みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『ムーンライト』観ました。

2018-03-12 16:00:00 | 洋画
2016年:米。 監督:バリー・ジェンキンス。 WOWOWからの録画。
2016年度アカデミー作品賞を獲った映画、ということなので観てみました。
これはなかなか”格調”を感じさせる良質な映画でした。

 
売人の元締めフアンは地区の揉めごとも調整。    廃屋に逃げ込んだシャロン。

父親のいないシャロン。母親はヤク中で、クスリ代と生活費を稼ぐため、
しじゅう男を家に連れ込んでいる。
そんなときシャロンはどこかで時間をつぶさなければならない。
またゲイっぽい感じのある彼は、しばしば周りから虐められる。
たまたま逃げ込んだ廃屋の中で麻薬の売人のフアンと出会う。

 
とにかくメシを喰って力をつけろ。         翌朝、家に送り届けるフアン。

飯を喰わせ泊めてやり、翌朝シャロンを家に送り届けるフアン。
それに対して、ロクに礼も云わない母親。
ただそれ以来、彼はシャロンをとても可愛がってくれる。
なぜかと考えた。映画ではそのあたりの説明はない。
同棲している女テレサとの間に子はいない。
あるいは出来ないのか....?

ただ麻薬の売人というのは、時に命を落としかねないような危険な職業。
フアンもやはり長生きは出来なかったようだ。

 
なぜか皆に馴染めないシャロン(中央)。      ケヴィン㊧だけは例外、心を許せる友人。

シャロンは自分が他の男の子とは、どこかが違うと何となく感じていた。
皆で遊んでいるときも、無心になれない。だがケヴィンだけは唯一の例外だ。


お互いの気持ちに気づく二人

そしてある夜。月光のなかの砂浜でシャロンとケヴィンは心の中を打ち明けあう。
しかし已むない事情で二人は離れ離れになり、以来疎遠になっていく。
だがお互いに相手を忘れることは決してなかった。

こじんまりとした作品ですが、終ったあとに上質な余韻が心に残る映画でした。
アカデミー作品賞を獲ったのもダテではないですね。

『聲の形』観ました。

2018-03-09 16:00:00 | 劇場用アニメ
2016年:京都アニメーション制作。 監督:山田尚子。 セルBDにて視聴。
イジメの問題をテーマにしたアニメです。大今良時氏の原作(漫画)の方は
読んでいないんですが、イジメ描写は原作よりもマイルドになっている、との
専門誌のレビューを目にしています。
たぶん観客に対してより受け入れられやすいように、との配慮からでしょうか。
ストーリーの大要:主人公・石田将也が、耳の聞こえない転校生・西宮硝子を虐めていた
小6のころを反省して、生きかたを変えていこうと決心するが。

 
たえずちょっかいを出す将也。           硝子のノートに心ない落書きをする将也。

このアニメ、大きく二つのパートに分けることができるようです。
①小学生6年の時の将也と硝子の出会い~イジメ。②そして高校生になってからの再会。

 
手話勉強会を訪れる。ちょうど硝子が出てくる。   記憶が戻った途端、その場から逃げる硝子。

高校生になって、かつて虐めたことを硝子に詫びようと会いに行く将也。
小6の時の彼女の筆談用ノートを携えて。
しかし硝子には将也からはひどく虐められた記憶しかない。
辛い思い出がよみがえった途端に走って逃げていく。まあ当然の成り行きですね。
本当に、将也はいったい何を考えて硝子に会いに行こうなどと考えたのか意味不明。
自分の一方的な都合で謝って、済むことかどうかの判断もつかないのか。

 
小6の時の硝子の筆談ノート。           なんとか受け取ってもらえたが。

その場を逃げた硝子の後を追う将也。やや強引ながら筆談ノートを手渡すことができた。

 
再び硝子に会おうと手話学習会を訪れる将也。    だが硝子は来てないと断言され....。

ふたたび手話の勉強会に行き硝子に会おうとするが、入り口で小柄な男子?に
「今日は彼女は来ていない」と拒絶される。見れば室内に硝子の姿が見える。
「どういうつもりか知らないが、自分の勝手な思いで彼女に近づこうとするな、迷惑だ」
と強く拒絶される。コイツは硝子のなんなんだ、付き合っている相手なのか。

かつて酷く虐められた相手から、一方的に仲直りしようなどと言ってこられて、
果たしてすんなり受け入れられるものなのか。多分そりゃ~無理でしょうね。
そんなことも判らない将也は、極限のアホです。
そしてこの後、硝子はそんな将也を許し受け入れる展開になっていきます。
これも意味不明というか自分には理解できないストーリーですね。
自分ならば「ぜったい許すか!」ってもんです。

まあ悩んでいるのは将也や硝子だけではない。当時のイジメの状況を知っている
かつての級友たちもそれぞれの立場で悩みつづけているという展開になるのですが。
つくづくマジメなアニメだな~(^^;
まあこういう問題に対する絶対の解答って無いわけだし、
約ニ時間強「自分ならどうする、どう考える」という宿題を与えられたような
気分にもなっちゃいました(^^;
ところでBD購入直後にWOWOWでこの作品が近く放送されると知りました。
ううう、そうと知っていれば、他のBDを購入したのに~(^^;

