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マダム・クニコの映画解体新書

コピーライターが、現代思想とフェミニズムの視点で分析する、ひと味違う映画評。ネタバレ注意!

ウーマン・オン・トップ★★★★★

2005-03-18 | 映画短評
何と魅惑的な映画だろう。美しい映像と快い音楽、深い人生哲学に満たされ、ゴダールの作品のように、人間が本来持つ「心で感じる」歓びを堪能させてくれた。  イザベラは、おおらかな気質を持ち、大自然そのものである海の女神イマンジャを尊ぶ、ラテン・アメリカのシンボル。一方、夫のトニーニョは平然と自然を冒涜。恋人のクリフも人知を駆使して経済獲得に奔走する西洋文明の象徴。「男と女」、「ラテンと西洋」のどちら . . . 本文を読む

火星のカノン★★★★

2005-03-16 | 映画短評
恋愛も家族も幻想ゲームだ。人を好きになるということは“自分を愛してくれるフリをする人”が好きっていうこと。つまり、人は自分がいちばん好きなのだ。こんな簡単な方程式、誰もが分かっているくせに、すぐにこんがらかってしまう。  だから、恋愛も家族も永遠のテーマになる。本作は、風間監督の恋愛感が等身大で描かれていて好感が持てる。 不倫の相手の公平は幼い娘に言う。「かくれんぼは、そこそこ上手に隠れて見 . . . 本文を読む

夜を賭けて★★★★ 

2005-03-14 | 映画短評
1人ひとりの個性がくっきりと描かれ、密度の濃い群像劇として楽しめるのだが、とにかく暴力シーンが多い。男も女も関係なく暴れ放題だ。冒頭でも記したように、人間が本来内包する“暴力性”をきちんと炙りだすことは重要だが、それが作品としてのパワーになるかどうかは、シーンとしての必然性と大いに関係がある。 在日特有のハングリー精神の発露として、俳優のエネルギーを全開にする演出はもちろん必要だが、これほど . . . 本文を読む

猟奇的な彼女★★★★

2005-03-11 | 映画短評
説明の少ない映画だ。セリフや行動に伏線があり、ミステリーの楽しみもある高度な演出にはワクワクさせられる。単なる大酒飲みの振る舞いだけでなく、しらふの時も、男性に対して厳しい彼女。よほど男に対する恨みがあるのかと謎解きをしたくなる。 だが、彼女のそうした行為も、「私も普通の女の子だったのね」というセリフにガクン!ジェンダーの解体がテーマだと思っていたが、彼女の“猟奇性”は、単なる味付けにすぎなか . . . 本文を読む