むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦何袋連歌(巻51、令和元年9月14日満尾)

2019年09月30日 | 作品集

 

初折表    
発句 秋の風まづ宿りしは梢かな 梅豊  
ほの聞こえ来る荻のささめき  
第三 月かげの揺るる波間に棹さして 弓子  
第四 かへりみすれば霧らふ島々 和雄 きらふ
第五 旅なればやつれ衣も愉しまむ 初瀬  
第六 先を急がぬ道ののどけさ 可矢  
第七 うらうらと雲雀あがりて事もなし 路光  
第八 里のあたりになびく山吹 直人  
初折裏    
第一 ま青なる空を映すや朝鏡 さう美  
第二 いつしかやみぬ昨夜の五月雨 純一 きぞ
第三 袖口にそと通ひくる風涼し 梅豊  
第四 硯の水も恋にさわぎぬ 和雄  
第五 忘れじの人の香残る玉章に さう美  
第六 つのる想ひに年のみぞ経る  
第七 落ち行きて終の棲まひの板びさし 路光  
第八 時雨の音もなれしこのごろ 可矢  
第九 さゆる夜は彼の岸だにと祈るべし 直人  
第十 こほるばかりの陸奥の月 初瀬  
第十一 山裾の出で湯にもるる御国風 弓子 みくにぶり
第十二 斉垣を越えて戻り来る蝶  
第十三 諸神も今年の花を見そなはせ 路光  
第十四 霞にまがふ九重の雲 直人  
名残折表    
第一 手弱女の心ひとつの円居にて 和雄  
第二 片袖ぬらす空知らぬ雨 初瀬  
第三 訪ねては契り絶えずと言ふものを 純一  
第四 二つの道になほ迷ふらむ 可矢  
第五 来む世にはこの世の鬼のさねあらじ  
第六 白き息吐き仰ぐみ仏 弓子  
第七 降りつみし雪の重みに竹折れて 直人  
第八 墨絵のごとき冬の大原 初瀬  
第九 しまらくは旅の門出に軒借らむ 路光  
第十 籬を去らぬ諸鳥の声 和雄  
第十一 外つ国の人あまたなる都路 みやこみち
第十二 新走りこそ友と交はさめ ヒサヨ  
第十三 待つ月に夜寒の袖もおぼつかな 南天  
第十四 妙なる琴ときそふ鈴虫 純一  
名残折裏    
第一 さすらへば峰の白雲うつろひて 弓子  
第二 いざや岩間の清水むすばむ 可矢  
第三 涼風の庵の戸叩く仮枕  
第四 しばしの夢に心地なごめり 草芳  
第五 百千鳥さへづる声にうきたちて 直人  
第六 あかねさす日に萌ゆる草々 和雄  
第七 ここかしこいとゆふ遊ぶ花の下 素拙  
挙句 春を言祝ぐ武蔵野の杜 純一  

賦何所連歌(巻50、令和元年8月10日満尾)

2019年09月30日 | 作品集

 