『人生タクシー』観ました。

2018-03-06 16:00:00 | 中近東の映画
2016年:イラン。 監督:ジャファル・パナヒ。 WOWOWからの録画。
数々の映画賞を獲り国際的にも評価の高いJ・パナヒ監督。しかしイラン政府に
とって不都合な内容が含まれているために映画製作活動を禁止され、やむなく
生活のためタクシー運転手に商売替え。そうはいってもタダでは起きない同監督。
タクシー室内を舞台として一本の映画を仕立ててしまいした。
初めは何だかNHKの某番組みたいだな、とか少し思いました。世界各地のタクシーに
同乗して、運転手さんから様々なコメントを貰う番組があるのですが、
一見ドキュメンタリー風で似ているようでも、やっぱりこれはれっきとした映画
なのですね。

 
監督は有名人。直ぐに客に気づかれる。       これもヤッパリ映画なんでしょ?とツッコミが。

パナヒ監督は、イランではかなり顔の知られた存在らしい。タクシーに乗り込むや否や
すぐに気づかれてしまう。新作の映画の撮影なんでしょう?と聞いてくるお客さん。

  
バイク事故でのケガ人が乗り込む。         早速遺言を始める気の早い客(^^;

交通事故の現場に行きあい、血だらけの男が問答無用で車内に運びこまれる。
命に関わるほどの重傷ではないのだが、死ぬ前に遺言を残さなければと騒ぎたてる。
ただ男の言い分からはイラン社会の一端が垣間見られるようにも思いました。

 
金魚鉢を持って乗車する老婆二人。         監督を利用してちゃっかりDVDの営業。

金魚鉢を抱えて車内に乗り込む意味不明な老婆二人。
監督をダシにしてDVD販売を有利に進めようとするちゃっかり男。
学校の課題で映画を撮ろうとしている姪。
知り合いの女性弁護士。世間には筋の通らぬことが多すぎると不満をぶちまける。


 
可愛い姪は学校の課題で映画製作。         しりあいの弁護士。当局のやり方には不満だらけ。

お客さんにも実に色々な人間がいる。
みなそれぞれの人生を時にマジメに、時に逞しく生きているなあという感じ。
後半になって当局に対する批判がそれとなく織り込まれてきますが、
それもさほど声高に訴えるというものでもなく、
このレベルの不満だったら、当局が神経質になる必要もないだろうにと思いますが....
といってもイラン国民でない自分など所詮部外者なんですが。
最後にちょっとヒヤリとするシーンで映画は締めくくられます。

『セル』観ました。

2018-03-02 16:00:00 | 洋画
2016年:アメリカ。 監督:トッド・ウィリアムス。 WOWOWからの録画。
原作と脚本があのスティーヴン・キング氏ということで観てみました。
ですが...う~ん、これはちょっと期待ハズレだったかな?(^^;

 
クレイは息子と通話。               携帯の電池が切れ、公衆電話で妻にかけ直す。

ある日突然、携帯電話を通じて送られてきた謎の電波に人々が感染~一斉に狂暴化。
たまたま主人公クレイは携帯の電池切れで公衆電話を使っていたために感染を逃れるが、
感染した者は感染していない者に無差別に襲いかかる地獄絵が街中いたるところで展開。
その地獄世界から逃れようとする主人公たちの決死のサバイバルを描く。

 
警官も駆けつけるが、とうてい収束不可だ。 地下構内は被害者の山。

市民からの通報を受けて何人かの警官が駆けつけるが、とても少人数で制圧できるような
状況ではない。地下鉄の構内には至る所で死人の山が築かれる。

 
助けられてようやく電車内に逃げ込むクレイ。    地上でも至る所で惨劇が展開。

クレイもようやく地下鉄の車両内に逃げ込んで、一時の安全を得る。しかし車掌の
トムによると変電設備が襲撃されているため、電車が走れる見込みはもう無いと言う。
決断しなくてはならない。
このまま車両内に留まって様子をみるか、それとも思い切って地上に移動するかを。
クレイたちは地上を選ぶ。しかし地上でも同様に惨劇は行われていた。
感染者たちの群れに見つからないように慎重に歩を進める一行。
だがそれでも犠牲者は出る。

 
逃げる途中で仲間になったトム、アリス、クレイ。  感染者たち。口々に異様な叫び(通信)を一斉に唸りだす。

苦労の末、クレイ一行はようやく妻子の住むニューハンプシャーにたどり着くが
家の中には誰もいなかった。
息子の書き置きが残されており、すでに妻は感染してしまったと知る。
そして『パパをカシュワクで待っている』とも。
これは多分に罠かもしれない。しかしクレイにとっては息子が生きる最大のよすが。
彼は仲間と別れて一人カシュワクをめざす。

初めに書きましたが、映画の出来は「まあまあかな」レベルですね。筋書きは
それなりに流れているようですが、着地点が弱い....というか少々情緒的すぎます。
昔のキング作品のような、思わず唸らされるような見事なラストシーンは見せて
貰えませんでした(^^: