新しい建築が完成すると
それがすぐに見慣れた風景になってしまう
取り壊された以前の構築物は
もはや古い記憶のようにかすんでしまう
そこには
大きなポプラが二本川岸に並んでいた
大きなポプラと
少しだけ丈の低いポプラと二本
ふたつ並んでいた
小さな方の一本は嵐で自然に倒れ
大きな方のもう一本は危険木として
人為的に倒され
もはやひとびとの淡い記 . . . 本文を読む
〈編集後記〉
◆今号から、菊池さかえさんが参加。実は、小野寺せつえさんのお姉さん。妹に触発されたということなのか。これからよろしくお願いします。逆に、小山圭璋さんは、自己都合で退会された。お会いできないままだった。また、いつでも、どうぞ。
◆今になって、どんどん、と言っていいくらいに同人が増えている。ひとつには、震災の後、語りたい思いがようやく顕在化してきたということもあるのかもしれない。その . . . 本文を読む
村上春樹、9年ぶりの短編小説集。「その物語は、より深く、より鋭く、予測を超える」そうだ。帯の惹句。
珍しくまえがきがある。
この本は、音楽でいえば「コンセプト・アルバム」に対応するものになるかもしれない。実際にこれらの作品を書いているあいだ、僕はビートルズの『サージェント・ペパーズ』やビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』のことを念頭に置い . . . 本文を読む