ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

食後のコーヒー

2015-02-06 00:20:53 | 肯定する

休日・朝

バタ付きパンの朝食(ブランチとも言う)のあとのコーヒー

豆を挽いて

(挽いた粉を買うときもあるが)

ペーパードリップで

コーヒーを淹れる

 

あるとき

口の細いやかんを見つけて

はじめのうちは直接それでお湯を沸かしていたが

そのうちに

別のやかんで沸かしたお湯を

その

口の細いやつに移して

注ぐことにした

 

それはもちろん

コーヒーは

そうして淹れるものだ

とものの本に書いてあったからで

そのほうが美味くなると書いてあったからだ

 

本を読むと

いろいろと知恵がつく

ものだ

 

すーっとお湯を注ぐ

少量づつのコントロールがとても楽になった

すーっと細くお湯を注ぐ

漏斗のような器具のなかで

音を立てるようにコーヒーの粉が粟立って

じっと十秒は待って

それから少しだけ勢いをつけて

さらにお湯を注ぐ

 

中心から外へ向けて渦を描くように

お湯を注ぐ

濾紙をはみ出さないように

表面張力の限界のなかで

 

注いだところは

珈琲色が少し白っぽくなって

その周りの濃い色とコントラストをなす

 

下の硝子のポットに

一杯分二杯分とコーヒーが落ちて

四杯分五杯分の目盛付近まで達する

 

コーヒーの香りがキッチンを満たす

 

福田憲史氏の手になる象嵌のコーヒーカップ二つ出して

時には

それ以外の

プレゼントだったり買い求めたりのコーヒーカップを出して

硝子のポットからコーヒーを注ぐ

 

コーヒーは苦く

時に酸味が勝ち

しかし

ここで飲むコーヒーは

いつも柔らかい

甘いというのとは違うが角が丸く

飲みやすい

カフェインの刺激は

奥深く潜んで

直接に舌を撃つことがない

 

自家で手間をかけて選択して焙煎したコーヒーは確かに違う

たとえば

数年前に発見した武蔵境のコーヒーロースト

しかし

近場のスーパーマーケットで安売りしているコーヒーも

いつもの手順で

私が淹れると

充分にうまい

 

高級食品スーパ-とか

どういうジャンルと言えばいいのか

洋風乾物屋というか非生鮮食料品店というのか

そういうジャンルの店のオリジナル・ブランドには

安価で美味いコーヒーがある場合がある

そういうのを発見するのも

また歓び

 

いつのまに

こんなふうに美味いコーヒーを淹れられるようになったのか

そうだな

こうしてペーパードリップでコーヒーを淹れはじめてから

優に三十年は超える

 

本で学んだ知識だけでなく

経験とか

自らの手技とか

そういうものもあってはじめて

ものは形になる

みたいな

 

ということで今朝も

妻とテーブルで

バタ付きのパンの食事のあとの

ペーパードリップのコーヒー

銘柄は様々

これが人生のうちの幸福な時

であることは間違いがない


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