初折表    
発句 あでやかに池に立咲くはちすかな 直人  
涼しき風の吹き寄する頃  
第三 御簾の隙遠の山影ほの見えて 弓子  
第四 いづくゆくらむ雁のひとつら 梅豊  
第五 霧ながら標たよりのひなの道 和雄  
第六 なれし衣ぞややも寒かる 路光  
第七 さす棹の月うがつだにあはれなり 南天  
第八 唐土船の揺るる川岸  
初折裏    
第一 白き雲流るるごとくたなびきて 梅豊  
第二 琴弾き草の声たゆるなし   和雄 琴弾き草=松
第三 頼むべき人はいづれの緒によらむ 路光  
第四 ふた道ありと聞くはまことか 南天  
第五 しのび逢ひ降り積む雪に引く轍 弓子  
第六 ひそかに燃ゆる胸の埋火 ヒサヨ  
第七 山坂を老い失せよやと走る日々  
第八 吹く方かはる野風身にしむ 和雄  
第九 わが宿の虫の声までかそけくて 梅豊  
第十 弓張月の影ぞうつろふ 直人  
第十一 九重の高き御階のものものし 路光  
第十二 襲の色目梅と早蕨  
第十三 花の下挿頭の光る巫の舞ひ 弓子  
第十四 残る弥生も両手折るほど 南天  
名残折表    
第一 水の音に誘はれいづる信濃路を 和雄  
第二 いかづち走るをちの峰々 純一  
第三 時ならぬ雨に萎るる萱草 路光 わすれぐさ
第四 ひとり寝る夜の袖はかわかじ  
第五 すておきしあかずの文箱なつかしや 草芳  
第六 知らずおぼえずつらき言の葉 直人  
第七 かの空を覆ふ黒雲伝へ得で 素拙  
第八 八十年ふりし命ありけり さう美  
第九 秋深き三井のみ寺にまうできぬ 梅豊  
第十 鐘の音わたるさやかなる湖  
第十一 里もまた映ゆるもみぢば色まして 純一  
第十二 見馴れし野山などかさびしき 和雄  
第十三 わが旅に凍てし月こそ友ならめ 梅豊  
第十四 雪散りそめの北風のみち 草芳  
名残折裏    
第一 二つ三つ雲なかぞらにとどまりて 路光  
第二 まとはり飛ぶはかはほりの群れ  
第三 粗垣の夕顔白く咲くまゝに 南天  
第四 軒に妙なる笛ぞ涼しき 純一  
第五 池めぐる遊びの舟の波の跡 さう美  
第六 風あたたかくたゆむことなし ヒサヨ  
第七 いとはやも峰のかげより花見えて 梅豊  
挙句 春をたのしむ村人の声 直人  

賦何水連歌(巻49、令和元年7月27日満尾)

2019年09月30日 | 作品集

 

初折表    
発句 群れなして川と流るる蛍かな 素拙  
祭のあとにわたる涼風 直人  
第三 山の辺に貴なる衣歩むらむ  
第四 きのふの雲と追ひつ追はれつ 初瀬  
第五 いとはやも秋の色なる里に来て さう美  
第六 笛に通へる雁のをちごゑ 南天  
第七 白萩の波寄る小野に月出でぬ 可矢  
第八 雨の名残りに立てる菊の香 路光  
初折裏    
第一 まつうちに歌のことの葉きこゆらむ 梅豊  
第二 きそひて吹くか風のさざめき 草芳  
第三 細殿をわたれば揺るる玉の衣 路光  
第四 襲の色目今日のまぶしさ 和雄  
第五 後朝の跡にはひとつ鳥の羽  
第六 別れのつらさ涙にくれぬ 直人  
第七 語らふも道ことかたに西東 可矢  
第八 ただ手を合はせ法をたのまむ 初瀬  
第九 時雨れては雲の絶え間を求めつつ 和雄  
第十 凍てし真澄の空に月影 路光  
第十一 厨には谷川の水注ぎ入り  
第十二 里に降りむも近きうぐひす 直人  
第十三 上もなき花の都といふは誰 南天  
第十四 よしのの宮にかすみたなびく 草芳  
名残折表    
第一 けふこそは手向けの幣を散らすらめ 初瀬  
第二 長き年経て想ひ叶ひぬ 素拙  
第三 こと更に心高ぶる肌のきず  
第四 いくさにきほふ荒きもののふ 南天  
第五 うたかたのいつ消ゆるかのはかな世に 和雄  
第六 ただ夏草のなびく川岸 直人  
第七 親里に河鹿なく夜ぞわびしかる 路光  
第八 空の果たてに星の輝き ヒサヨ  
第九 さす峰は定かならねど影みえて 和雄  
第十 旅路は徒歩にかぎるものかは 南天  
第十一 吹きわたるさやけき風に墨衣  
第十二 肌寒なれど常の行ひ 和雄  
第十三 立ちくゆる香りゆかしき夕月夜 ヒサヨ  
第十四 雁の鳴きゆく暮れ方の空 直人  
名残折裏    
第一 川門より漕ぎ出す櫂の音なひて  
第二 流れて早し尾根の白雲 和雄  
第三 こがらしのしまく小里に影もなし 純一  
第四 舞ひ散る雪にいろり囲まむ 素拙  
第五 酒を酌み歌詠み交はすひなの庵 弓子  
第六 外の面にもゆる春の草々 梅豊  
第七 うるはしき豊葦原に花みちて 純一  
挙句 御世を祝ふやうららけき空 路光