むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦何衣連歌(巻24、平成30年2月10日満尾)

2018年02月11日 | 作品集

初折表

   
発句 梅が枝の香さへこほりし蕾かな 初瀬  
雪気の風もひそかなる庭 和雄  
第三 池の辺の径に朝日の照り映えて 直人  
第四 雲たなびくは遠き峰々 梅豊  
第五 都へと旅の衣も急ぐらむ 素拙  
第六 いつしか萩にすだく鈴虫 純一  
第七 暮れやらぬ今宵の月を待つほどに 南天  
第八 時雨るゝ秋ぞなほあはれなる 梅豊  
初折裏    
第一 行く水に笹の小舟のたゆたひて 路光  
第二 柳のかげに垂らす釣糸 可矢  
第三 心地よきけふの日永よとまれかし 初瀬  
第四 何かくすらむかげろふの先 純一  
第五 ひそやかに交はす言の葉聞こえきて 直人  
第六 かたき契りのはじめなるやも 和雄  
第七 まれながらひとたびゑまば百の媚 南天 もものこび
第八 たかき聖も落つる片思カタモひ 路光  
第九 巫女の弾く琵琶の手遣い神さびて  
第十 涼風かよふ月のみやしろ 直人  
第十一 蛍火のほのかにいくつともるらむ 梅豊  
第十二 稚児のたはぶる川清らなり 純一  
第十三 花洗ふ瀬々はその香もともなひて 南天  
第十四 霞もまよふ岸のかたはら 和雄  
名残折表    
第一 うぐひすのひとくひとくと鳴き続け  
第二 春雨にぬれ友や訪ふらむ 可矢  
第三 待つほどに徒しの風も変はるべし 路光  
第四 とはにや匂ふ忘れじの袖 純一  
第五 たれぞ我が心の焔えも消せで  
第六 白きは髪か雪のしわざか 初瀬  
第七 なには寺世は憂きものとこもりしを 路光  
第八 流るる雲につきぬあくがれ 可矢  
第九 宿あらば旅を重荷といふなかれ 南天  
第十 出で湯の里に酒のひと口 直人  
第十一 奥山は木々の色づきさまざまに 和雄  
第十二 梢のかたに小牡鹿のこゑ 初瀬  
第十三 霽れて野辺を照らせる月ほそし 素拙  
第十四 夜更くるまでためす弓張  
名残折裏    
第一 時なれば家にゆづりの太刀はきて 路光  
第二 行く九重の階の前 可矢  
第三 ほととぎす雲居に啼くを見上げつつ 南天  
第四 むらさめののち虹出づるらむ 純一  
第五 をりからに大川の水増さりけり  
第六 近き堤にすみれたんぽぽ 和雄  
第七 花いかだ流るる里はのどかにて 直人  
挙句 うららなる陽にまどゐ楽しめ 素拙  

 


賦何水連歌(巻23、平成30年1月27日満尾)

2018年02月11日 | 作品集

 

