200407表 第3期 ダルマチア三ヶ国語表記小包送票, 50 vinar右側マウスパーフ
第3期、旧オーストリア帝国領ダルマチアからボスニア・ヘルツェゴビナ宛て
小包送票:オーストリア帝国KAIS. KÖN. STEMPEL 10 heller(人の肖像)(小包送票代金の収入印紙、小包料金に含まない)、ただし左上に12hの記載有り、ドイツ語・セルボクロアート語・イタリア語の3ヶ国語表記、白紙
備考:3つの言語について
ダルマチア地方は、古代ローマ帝国の領土であったり、ヴェネツィアを中心とした地中海貿易の中継基地が数多くあった関係で、古くからイタリア人も住んでいました。このため、オーストリア・ハンガリー帝国時代のダルマチオ用の小包送票等の郵便書式には、支配者と居住者の使用する言語を考慮して、支配者であるハプスブルク家のオーストリアの言語であるドイツ語、居住者であるセルビア人とクロアチア人の言語であるセルボ・クロアート語、そしてイタリア人の言語であるイタリア語の3つの言語が使用されています。
ただし、ユーゴスラヴィア建国当時にはダルマチア地方全体にイタリア人が住んでいたのではなく、ザダル(ザーラ)市にほとんどのイタリア人は集中して住んでいました。この事実が原因となって、1918年にダルマチア地方を占領したイタリアは、後にザダル(ザーラ)、ラストボ島(ラゴスタ島)だけを領有し、他の地域はユーゴスラヴィアに返還しました (注意:フィウメ、イストリア半島、トリエステの問題はダルマチアとは事情が異なりますのでこの記述には含めていません)。
小包ラベル:Dubrovnik-Ragusa 474 (郵便局名はセルボクロアート語とイタリア語の二ヶ国語表記)
その他のラベル:白紙に赤字でExpress速達
料金手書き:無し
切手:
スロヴェニア切手15 vinar (Mi.102凸版、ルレット目打ち) 3枚、50 vinar (Mi,107、右側マウスパーフ)、1 Krona (Mi. 109)、2 Krona (Mi. 110、目打ち11) 3枚、合計7 Krona 95 vinar
備考:
①50 vinarマウスパーフ:同一直線上で、縦目打ちでは上下に、水平目打ちでは左右に少しずれて二重に目打ちが行われると、最初の目打ちにより形成された目打ちの山が二番目の目打ちにより削られて谷が広がり、ちょうど目打ちの山をネズミがかじったように見えるため、マウスパーフと呼ばれます。
②2 Kronaのプレーティング:上からpos. 19, 18, 17
③1 Kronaのプレーティング:pos. 96
プレーティングはカナダのA.H.Stokes博士の資料に基づいています。
③2 Kronaの目打ちは、通常は11 1/2ですがこの切手は11です。
切手の左側に何語か不明ですが「pgo? 11」と青で書き込みがあります。これは「目打ち11」という意味であると推定され、コレクターが書き込んだものです。小包の取り扱いのための記載とは関係ありません。
④上の真ん中に「DEUTSCH SV. KANIZA」と思われる青色スタンプが押されています。そしてその右側に薄い赤色で価格らしいものの書き込みがあります。これは、切手商かコレクターの所有印あるいは販売印とその価格であろうと推定しています。小包の取り扱いのための記載とは関係ないと思われます。
このような③や④のようや書き込みやスタンプは迷惑なものですが、他にもこのような例があります。
料金計算:
重量料金5 kg---4.5 Krone
速達料金---2.5 Krone (配達料金を含む)
価格表記(保険)料金(Dvijesta trice 203 K)---75 heller
代金引換料金(Sto i osamdeset i dvije 182 K)---20 heller
合計7 Krone 95 heller (貼り付け切手と一致)
消印:DUBROVNIK RAGUSA 7. IV 20 a (1920年4月7日)、セルボクロアート語とイタリア語の二ヶ国語表記。
参考文献:価格表記(保険)と代金引換金額の文字表記の解読に使った辞書と参考書
(1)Langenscheidt, Universal Croatian Dictionary, 1987
(2)Nicholas Awde, Hippocrene Practical Dictionary, SERBO-CROATIAN, 1996
