もいづくへか 和雄  
第二 旅の衣を干せる畦道 草芳  
第三 草枕都の空に思ひ馳せ 素拙  
第四 忘るまじきは君が残り香 純一  
第五 憂き人をもてなさむとて夕けぶり 草芳  
第六 心の底ひ知るよしもなし 和雄  
第七 いにしへも声かはらぬはほととぎす 純一  
第八 を照らす短か夜の月 素拙 ねぐら
第九 すべて世は移ろふものと悟りつつ 和雄  
第十 二人で巡るみ仏の里 草芳  
第十一 風ひかる四国の道はにぎはひて    素拙  
第十二 棚田うるほす雪解の水 純一  
第十三 荒草も土も匂ふや花の下 和雄  
第十四 広き牧場に駆くる若駒 素拙  
名残折表    
第一 大いくさ八十歳ほども過ぎにしか  
第二 さびしさの果て奥もしられず 初瀬  
第三 なにとなく又もや宿をたちいでて 梅峰  
第四 訪れたきは安芸の宮島 直人  
第五 北の風波間のを舟いかばかり 純一  
第六 雪散る空は鳥影もみず 可矢  
第七 冬衣ひとり寝る身のあかつきに 梅峰 ぬる
第八 涙ながらに文かへしつつ 和雄  
第九 言の葉に込めたる想ひ届けかし 素拙  
第十 なびかぬにこそ心とは見れ 初瀬  
第十一 渡りくる霧のまがきに閉ざされて 直人  
第十二 柞もそれと分く方ぞなき 南天  
第十三 山野辺の月や俏さむ笹まくら やや
第十四 ころあひもよしすだく虫の音 純一  
名残折裏    
第一 みすごしに漏るる香りも妙なれや 初瀬  
第二 近く居寄りて坏交はすらむ 和雄 つき
第三 草茂る川瀬のひびき聞きながら 梅峰  
第四 しばし楽しむ宵の涼風 直人  
第五 車よりやまばとの袖ほの見えて  
第六 安らかなれと過ぐす永き日 純一  
第七 九重に花咲き競ふ宴あり 素拙  
挙句 栄行く春のかぐはしき野辺 和雄  

賦何馬連歌(巻37、平成30年11月10日満尾)

2019年01月10日 | 作品集

初折表    
発句 野の色目すはうもえぎの襲かな  
名残りひかへよ秋の衣手 可矢  
第三 真澄鏡宿れる月の輝きて 初瀬  
第四 まがきの菊ぞ白さましたる 直人  
第五 置く露はほどなきものといいながら 南天  
第六 分け入る原に風のふきやむ 素拙  
第七 とめどなく流るる滝や響くらむ 純一  
第八 いかづちきざす峰の横雲  
初折裏    
第一 夕暮れて足取り早き旅の空 素拙  
第二 東下りの駒を馳せつつ 初瀬  
第三 はるばると昔辿りし道恋し 可矢  
第四 松のみ常葉里荒れにけり 南天  
第五 白雪の積もれる庵に夫を待ちて 純一
第六 胸の埋火燃えたつはいつ         素拙  
第七 重ねこし袖のわかれぞうらめしき  
第八 またの逢瀬も障りある仲 南天  
第九 うらやまじ通ひ絶えせぬ天つ風 可矢  
第十 涼しき月の照らす御社 純一  
第十一 外つ国の人あまたなる宮まうで  
第十二 霞にこもる四つの緒や誰 南天  
第十三 のどかなるしらべにのりて花ぞ舞ふ 素拙  
第十四 上野の寺に鶯の声 純一  
名残折表    
第一 舟遊び子等も集へる池の端  
第二 櫂の雫を拭ふ黒髪 素拙  
第三 水草にこごりし恨み数そへて 路光  
第四 恋せよ乙女道もあるべし 初瀬  
第五 短か夜に何やら飛びぬ魂なれや 梅豊  
第六 鳴き声高き山ほととぎす 直人  
第七 村里は風も日射しも和みけり  
第八 小春の苑に集ふ歌人 路光  
第九 冬衣ときて憩はむ長き旅 草芳  
第十 落葉ひとひら音ぞかそけき さう美  
第十一 あはれとも見する大堰の川ありて 純一 おほゐ
第十二 想ひひろごる肌寒のころ 素拙  
第十三 色わびて尾上の月は影ほそし 初瀬  
第十四 立ちそめの霧吹く風もがな 直人  
名残折裏    
第一 いづちより聞こゆる笛はきよらにて 純一  
第二 をもととし歌も学べよ ざえ
第三 夏草を分け入りて訪ふ柴の庵 さう美  
第四 天道虫ぞ歩みちひさき 草芳  
第五 袖笠をぬらす雨こそにくからむ 初瀬  
第六 いのちはぐくむやはらけき風 素拙  
第七 狭筵に盃めぐる花の下  
挙句 吉野の山に春は来にけり 直人  