初折表    
発句 軒は今朝垂氷に光る雫かな  
いつしかやみぬ降りしきる雪 純一  
第三 音もなき空に大鷹とびたちて 梅豊  
第四 雲にそびゆる峰のつらなり 可矢  
第五 山裾を彩る木々の埋めつくし 素拙  
第六 もろく散り行く萩の白露 初瀬  
第七 入る月は振り返るがに佇みて 和雄  
第八 まだ明けやらぬ里を訪ひつつ 南天  
初折裏    
第一 荒野吹く風の音聞く道の辺に 直人  
第二 なれし衣の袖ぞわびしき 路光  
第三 待たば梅木毎に香をや競ふらむ 和雄  
第四 柳の糸のあをむ川端  
第五 鶯も谷より出づる折なれや 純一  
第六 思ひを告ぐる文を書くべし 直人  
第七 逢ふことを今一度と願ひ来て 梅豊  
第八 ふるさと遠く残る父母 可矢  
第九 光さへ凍れる旅の夜半の月 初瀬  
第十 日々を重ねて伊勢の御社  
第十一 漕ぎ出づる舟の湊はいづくにか 純一  
第十二 迷へる我を救へみ仏 直人  
第十三 山深き花の古寺たのみつつ 南天  
第十四 夕暮近くかすみゆく空 梅豊  
名残折表    
第一 のどけしや雲入る雁の尽きずして 和雄  
第二 誰が玉章を送りつるらむ 初瀬  
第三 あやにくにわすれかたみの袖が香よ 深峰  
第四 面影しのぶ小夜のうたたね 直人  
第五 蛍火のほのかにもゆる時もあれ 梅豊  
第六 川のほとりをわたる涼風 素拙  
第七 日ざかりも過ぎていまはのつれづれに 南天  
第八 なにゆゑかこつうき身なるらむ 和雄  
第九 杉深きみ寺にひとりこもりゐて 梅豊  
第十 色染めかねの雨ぞ降りゆく 初瀬  
第十一 思はずも霧立ちのぼる谷あひに 直人  
第十二 迷へる鹿の影あらはなり 南天  
第十三 竹に漏る月もさやかにかたぶきて 深峰  
第十四 分け入る野辺に裾ぬらす露 素拙  
名残折裏    
第一 旅立ちを妙なる笛の包むらむ 純一  
第二 追風まかせの潮路はるけし 和雄  
第三 千鳥鳴く島の荒磯を波越えて 直人  
第四 冷えわびぬるも冬のならはし 南天  
第五 待たれし雲はたてのあたたかさ 初瀬  
第六 やがてほのかに梅も匂へり 梅豊  
第七 見わたせば頃合ひよきの花みちて 純一  
挙句 飽かで楽しむ春の暮れ方 素拙  

賦何色連歌(巻22、平成30年1月13日満尾)

2018年02月11日 | 作品集

初折表

   
発句 にひとすじ紅のあかりかな 路光 ゆづりは
かすかに聞こゆ鶴の初声 梅豊  
第三 古里はま深き雪につつまれて ヒサヨ  
第四 末はいづくか流れゆく川  
第五 うす霧は下る小舟をかくするに 直人  
第六 入江かなしき秋の夕暮れ 初瀬  
第七 袖にさす松の葉分けの月の影 可矢  
第八 もれくる琴の音ぞさやかなる 和雄  
初折裏    
第一 駒止めてしばしたたずむ垣の外 素拙  
第二 墨の香淡く残す文机  
第三 いくそたび遣りし玉梓あだならむ 路光  
第四 逢瀬忘れぬ去年の思ひ出 直人  
第五 筒井筒幼き日より恋初めて 梅豊  
第六 旅立つ空に別れ告げけむ 初瀬  
第七 この世とは仮の宿りといふべしや  
第八 待つは夢より覚めむ暁 可矢  
第九 山峡の風も涼しき月白に 路光  
第十 いらかも破れし奥の古寺 直人  
第十一 北の方うらやましくも雁ゆきて 和雄  
第十二 春立つ野辺をそぞろ歩みぬ ヒサヨ  
第十三 集ひ寄り歌を連ねる花の下 素拙  
第十四 のどけき庭に巡る盃  
名残折表    
第一 外つ国の踊り子の舞ひなまめきて ヒサヨ  
第二 笛吹きあはす前つ君々 初瀬  
第三 ちはやぶる神代のとほき物語り 和雄  
第四 三輪のやしろのたてる大山 梅豊  
第五 滝川の瀬々の白糸切れ切れに  
第六 蛍つつめるうすき衣手 初瀬  
第七 あくがるる魂の行く方ぞはずかしき 路光  
第八 色に出づるを誰や知るらむ 直人  
第九 残り香に忘れがたきは妹の影 純一  
第十 便りをせしも遠き古里 梅豊  
第十一 露ながら野菊たをりてつとにせむ  
第十二 雁ひとつらに従うもよし 路光  
第十三 鎌倉の月を枕に夜も更けて 初瀬  
第十四 心やすらぐ波寄する音 素拙  
名残折裏    
第一 沖の方ほのぼの見ゆる舟の跡 深峰  
第二 流るる雲やいづく行くらむ 直人  
第三 あけくれに軒端の空をながむるに 可矢  
第四 袖みな涼しこれ竹の風 南天  
第五 国々の小雀はやも集ひきて 和雄  
第六 陽もあたたかにそばだてる峰 純一  
第七 のどけしなしづ心なき花のちるらむ 深峰  
挙句 世の平らかを祈る佐保姫  

