むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦何鳥連歌(巻56、令和元年12月21日満尾)

2019年12月21日 | 作品集

 

初折表    
発句 青著きみ空の裾に枯野かな  
風さえざえと遠き海鳴り 和雄  
第三 庭先のかけひの水や凍るらむ 弓子  
第四 よそひ新たに急ぐ旅立ち 純一  
第五 薄雲にかくされそめし山さして 直人  
第六 鹿の声聞く峰の夕暮 草芳  
第七 村雨にいさよふ月ぞなほ明き さう美  
第八 すすきの原に光る白露 素拙  
初折裏    
第一 帰るさの小道に萩はこぼれつつ 可矢  
第二 川の淀みに浮かぶうたかた  
第三 朝ぼらけ思はずの文まひこみて 草芳  
第四 つつがなけれと祈る御仏 純一  
第五 紫の雲のたなびく西空に 直人  
第六 はや変わりゆく君の心根 和雄  
第七 いたづらに頼みし頃ぞなつかしき 可矢  
第八 深山の庵に吹き荒ぶ風  
第九 ほととぎす声のみ残し影もなし 草芳  
第十 涼しき月の鳰のみづうみ 純一  
第十一 浦つたふ小舟のあとのおぼつかな 直人  
第十二 斎の庭に遊ぶ永き日  
第十三 みはるかす花に八重雲まがひつつ 和雄  
第十四 のどかになびく舞姫の袖 可矢  
名残折表    
第一 ありがたき古へしのぶこともよし 純一  
第二 けふもあらたし入相の鐘 草芳  
第三 世のためと我が子あやめる親のゐて  
第四 寒さきびしき雪空の下 直人  
第五 枯蘆の汀に鴨やうち羽ぶく 可矢  
第六 白波越えていづくさすらむ 和雄  
第七 くやしくも人を捨て置き消えさりて 直人  
第八 袖が香残る後朝の夢 純一  
第九 さみだれにながめさびしき小柴垣 可矢  
第十 あふちのほかは見るものぞなき 南天  
第十一 玉の緒の命の果ては天地に あめつち
第十二 心も空の匂ひやはする 初瀬  
第十三 月を待つこのひと時のうれしさよ 直人  
第十四 風さはやかに野辺をめぐりぬ 素拙  
名残折裏    
第一 鈴虫のすだく狭庭を尋ねきて 純一  
第二 浅茅が宿は門を鎖すなり 可矢  
第三 軒を葺く萱のくづれもそのままに 南天  
第四 雲も流れよ雨も降れかし 初瀬  
第五 霞立つをちかた山をあふぎみて 直人  
第六 もの憂き如きうぐひすの声 純一  
第七 咲き誇る花に散りゆくしるしあり 素拙  
挙句 めぐれる水にあたたかき苑  

賦花之何連歌(巻55、令和元年12月6日満尾)

2019年12月06日 | 作品集

 

       
初折表    
発句 吹き寄せの今朝の錦や苔の庭 和雄  
白雪つもるをちかたの山 純一  
第三 ひとつ行く鳥の翼も寒くして 可矢  
第四 せめて重ねよ雲の羽衣 初瀬  
第五 川霧の消えてうたかた浮かぶらむ 弓子  
第六 さやけく渡る秋の初風 直人  
第七 待ちかねし薄の原に月出でて 素拙  
第八 棚田の里は稲穂たれけり 草芳  
初折裏    
第一 雨がちの峠の宿ぞ寂しかる  
第二 駒の歩みはとどこほるらし 純一  
第三 夏祭り詣づる人のあまたゐて 素拙  
第四 眉目うるはしき祈る乙女ご 直人  
第五 あひたくも浮き名たつ世のうらめしさ  
第六 わだちのひびき残す通ひ路 弓子  
第七 玉づさも今はかぎりと火にくべて 可矢  
第八 いざ鎌倉とまづは狩衣 初瀬  
第九 初霜の長谷の御寺ぞありがたき 純一  
第十 いらかを照らす凍てし月影 直人  
第十一 土器のかま元探す旅に出て かはらけ
第十二 百千鳥啼く鄙に幾年 弓子  
第十三 甘き香の満ちてうれしや花盛り 初瀬  
第十四 ゆるりと暮るる春の川岸 草芳  
名残折表    
第一 舟長の棹を操る声高し 素拙  
第二 かがやき揺るる小波白波 和雄  
第三 横雲も豊旗雲も雲のうち  
第四 同じみ空を流れゆく身よ 可矢  
第五 木枯しに定めまかせて悔いもなし 純一  
第六 始め終りのなき老い語り 和雄  
第七 逢ひたしとやりし言の葉散り果てて 直人  
第八 いかに紡がむ仰ぐ面影 素拙  
第九 うすものに恋のほむらの燃え上がり  
第十 薫れる風をなくさめにせむ 純一  
第十一 たをやかな雨も我が家をうるほして 和雄  
第十二 染まるもみぢ葉山を織りけり 直人  
第十三 当てどなき道を照らせよ月明かり  
第十四 澄みたる空に迷ふ群雲 素拙  
名残折裏    
第一 鈴虫の妙なる調べころもよし 純一  
第二 笹のそめきもとくるせせらき 和雄  
第三 旅衣渡るもあへず濡れわびて 直人  
第四 心も和む宿のもてなし  
第五 酌む酒に疲れも癒えて時すぎぬ 素拙  
第六 うららに匂ふ野辺の若草 直人  
第七 新たなる御代祝ぐ花も色映えて 純一  
挙句 風光りつつ大八洲国 和雄