むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

3月30日(金)古河で「花の下連歌」を開催しました

2018年04月04日 | 近況

むさしの連歌会として発足以来の恒例行事、古河市の満福寺において「花の下法楽連歌」を張行しました。このお寺は、室町時代末期に北野天満宮連歌会所の奉行として、当時の連歌界をリードした猪苗代兼載(いなわしろ けんさい)翁のお墓があるところてす。当時の古河公方、足利成氏公のお墓もあります。参加者は合計16名。大阪から鶴崎裕雄先生にお越しいただいたほか、旧古河連歌会のメンバーも参加してくれました。
お寺に到着した後は、まず兼載翁のお墓にお参りし、ちょうど満開になった山門前の桜を愛でながら、各自持参のお弁当をいただきました。鶴崎先生は、今日を最初に、全国で開催される「花の下連歌」五座を巡回されるそうです。

 
それから庫裏に入り、参加者の一人、香道の家元の薫いてくれた御香を皆で聞きました。銘は「花の宴」、「こてふ」、そして後水尾院の勅銘香「少年の春」でした。心が研ぎ澄まされたところで、「まくらが座」と「わたらせ座」に分かれ、世吉を巻き上げました。

 

 
満尾に当っては、能楽の素養がある会員二人が「西行桜」の一節を披露。まさに花の下連歌の掉尾を飾るにふさわしい曲でした。その中にも「花を踏んでは同じく惜しむ少年の春」という詞章があります。たまたま御香の銘とも一致したのですが、もとは和漢朗詠集に採り上げられた白楽天の詩の一節。日本文化の奥の深さと、歴史的なつながりとを再認識した瞬間でした。

そして本堂に移り、池田代表自ら浄書した連歌懐紙を読み上げて仏前に奉納。充実した春の一日を惜しみながら、一同、帰路につきました。(文責:路光)

 

               

 


賦何風連歌(巻27、平成30年3月30日満尾、古河花の下)

2018年04月01日 | 作品集

花の下法楽連歌 耕閑軒兼載翁追善 於古河満福寺 わたらせ座

    (巻26と名残折表第六までは同じです)

初折表  
発句 花さかり雪もまことのみ山かな 兼載
筑波嶺わたるうららなる風
第三 のどけしなけふは霞とつどひきて 初瀬
第四 深きゆかりに歌のさ筵 路光
第五 高き名をしたひ詠みつぐ村里に 直人
第六 遠方かけてきぬた打つ音 純一
第七 宵の池いづくに月や浮かむらむ 和雄
第八 あくまですめるこれ秋の水 南天
初折裏  
第一 もみぢ葉と流れに添ひて行かばやな 可矢
第二 鹿鳴く道の旅ぞさびしき 梅豊
第三 夕されば明かき灯しの宿もがな 素拙
第四 忘れがたきは残る袖の香 純一
第五 忍ぶれど我が名立つ世のうらめしや
第六 色に出でぬと伝へしは誰 梅豊
第七 山並はしぐれの雲にかくされて 和雄
第八 雪のもよひに急ぐはは鳥 路光
第九 風さわぐ小笹の外は音もなし 直人
第十 ささ波ひかるおぼろ夜の月 素拙
第十一 やうやうに洲浜の水もぬるみけり 南天
第十二 あなたこなたの春のおとづれ 深峰
第十三 いとざくら嵯峨の御寺は色映えて 純一
第十四 法説く声の絶えぬ永き日
名残折表  
第一 いにしへを偲ぶよすがも何せむに 路光
第二 涙ばかりの老いの行末 和雄
第三 杖のみやかたへの友となりぬらむ 南天
第四 百夜通へる人もありしを 梅豊
第五 もの言ふも涼しき風に誘はれて 純一
第六 木の下闇にふるる指先 直人
第七 橘の花の香にほふ神のくら 路光
第八 今ひとたびとたづねゆくらむ 梅豊
第九 宿りして都心をなぐさめよ 和雄
第十 古き玉章読みかへしたり 伸子
第十一 白露に消えし命を惜しむらん 美奈子
第十二 いづくに鳴くや初雁の声 加奈子
第十三 山の端にまさに出で來し月の影 直人
第十四 色なき風に尾花波寄る 純一
名残折裏  
第一 垣間めば荒れにし庭の水清し 美奈子
第二 さぞな奥道雪深からむ 和雄
第三 雲おそく旅行く空につれだちて 梅豊
第四 国の境を踏みて幾年 路光
第五 あはれなるうぐひすの音のをちこちに 純一
第六 衣を解きていこふ春の野 加奈子
第七 花の門ひろがり咲きぬ許我の寺  伸子
挙句 めでたき里に千代ぞ寿ぐ 直人

賦何風連歌(巻26、平成30年3月30日満尾、古河花の下)

2018年04月01日 | 作品集

花の下法楽連歌 耕閑軒兼載翁追善 於古河満福寺 まくらが座

  (巻27と名残折表第六までは同じです)

初折表  
発句 花さかり雪もまことのみ山かな 兼載
筑波嶺わたるうららなる風
第三 のどけしなけふは霞とつどひきて 初瀬
第四 深きゆかりに歌のさ筵 路光
第五 高き名をしたひ詠みつぐ村里に 直人
第六 遠方かけてきぬた打つ音 純一
第七 宵の池いづくに月や浮かむらむ 和雄
第八 あくまですめるこれ秋の水 南天
初折裏  
第一 もみぢ葉と流れに添ひて行かばやな 可矢
第二 鹿鳴く道の旅ぞさびしき 梅豊
第三 夕されば明かき灯しの宿もがな 素拙
第四 忘れがたきは残る袖の香 純一
第五 忍ぶれど我が名立つ世のうらめしや
第六 色に出でぬと伝へしは誰 梅豊
第七 山並はしぐれの雲にかくされて 和雄
第八 雪のもよひに急ぐはは鳥 路光
第九 風さわぐ小笹の外は音もなし 直人
第十 ささ波ひかるおぼろ夜の月 素拙
第十一 やうやうに洲浜の水もぬるみけり 南天
第十二 あなたこなたの春のおとづれ 深峰
第十三 いとざくら嵯峨の御寺は色映えて 純一
第十四 法説く声の絶えぬ永き日
名残折表  
第一 いにしへを偲ぶよすがも何せむに 路光
第二 涙ばかりの老いの行末 和雄
第三 杖のみやかたへの友となりぬらむ 南天
第四 百夜通へる人もありしを 梅豊
第五 もの言ふも涼しき風に誘はれて 純一
第六 木の下闇にふるる指先 直人
第七 しるべなき深山の旅も楽しまむ
第八 詠むはここぞと歌ふうぐひす 南天
第九 畠打つ農夫の姿ちらほらと 義夫
第十 常在不滅のどかなる空 深峰
第十一 うらやまじ心まかせの春の雲 ヒサヨ
第十二 天の河行く星合ひの舟 裕雄
第十三 白綾の袖月影に匂ひけり 初瀬
第十四 露に濡れつつしのび逢ふ恋
名残折裏  
第一 波寄する浦にのぼれるうすけぶり 素拙
第二 遠く近くに島美しく 義夫
第三 いづかたか見まくほしくは冬の蝶 深峰
第四 もたれし窓にかかる粉雪 ヒサヨ
第五 つれづれは硯もうとくなりゆきて 南天
第六 東風にたくして便りとどけむ 初瀬
第七 渡良瀬の川面に花の満ち満つる 裕雄
挙句 宴に酔へる佐保姫の舞 素拙