賦薄何連歌(巻21、平成29年12月9日満尾)

2018年02月11日 | 作品集

初折表

   
発句 散れる葉の色の吹き寄せ門に見よ 南天  
さえざえ映ゆる雪の富士の嶺 純一  
第三 天の原八重九重に雲湧きて  
第四 衣あらたに出立の時 和雄  
第五 たどり行く関には早も虫の声 直人  
第六 夕べの原にすすきなびける 素拙  
第七 月の舟水面静かに棹さして 初瀬  
第八 浜の真砂にしるきさざ波  
初折裏    
第一 浦里は漁る幸もさまざまに 和雄  
第二 かまどの煙のぼるゆたけさ 素拙  
第三 はるかなる旅の疲れやいやすらむ 純一  
第四 幣たてまつる三輪の祝子 初瀬 はふりこ
第五 なよよかに白の御衣に身を包み おんぞ
第六 酒ととのへよ我を待つ人 南天  
第七 久方の今宵の逢瀬楽しまむ 素拙  
第八 うき世うち捨てつきぬ語らひ 和雄  
第九 み仏は涼しき風にほほゑみて 純一  
第十 竹の若葉に揺るる月影  
第十一 歌に詠むその色としもなかりしに 南天  
第十二 霞の絶え間山ぞきはだつ 素拙  
第十三 白雲か花かわかねどたづね見む 可矢  
第十四 のどけき里につどふ老い人 直人  
名残折表    
第一 賤の家ひねもす鳥の声聞きて 和雄  
第二 干せし衣に降り初むる雨  
第三 待ち弱る袖の涙やいかばかり 南天  
第四 夢の通ひ路ひらくともなし 直人  
第五 枕香のたえぬ契りといひながら 純一  
第六 ただ悔しきは君がいつはり 和雄  
第七 初霜は北の籬に残りゐて 可矢  
第八 流れに色葉戯れつ潜りつ くくりつ
第九 水しぶき岩間を下る舟の旅 素拙  
第十 関を越ゆれば近き湯煙 純一  
第十一 信濃路は袖吹く風もわびしきに 和雄  
第十二 見渡すかたにそよぐ稲の穂 可矢  
第十三 砧打つ手をやすめよと月出でて 南天  
第十四 雲なき空を雁のひとつら  
名残折裏    
第一 待つほどにつつがなしとや文も来む 和雄  
第二 この山河を忘れやはする 素拙  
第三 五月雨の降りしきる里ゆたかにて 純一  
第四 憩ふ間に間に歌筵せよ  
第五 糸遊も胡蝶もあそぶ広き野に 和雄  
第六 永き日暮れて星またたけり 可矢  
第七 花なくは遠きに迷ふことなきを 南天  
挙句 心やすらふ春のかへるさ 素拙  

賦下何連歌(巻20、平成29年11月25日満尾)

