むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦初何連歌(巻94、令和5年7月26日満尾)

2023年07月26日 | 作品集

初折表    
発句 夏空や雲それぞれの様貌 さまかたち
白きはちすにまろぶ朝露 路光  
第三 遠山に繁れる青葉目にしみて 直人  
第四 鳥を覚せる風のおとなひ  
第五 いつよりかおだしき庭の佇まひ 和雄  
第六 霧晴れわたる七夕の夜 純一  
第七 月仰ぐ旅路の果ての清しきに  
第八 かれがれに鳴く野辺の虫の音 直人  
初折裏    
第一 さきさかる萩の広原露や散る 路光  
第二 かごとばかりになびく群笹 和雄  
第三 袖を振る君の姿のあらはれて  
第四 これも定めか契りあだなり 純一  
第五 さりともと待つ宵重ねすぎつるに 直人  
第六 やどの戸ぼそを叩く浦風 路光  
第七 行く舟の跡もかすかに荒磯波 和雄  
第八 千鳥の声や友を呼ぶらむ  
第九 ほどもなく貴なる宮に積もる雪 純一  
第十 こほりていづる山の端の月 ヒサヨ  
第十一 この道は国のいづくに続くやら 路光  
第十二 霞たなびくうららけき原 直人  
第十三 花の色風を頼りに染みかへて しみかへて
第十四 弥生の空になにを望まむ 和雄  
名残折表    
第一 おもひどち漫ろに遊ぶ野のほとり ヒサヨ  
第二 しのぶる故か濡れまさる袖 純一  
第三 黒髪の玉藻となびく川みづに  
第四 こがれて舟を出だす棹唄 南天  
第五 けぶり立つけしきやいかに宇治の里 梅豊  
第六 世をのみ恨む老のくりごと  
第七 霜深く結ぼほれゆく路の末 深峰  
第八 麓の村やすでに時雨るゝ 弓子  
第九 いらたかを揉む山伏のこゑ聞きて 初瀬  
第十 一日すぐすか法を読みつゝ 路光  
第十一 うすくこき霧のまがきの菊の香に 直人  
第十二 うつろふ秋の色のまされり  
第十三 神と見む月の都の駿河舞 和雄  
第十四 のむ味酒の酔ひのたのしみ  宗砌 あぢざけ【注】
名残折裏    
第一 ほととぎす鳴く声すれど影もなし 純一  
第二 いとど閑けき夏の片岡  
第三 涼しさは竹の葉風の朝じめり 南天  
第四 旅の衣もたちや休らふ  梅豊  
第五 方々に宿りのしるべ朽ち果てて  
第六 名残のみかは春の夕暮 深峰  
第七 いづれとか分きては見まし木々の花 専順  
挙句 匂ふ霞のすゑもかうばし 初瀬  

【注】連歌では「あぢざけ」とよむ


賦何玉連歌(巻93、令和5年7月9日満尾)

2023年07月09日 | 作品集

初折表    
発句 雨やりてなほ梔子の白さかな 和雄  
静かに浮かぶ夏の薄雲  
第三 岩がねの水やたえだえ流るらむ 純一  
第四 訪ねし里の蓬生の宿 ヒサヨ  
第五 いとはやも虫の音しげき秋の風 直人  
第六 暮るる深野にふるふ玉露 路光  
第七 消えやすき月の光のひとしづく  
第八 袖やや寒み小道いそがむ 和雄  
初折裏    
第一 走り舟漕ぎゆく跡の波の綾 ヒサヨ  
第二 いつしか浜に積もる白雪 純一  
第三 枯菊をくぶれば廬もはなやぎて 路光  
第四 頼むる宵を待つぞくやしき 直人  
第五 おもほえずつれな心や前わたり 梅豊  
第六 あふぎの褄の言の葉や誰 南天 つま
第七 ひと声を惜しまで鳴けよほととぎす 弓子  
第八 侘ぶることのみ多きこの頃  
第九 かかれとて晴れぬ雲居はかひもなし 深峰  
第十 おぼろにかすむ月の顔 初瀬 かほはせ
第十一 掬ぶ手の山井の水もぬるむらむ 和雄  
第十二 浅きみどりの春深みつつ  
第十三 唐国の花のにほひに酔ひしれて 純一  
第十四 耳には優し琴のつまおと ヒサヨ  
名残折表    
第一 むらさきの雲のむかへを待ちつるに 直人  
第二 その暁は遠き先行き  路光  
第三 枯れよ野と初瀬おろしの吹き落ちて 南天  
第四 たまさかなれや椿市の里 梅豊  
第五 別れてのうつり香残る閨のうち  
第六 君を偲べば袖に玉散る 弓子  
第七 訪れはまだ降りやまぬ雨ばかり 初瀬  
第八 昼の狐もまどひやはせむ 深峰  
第九 ともし火の常なるかげをしるべにて   
第十 いそがばまはれ道ぞ数ある 和雄  
第十一 ひたぶるに片なびきする荻の風 ヒサヨ  
第十二 色身にしむや野のをみなへし 純一  
第十三 旅のそら月の主をおとなはむ 路光  
第十四 水すみわたる御裳濯の川 直人  
名残折裏    
第一 音にきく瀬々の白波尽きもせで 梅豊  
第二 たゞ心せよ雪のかけはし 南天  
第三 駒を止め里に眺むる冬の嶺 弓子  
第四 都路を行く衣いろいろ  
第五 東雲は村濃深緋甕覗 初瀬 むらご、こきあけ、かめのぞき
第六 下萌えそむる野末はるけし 和雄  
第七 さかりとて来たるべき日の花やいつ  
挙句 やしまの国はのどかなる風 純一