チェインブレーカー及び関連領域の郵便史

ユーゴスラヴィア建国当時~1922年頃までの旧オーストリア・ハンガリー帝国地域のチェインブレーカーを中心とした郵便史

201210表 小包第4期 スロヴェニア不足切手5 Krona、かさばる小包

2008年02月19日 21時37分09秒 | 小包第4期
201210表 小包第4期 スロヴェニア不足切手5 Krona、かさばる小包

小包第4期 ボスニア・ヘルツェゴビナ地域内便

小包送票:オーストリア・ハンガリー帝国占領下のボスニア・ヘルツェゴビナ10 heller(剣)の小包送票に、キリル文字でKRALJEVSTVO S.H.S. 12 hと加刷(加刷が少し左右にずれて二重加刷気味になっています) (小包送票代金の収入印紙、小包料金に含まない)、ドイツ語・セルボクロアート語、ピンク色がかった紙

小包ラベル:Sarajevo H. P. A. 4023
価格表記ラベル:白色紙に赤字でV;セルボクロアート語でVrijednost価格表記(保険)付きを示します。オーストリア帝国占領時代のボスニア・ヘルツェゴビナの郵便規則では、価格表記(保険)付きは黒字でWと表示したラベルであったため、このVと表示したラベルはユーゴスラヴィアのものであると考えられます。
かさばる小包のラベル: 白色紙に赤字でSp(SpはSperrgut の略)。ドイツ活字体Frakturで記載。通常はローマ字体であり、この字体のラベルは例数が少ない。

参考文献:小包送票の表示及びラベル
Arge der Balkan Länder, No. 130, p.6-13, (1994)
Thomas Artel
Einführung in die Verwnedung von Klebzetteln als besonderer Kennzeichnung von Paketbegleitadressen 郵便小包送票の特別表示事項へのラベルの使用
備考:各種表示に関しては、規定のラベルを貼る代わりに、手書きで表示することも許されていました。

料金手書き:54 K

切手:スロヴェニア
1次チェインブレーカー不足切手リュブリャナ版5 Krona (Mi.42I, 発行数7万5000枚)
2次チェインブレーカー25 para (Mi.124)(1 Kronen), 6 Dinar (Mi.132)(24 Kronen)2枚
合計13.5 Dinar (54 Kronen)

料金計算:
重量料金17.4 kg---8.0 Dinar (32 Kronen)
かさばる小包料金(重量料金の50%)---4.0 Dinar (16 Kronen)
価格表記(保険)料金3000 K (750 Dinar)---0.9 Dinar (3.6 Kronen)
代金引換料金---無し
配達料金---0.6 Dinar (2.4 Kronen)
合計13.5 Dinar (54 Kronen) (料金手書きに一致、貼り付け切手に一致)

消印:SARAJEVO1 10. XII. 20 g (SARAJEVO1郵便局1920年12月10日、消印識別記号g)、ドイツ語のK. UND K. MILIT. POSTを削除してユーゴ化した消印。

このカバーの希少性の解説
スロヴェニア不足切手のリュブリャナ印刷およびウィーン印刷のKrona単位の高額面の切手は、発行数が少ないためカバーの入手は困難です。
この使用例では、発行数7万5000枚のリュブリャナ印刷5 Kronaが1枚貼られています。
発行数が7万5000枚と言っただけではピンと来ないのですが、ほぼ同年代の日本の戦前の記念切手の発行数と比較すると、その少なさの感覚はつかめると思います:
1916年の裕仁立太子記念10銭8.6万枚、
1921年の郵便創始50周年記念10銭10万枚。
これらの日本切手のカバーがどれほど希少なものかは良くご存知のことと思います。
ここでご紹介している小包送票に貼られている発行数7万5000枚のスロヴェニア不足切手リュブリャナ印刷5 Kronaは、1916年の裕仁立太子記念10銭8.6万枚、1921年の郵便創始50周年記念10銭10万枚よりも発行数が各々1.1万枚、2.5万枚も少ない切手です。
ほぼ同時代の日本のこれらの戦前の記念切手と、スロヴェニアの不足切手の直接比較は社会的・経済的状況が異なりますので困難ですが、日本人が良く知っている日本切手と比較した方がカバーの価値の類推には役立つと思われますのでご紹介いたしました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。