むさしの連歌会

雅な和歌の言葉で連歌を楽しむ会、一度、のぞいてみませんか?

賦何垣連歌(巻48、令和元年6月22日満尾)

2019年07月14日 | 作品集

初折表    
発句 あぢさゐのよひらに八重の小雨かな 初瀬  
葵のかさね濡るる庭先  
第三 ほととぎす古声残し過ぎゆきて 直人  
第四 遠に見ゆるは山峡の雲 純一  
第五 都へと峠を越えて旅立たむ 素拙  
第六 仮寝の森のしげき下露 和雄  
第七 池の面に円かなる月影映えて  
第八 さびしき庵にすだく鈴虫 純一  
初折裏    
第一 たきしめし香りははやも失せつるに 直人  
第二 けふ吹く風のいづちむくらむ 初瀬  
第三 うき人のふたつ心はあやにくて ヒサヨ  
第四 玉梓ぬらし乾く間もなし 素拙  
第五 降る雪の隔つ通ひ路越さばやな 純一  
第六 水も氷の衣着る頃 初瀬  
第七 師とともにつらき勤めをやり終へて 直人  
第八 鐘の音響く西の大寺  
第九 ままならぬ世ぞ嘆くことあるまじき 純一  
第十 霞を払ひ月昇り来ぬ 素拙  
第十一 夜もすがら友と語らふ春の宿 ヒサヨ  
第十二 ほの聞こゆるはうぐひすの声  
第十三 峰の花いよよきよらに咲き継ぎて 和雄  
第十四 奥宮へ行く道のけはしさ 可矢  
名残折表    
第一 さみだれをまとひし社闇深し さう美 やしろ
第二 青みを増して野を渡る川 素拙  
第三 荷を下ろし岸辺に憩ふ旅半ば 弓子  
第四 とり出したる文のひとひら 草芳  
第五 彼のひとのかをりに胸の高なりて   梅豊  
第六 こころ知りせば往かざらましを  
第七 ほど経りて景色も変はる庭の面 和雄  
第八 枯葉の積もる寺の裏山 弓子  
第九 明けの空子ら喜びぬ初雪に 草芳  
第十 老いの繰り言しばし止めむ 和雄  
第十一 近道は鬼来るらしと伝はりて  
第十二 さ牡鹿の声ひびく夕ぐれ 弓子  
第十三 袖濡らし都の外に月ぞ見る 可矢 ほか
第十四 風はさやかに今日のかへるさ 和雄  
名残折裏    
第一 川端に摘む秋草をつとにせむ  
第二 煙たなびく鄙の厨辺 弓子  
第三 いつとなく戸をたたくのは雨あられ 草芳  
第四 ただ訪ね来よ坏交はさむや 和雄 つき
第五 青空に指笛吹きて駒を待つ 弓子  
第六 陽炎ゆらぐ山陰の道 ヒサヨ  
第七 手にありし花つかのまに散り果てて 可矢  
挙句 光のこしてのどかなる苑 和雄  

 


賦何文連歌(巻47、令和元年6月8日満尾)

2019年07月14日 | 作品集

初折表    
発句 田の面の影ささめくや青嵐 さう美  
ほととぎすなく遠の山裾 をち
第三 ひと木なる枝葉をたのみやすらひて 南天  
第四 旅行く方はいまだ知られず 直人  
第五 いづくよりうるはしき笛聞こゆらむ 純一  
第六 夜霧のとばり包む柴の戸 弓子  
第七 薄墨の月を軒端に惜しみつつ 和雄  
第八 重くしだるる白萩の花 梅豊  
初折裏    
第一 秋風とたゆたふ野辺に裾濡れて 可矢  
第二 駒ぞいななく澄み渡る空 素拙  
第三 鈴の音かすかにひびく山の道 草芳  
第四 わがたつそまに降りしきる雪 純一  
第五 目離るとも思ひのたけを伝へばや  
第六 穂先も迷ふ恋の筆跡 和雄  
第七 憂き人と心に決めしそののちに 直人  
第八 沖へと急ぐ舟ぞさびしき 可矢  
第九 幾歳も見ぬ故郷へ帰らなむ  
第十 おぼろにめぐる有明の月 純一  
第十一 つばくらめ雲居の果てに消え行きて 弓子  
第十二 大内山に桜守る日々 直人  
第十三 外つ国の客人迎ふ花宴 素拙  
第十四 弥生那の津のうららなる波 可矢  
名残折表    
第一 勤め終へゆくりと円居楽しまむ 和雄  
第二 墨染の袖翻しつつ 弓子  
第三 薫る風里の篠竹しるけさに 純一  
第四 いとしき人のささやきと聞く ヒサヨ  
第五 たそがれにもれたる君の影ゆれて 靖大  
第六 いつかは添はむ祈る神垣 直人  
第七 遠なれど伊勢の御社詣でばや 純一 みやしろ
第八 心しづめる出で立ちの朝 和雄  
第九 ひと山を越えてこだまの招くまま 初瀬  
第十 色づく峰を雁わたる声 素拙  
第十一 人目避け庵におく身ぞ露ふかし  
第十二 をみなめし咲くところせき庭 純一  
第十三 さやかにもくまなく照らす月影に 直人  
第十四 夜半の寝覚めの肌寒き風 さう美  
名残折裏    
第一 横雲は衣のすそがにたなびきて 初瀬  
第二 雨にひろごる池のさざ波  
第三 より添へるをしやみそかに語るらむ 直人  
第四 網の凍てつく朽ちし釣舟 素拙  
第五 山の端に映ゆる日ざしをうちながめ 純一  
第六 かすかに匂ふ下萌えの色 初瀬  
第七 そことなく糸遊あそぶ花の道 和雄  
挙句 盛る宴に暮れかぬる空