2018年02月11日 | 作品集

初折表

   
発句 もみぢ葉に行く秋惜しむ雨もがな 初瀬  
露寒の朝わたる初雁 梅豊  
第三 山の端に有明の月残りゐて 素拙  
第四 はるかにつづくちよのふる道 初瀬  
第五 海や春真帆たつ舟の遠く見ゆ 梅豊  
第六 波を枕にのどかなる旅 素拙  
第七 東風はこぶ梅の匂ひもしたいつつ 初瀬  
第八 ここかしこ鳴く庭のうぐひす 梅豊  
初折裏    
第一 あかねさす雲のはたての切れ切れに  
第二 よさこいと云ふ熱きいざなひ   ヒサヨ  
第三 袖ふれしかたきちぎりも夢と見て 初瀬  
第四 逢瀬も今はかなはじの里 南天  
第五 山寺に祈りを籠むる僧ひとり  
第六 心に積もる雪は冷たし 初瀬  
第七 はだらなる萱の草枯れ分けながら 南天  
第八 狩場を駆くる駒のさまざま 梅豊  
第九 池の端夕べの憩ひ求め来て  
第十 おぼろの月の舟に匂へり 初瀬  
第十一 のどかなる笛の音遠く聞こえつつ 梅豊  
第十二 春日祭に集ふ村人 純一  
第十三 神さぶる御社の花待つほどに  
第十四 折も得ぬまゝはや酔ひのうち 南天  
名残折表    
第一 郭公いづち行くらむ山いでて 純一  
第二 風薫れりや旅の中空 初瀬  
第三 苔清水掬びて濡るる袖涼し 梅豊  
第四 身を捨ててこそ救はれもせめ 純一  
第五 ひたすらに十こゑひとこゑとなふべし 南天  
第六 逢ふことなくば恨むことなし  
第七 思へただふたみち心あらばあれ 初瀬  
第八 まだ来ぬ人を待つぞむなしき 直人  
第九 木枯しの荒ぶる庵は朽ちはてて 純一  
第十 庭は落葉に埋もるるまま 和雄  
第十一 冴え冴えに戦を語る琵琶の撥  
第十二 あはれを誘ふ弱き虫の音 直人  
第十三 いにしへの月の明石はこれかとよ 南天  
第十四 旅のつかれをいやすあさがほ 純一  
名残折裏    
第一 霧わけて越す山の峰遠からで 素拙  
第二 きのふの雲と今日流れつつ 初瀬  
第三 袖に降る竹の雫もきよらかに 和雄  
第四 籬のもとをよぎるそらだき 直人  
第五 雅なる館につどふ歌筵 素拙  
第六 それと見しまに霞晴れたり 純一  
第七 とりわきて宮の花こそめでたけれ 初瀬  
挙句 春惜しめとや風も待つらむ 南天  

賦花之何連歌(巻19、平成29年10月28日満尾)

2018年02月11日 | 作品集

初折表

   
発句 空高く澄みて雲なし歌ごごろ ヒサヨ  
秋のいろそふ遠きやまなみ 南天  
第三 ちひさくも赤々き月のぼり来て  
第四 千草もなびくさやかなる風 素拙  
第五 野末ゆく旅の衣をふきかへし 可矢  
第六 迷へる仔猫ふところに抱く ヒサヨ  
第七 淡雪に外面や寒さ残るらむ 南天  
第八 すずろに歩む永き日の苑  
初折裏    
第一 木のかげに池のさざ波きらめきて 直人  
第二 遠き近きにつどふをしどり 梅豊  
第三 霜ながら逢瀬にこころ浮き立ちぬ 和雄  
第四 おもひくまなき恋の通ひ路 初瀬  
第五 返しなし送りし歌のつたなきや  
第六 文箱はいまだうつろなりけり 南天  
第七 都よりのがれし里はわびしくて 直人  
第八 啄木鳥の音ひびくこのごろ 梅豊  
第九 身にしむ秋の風の香に 初瀬  
第十 むらくもわけて月ぞのぼれる 素拙  
第十一 さむしろにかはらけかはす夜も更けて  
第十二 いつしか水草生ふるせせらき 和雄  
第十三 名も高き交野の花をたづねばや 直人  
第十四 世々によろこぶ春のめでたさ 初瀬  
名残折表    
第一 年経りし社の築地神さびて  
第二 などかたふとき千木よぎる風 和雄  
第三 しばしとていこふ翁もすずしげに 直人  
第四 夢の如きと想ふ来しかた 素拙  
第五 うちひびく鐘もつれなし西の寺 初瀬  
第六 ひとり寝ぬ夜の時の長さよ  
第七 涙川浮かぶ枕を何とせむ 直人  
第八 深き恨みに袖はかわかじ 初瀬  
第九 鬼神も露分け衣まとひつゝ 南天  
第十 なほ紅まさる谷のもみぢ葉 和雄  
第十一 懸橋を渡る牡鹿の声悲し 素拙  
第十二 さ迷ふ道も遠き山里  
第十三 弓月の凍てし光や届くらむ 初瀬  
第十四 霜降る野辺の寒き明け方 直人  
名残折裏    
第一 川裾は雲のひとむら垂れ籠めて 和雄  
第二 かをる夏草旅をいざなふ 純一  
第三 をりからにみの笠飛ばす風荒み  
第四 かなづる笛の音のかそけさ 直人  
第五 垣の内とくうぐひすも訪ね来よ 初瀬  
第六 嬉しや袖もあたたかき庭 南天  
第七 咲き誇る花枝ひとつかざさばや 梅豊  
挙句 暮れゆく春の家苞にせむ 素拙  