賦何田連歌(巻36、平成30年10月27日満尾)

2019年01月10日 | 作品集

初折表    
発句 初露もまだしき程の小萩かな 南天  
雁の飛び来る明け暗れの空  
第三 数わかぬ田ごとの月の静まりて 初瀬  
第四 幾里かけてわたる秋風 可矢  
第五 あとを追ひ旅行く道の果もなし 直人  
第六 山峡の湯にしばし憩はむ 素拙  
第七 酌みかはし雪に嘯く詩もありて 和雄  
第八 唐土なれど春ぞまたるる 可矢 もろこし
初折裏    
第一 外つ方に雲流れ去る天の原  
第二 ふりさけ見れば袖にこち風 初瀬  
第三 梅が香に過ぎにし月日しのびゐて 梅豊  
第四 おぼろ夢見の闇はあやなし 路光  
第五 たきつ瀬の深き所や淀むらむ  
第六 嘆くおもひを隠せ黒髪 草芳  
第七 駒音の寄らで遠のくつれなさに 可矢  
第八 恋ふるしるしもつひに尽きぬる さう美  
第九 尼寺のややも艶めく墨の袖 初瀬  
第十 冷たさ映ゆる山の月影 直人  
第十一 暮れはての尾上の道を越えかねて 南天  
第十二 心はかへるふるさとの空 可矢  
第十三 神奈備の花は昔の花と咲け 路光  
第十四 のどかに響く笛竹の声 素拙  
名残折表    
第一 野辺の雪とけにけらしないつの間に  
第二 風はものかは水ぬるむ頃 初瀬  
第三 友どちと筑波の山にうちむれて 直人  
第四 鞠の遊びに一日ひねもす 路光  
第五 あららぎの上に片雲うつろへり さう美  
第六 仰げば空ぞ草芳ばしき 草芳  
第七 思ふたけ包めど色に出でにしか  
第八 はや穂と見ゆる文の結び目 南天  
第九 かなはぬと知りつつ願ふ逢瀬とて 直人  
第十 舟よせかぬる須磨も明石も 初瀬  
第十一 松風の吹き添ふ浜に浪高し 素拙  
第十二 浮き寝わづらふ雁のひと群れ 路光  
第十三 都にもひなにもやさし月の影 さう美  
第十四 聞けばをちこち砧打つ音 初瀬  
名残折裏    
第一 里を背に山路の関も見え初めて 直人  
第二 幾歳か経るすずろなる旅  
第三 冬ぎぬもいつとはなしに萎えぬらむ 南天  
第四 いたくな吹きそつらき霜風 路光  
第五 灯火の燃え細りゆくあかつきに 可矢  
第六 いさら小川の水もぬるめり 梅豊  
第七 鎌倉の御寺は花も寿ぐや 純一  
挙句 霞たなびく丘ぞにぎはふ 素拙