(3)中島由美、エクスプレス セルビア・クロアチア語, 白水社, 1987
第3期、旧オーストリア帝国領ダルマチアからボスニア・ヘルツェゴビナ宛て
小包送票:オーストリア帝国KAIS. KÖN. STEMPEL 10 heller(人の肖像)(小包送票代金の収入印紙、小包料金に含まない)、ただし左上に12hの記載有り、ドイツ語・セルボクロアート語・イタリア語の3ヶ国語表記、白紙
備考:3つの言語について
ダルマチア地方は、古代ローマ帝国の領土であったり、ヴェネツィアを中心とした地中海貿易の中継基地が数多くあった関係で、古くからイタリア人も住んでいました。このため、オーストリア・ハンガリー帝国時代のダルマチオ用の小包送票等の郵便書式には、支配者と居住者の使用する言語を考慮して、支配者であるハプスブルク家のオーストリアの言語であるドイツ語、居住者であるセルビア人とクロアチア人の言語であるセルボ・クロアート語、そしてイタリア人の言語であるイタリア語の3つの言語が使用されています。
ただし、ユーゴスラヴィア建国当時にはダルマチア地方全体にイタリア人が住んでいたのではなく、ザダル(ザーラ)市にほとんどのイタリア人は集中して住んでいました。この事実が原因となって、1918年にダルマチア地方を占領したイタリアは、後にザダル(ザーラ)、ラストボ島(ラゴスタ島)だけを領有し、他の地域はユーゴスラヴィアに返還しました (注意:フィウメ、イストリア半島、トリエステの問題はダルマチアとは事情が異なりますのでこの記述には含めていません)。
小包ラベル:Dubrovnik-Ragusa 474 (郵便局名はセルボクロアート語とイタリア語の二ヶ国語表記)
その他のラベル:白紙に赤字でExpress速達
料金手書き:無し
切手:
スロヴェニア切手15 vinar (Mi.102凸版、ルレット目打ち) 3枚、50 vinar (Mi,107、右側マウスパーフ)、1 Krona (Mi. 109)、2 Krona (Mi. 110、目打ち11) 3枚、合計7 Krona 95 vinar
備考:
①50 vinarマウスパーフ:同一直線上で、縦目打ちでは上下に、水平目打ちでは左右に少しずれて二重に目打ちが行われると、最初の目打ちにより形成された目打ちの山が二番目の目打ちにより削られて谷が広がり、ちょうど目打ちの山をネズミがかじったように見えるため、マウスパーフと呼ばれます。
②2 Kronaのプレーティング:上からpos. 19, 18, 17
③1 Kronaのプレーティング:pos. 96
プレーティングはカナダのA.H.Stokes博士の資料に基づいています。
③2 Kronaの目打ちは、通常は11 1/2ですがこの切手は11です。
切手の左側に何語か不明ですが「pgo? 11」と青で書き込みがあります。これは「目打ち11」という意味であると推定され、コレクターが書き込んだものです。小包の取り扱いのための記載とは関係ありません。
④上の真ん中に「DEUTSCH SV. KANIZA」と思われる青色スタンプが押されています。そしてその右側に薄い赤色で価格らしいものの書き込みがあります。これは、切手商かコレクターの所有印あるいは販売印とその価格であろうと推定しています。小包の取り扱いのための記載とは関係ないと思われます。
このような③や④のようや書き込みやスタンプは迷惑なものですが、他にもこのような例があります。
料金計算:
重量料金5 kg---4.5 Krone
速達料金---2.5 Krone (配達料金を含む)
価格表記(保険)料金(Dvijesta trice 203 K)---75 heller
代金引換料金(Sto i osamdeset i dvije 182 K)---20 heller
合計7 Krone 95 heller (貼り付け切手と一致)
消印:DUBROVNIK RAGUSA 7. IV 20 a (1920年4月7日)、セルボクロアート語とイタリア語の二ヶ国語表記。
参考文献:価格表記(保険)と代金引換金額の文字表記の解読に使った辞書と参考書
(1)Langenscheidt, Universal Croatian Dictionary, 1987
(2)Nicholas Awde, Hippocrene Practical Dictionary, SERBO-CROATIAN, 1996
(3)中島由美、エクスプレス セルビア・クロアチア語, 白水社, 1987