賦白何連歌(巻18、平成29年9月30日満尾)

2018年02月11日 | 作品集

初折表

   
発句 名のみただ秋と匂はぬ小萩かな 南天  
分け入る野辺のしげき夕露 和雄  
第三 山の端に四方照らす月まどかにて 純一  
第四 しづもる里に虫の声々 可矢  
第五 池めぐる風もさやかにはらふ袖 素拙  
第六 白きむら雲いづち行くらむ 純一  
第七 旅にたつをりを得たりとさそひつゝ 南天  
第八 まだき時雨の落葉しく道 和雄  
初折裏    
第一 つれづれに歌ものがたりひもときて 可矢  
第二 こころに残るけしき忘れじ 素拙  
第三 へだつとも変はらぬ想ひ水茎に 和雄  
第四 これも定めか君を待つ宿 純一  
第五 繰返し昔のとがを責めながら 素拙  
第六 起きあかしたる短か夜の月 可矢  
第七 御社は涼しき風の吹き抜けて 純一 みやしろ
第八 笛やつづみに祭果てなし 素拙  
第九 たをやかな雨は荒田を潤せり  和雄  
第十 霞める奥の山あさみどり 可矢  
第十一 貴船川うぐひすの声響きつゝ 純一  
第十二 水嵩ぞまさる暮れ遅き岸 和雄 みかさ
第十三 花の翳夕さればとてたつも惜し 南天  
第十四 おぼろとなるも春のたのしみ 素拙  
名残折表    
第一 をりからにたふとき寺の鐘ありて 純一  
第二 迷はば照らせ法の灯 和雄  
第三 雲や友道は心の向くままに 素拙  
第四 笠なきとても雪はいとはじ 可矢  
第五 こがらしに漁小舟やこぎ出でむ 純一  
第六 冬も絶やさぬ浦のなりはひ 南天  
第七 浜づたひ塩やく竈の並びゐて 素拙  
第八 くゆる烟の三筋四つ筋 和雄  
第九 ながむれば里も近くやなりぬらむ 南天  
第十 都をあとに幾日へだつる 素拙  
第十一 吹き下す風荒スサぶ旅富士の嶺  
第十二 見渡すかぎり波の薄野 可矢  
第十三 暮れそめて月待つ原に人集ひ 素拙  
第十四 なにかりがねの空につげけむ 南天  
名残折裏    
第一 小牡鹿も急ぐばかりの露時雨  
第二 行く水はやく浅き瀬もなし 可矢  
第三 山峡に棹をあやつる舟の影 素拙  
第四 こころもとなき夜半のかへるさ 南天  
第五 ほの光る宿のともしはしるべにて  
第六 深き霞のつつむ村里 素拙  
第七 きのふけふ花のたよりをまちつるに 可矢  
挙句 まだ雪のこる如月のころ 南天  

賦山何連歌(巻17、平成29年8月26日満尾)

2018年02月11日 | 作品集

初折表

   
発句 ひぐらしの声もせかする家路かな 和雄  
萩の香とほくただよへる野辺 梅豊  
第三 雲間より出づる望月たゆたひて 純一  
第四 大海原に舟見え隠れ  
第五 外つ国へおくる追風のしまくらむ 路光 おひて
第六 みどりも深くつづく松影 可矢  
第七 さみだれに宿りを急ぐ旅衣 素拙  
第八 迎へる主宵の盃  
初折裏    
第一 篠笛のあるかなきかに聞こえきて 梅豊  
第二 凍つる水面に白鳥の群れ 純一  
第三 初雪は峰の半ばをおほひけり 和雄  
第四 ひしと秘めたる胸のうづみ火 路光  
第五 かきおこす筆に想ひをとどめなく 素拙  
第六 君待つ宵につらき鐘の音 梅豊  
第七 ままならぬ世を嘆くともせんもなし 純一  
第八 ひたすら西の方をたのまむ 可矢  
第九 けがれなき蓮の池に身を浄め 素拙  
第十 短き夜の月ぞしづけき 和雄  
第十一 伏せ庵の板のひさしのひま荒み 路光  
第十二 あぐるひばりの声や漏れくる 梅豊  
第十三 こぼれ咲く花も寿ぐ巫女の舞ひ 純一  
第十四 吉野の山にあたたかき風 可矢  
名残折表    
第一 峰々を分くる川水流れ来て 直人  
第二 棹の雫にぬるる衣手 初瀬  
第三 思はずの徒し浮名の立ちにけり 路光  
第四 何とはなしにはやるわが胸 梅豊  
第五 遠けれど灯火ひとつ見えそめて 可矢  
第六 すがる杖の音トややも軽みき 和雄  
第七 ほととぎす森のはづれに聞きしより 直人  
第八 冥き路より人のおとなひ 路光  
第九 語らへは知られぬ程の西の風 和雄  
第十 湊に幾日出舟まちつつ 可矢 いくか
第十一 霧ながらかしこの島は絶え間得て 南天  
第十二 芦刈る方は色暮れにけり 路光  
第十三 はすかひに雁を渡して月明かし 初瀬  
第十四 露置く庭にしげき虫の音 素拙  
名残折裏    
第一 もとほれば仕着せの袖も萎るらむ 路光  
第二 寒けき空に走るむら雲 直人  
第三 立ち迷ふ煙とともに炭焼きて 素拙  
第四 小笹を分くる行き来いつまで 南天  
第五 百鳥のさへづる声はよそなれや 路光  
第六 広野はすでに雪消えの風 可矢  
第七 待つうちに花ふたつみつ咲きそめて 南天  
挙句 春たづねむと集ふやさしさ 素拙  

賦夕何連歌(巻16、平成29年8月12日満尾)

2018年02月11日 | 作品集

初折表

   
発句 光る鮎岩間を走る川瀬かな 素拙  
風ぞ涼しき山の辺の道 初瀬  
第三 旅立ちはかをる若葉に誘はれて 純一  
第四 流るる雲に行方たづねむ 直人  
第五 大空にいつしか雁の影もなし 可矢  
第六 夕さるほどに冷ゆる広庭 路光  
第七 望月を軒端の先にのぞき見て 梅豊  
第八 しとどの露に濡るる衣手  
初折裏    
第一 なほ聞こゆ機織る音の遠きより 初瀬  
第二 文書きつぎてしばし置く筆 可矢  
第三 帰りなく空しきことと知りつるに 直人  
第四 積れる雪の閉ざす通ひ路 純一  
第五 乳母子にあとを託して世を棄てつ 梅豊 めのとご
第六 壁に向かひて法を唱へむ 素拙  
第七 はちす葉の色際立つや濁り池  
第八 虹をうつしてまろぶ水玉 路光  
第九 をちかたの山もやうやう暮れそめて 直人  
第十 あはれとも見すおぼろなる月 純一  
第十一 待ちかねしうぐひすの声里々に   初瀬  
第十二 のどけき野辺に集ふ村人 素拙  
第十三 七重八重花九重に咲きぬるや 梅豊  
第十四 一日巡らせ朱の盃 路光  
名残折表    
第一 笛の音の宮にかそけく響くらむ 純一  
第二 夜すがらこもるゆゑぞゆかしき 可矢  
第三 誰か知る逢坂の関超ゆる道 初瀬  
第四 恋しかりける空蝉の声 直人  
第五 折りふしにひたぶる思ひ果てもなし  
第六 まなこに浮かぶ荒るる故郷 素拙  
第七 降りそぼつ雨に侘しき旅衣 梅豊  
第八 友を呼ぶとやむささびの鳴く 初瀬  
第九 奥山の霧の凍てつる真木の枝に 路光  
第十 さらに吹き増すかぜのきびしさ 可矢  
第十一 沖つ舟高波越えて帰り来よ  
第十二 いづこへ渡る鳥の一列 純一 ひとつら
第十三 月しばし星のあはひに遊ぶらむ 路光  
第十四 花野に子らの声は絶えたり 可矢  
名残折裏    
第一 さらでなほさびしさまさる東屋に 和雄  
第二 ころも涼しき庭の村雨 梅豊  
第三 池の面に水輪広ごる夕間暮 素拙  
第四 淡き日影にとくる山の端 路光  
第五 思はずも険しき杣路駒止めて 純一  
第六 霞たなびく都をぞ見る 梅豊  
第七 花ははや咲きにけらしな紫野 和雄  
挙句 開手の音もあたたかき杜 ひらて

賦何垣連歌(巻15、平成29年7月8日満尾)

2018年02月11日 | 作品集

 

初折表    
発句 ねむの花うす紅はける色香かな 直人  
御簾をゆらして通ふ涼風 路光  
第三 柴小舟かはせみの音や届くらむ 初瀬  
第四 狩衣ふたつ立てる岸の辺 梅豊  
第五 都へとおもむく旅のみちすがら 素拙  
第六 野くれ山くれ肩の荷重し 和雄  
第七 望月のよきころあひにたゆたひて 純一  
第八 なびくすゝきの真白なる影 かず  
初折裏    
第一 松虫のこなたかなたにすだくらむ 梅豊  
第二 露おくほどに時やすぎぬる 初瀬  
第三 たまゆらのはかなき命悲しけれ 純一  
第四 言の葉のみを形見とぞせむ 和雄  
第五 忘られぬ人を夢路に又もみて 直人  
第六 今し燃えたつ胸の埋み火 路光  
第七 かきおこす文をもとざす隠れ里 素拙  
第八 比叡の山に響く鐘の音 純一  
第九 神もすむ雲のはたてに願ひせむ 初瀬  
第十 いらへなきまま霞む夕月 路光  
第十一 うららけき宵のうたげにさそひしに 直人  
第十二 ひと声もなし帰るかりがね 和雄  
第十三 はらはらと散り行く花を惜しむらむ 純一  
第十四 またや会ひ見む再びの春 かず  
名残折表    
第一 故郷にうからはらから集ひけり  
第二 昔のままにけしきかはらず 素拙  
第三 ことうらをめぐる小舟やいそぐらむ 初瀬  
第四 うす汐曇る沖の島山 和雄  
第五 辿り来し岡辺に千草咲き初めて 梅豊  
第六 負へる薪にもみぢ葉の陰 可矢  
第七 思はずの露分け衣そで重し かず  
第八 誰が文はこぶ雁の通ひ路 初瀬  
第九 夕さればいとど恋しさまさるらむ  
第十 かたき契りを忘れやはする 和雄  
第十一 たま葛長き世々をば過ごし来て 梅豊  
第十二 いつしか馴れし冬寒の庵 可矢  
第十三 凍て月は寂しき山を照らしつつ 素拙  
第十四 こゑもきこえずただ風ぞ吹く 初瀬  
名残折裏    
第一 さまざまに道もあるやと旅立ちて 和雄  
第二 都のたより鳥に問はばや  
第三 帰るには如かじと今は知りながら 南天  
第四 いかづち荒るる原を渡りぬ 素拙  
第五 横雲の棚びく峰をよそにみて 梅豊  
第六 川水温みしるき瀬の音 かず  
第七 匂ひまで一色に花つつむらむ 初瀬  
挙句 心うれしき袖の春風 可矢