【俺は好きなんだよ】第1831回
『スポンティニアス』(2020)
原題は、『Spontaneous』。
『自然発生的』、『自発的』。
製作国:アメリカ
上映時間:101分
スタッフ。
監督:ブライアン・ダフィールド
製作:ニッキー・コルテーゼ、マット・カプラン、ジョーダン・レビン、ブライアン・ダフィールド
製作総指揮:マーク・ビエンストック、ブレット・ブーティア、ドン・ダン、スコット・レビン、マックス・シーマーズ
原作:アーロン・スターマー
脚本:ブライアン・ダフィールド
撮影:アーロン・モートン
美術:クリス・オーガスト
編集:スティーブ・エドワーズ
音楽:ジョセフ・トラパニーズ
出演。
キャサリン・ラングフォード (マーラ・カーライル)
チャーリー・プラマー (ディラン・ホヴメイヤー)
ヘイリー・ロー (テス・マクナルティ)
パイパー・ペラーボ (アンジェラ・カーライル)
ロブ・ヒューベル (チャーリー・カーライル)
チェラー・ホースダル (デニス・ホヴメイヤー)
イヴォンヌ・オージ (カーラ・ロゼッティ捜査官)
メラニー・バロス (ケイトリン)
レイン・マクニール (ジェンナ・ダルトン)
クライヴ・ホロウェイ (ジョー・ダルトン)
クリス・シールズ (スピロス)
物語。
2020年アメリカ、高校3年生のマーラが通う学校で、授業中に突然クラスメイトが爆発して死亡する怪現象が起きる。
まったくの原因不明の事態だった。
彼女の通う17歳の高校生だけが、爆発し続ける。
そんな中、マーラは同級生のディランに告白される。
友人や自分がいつ爆発するのか分からない恐怖に怯えながら、今日を生きることの大切さを噛みしめる。
高校生が突然爆発死する怪現象により、死と隣り合わせとなった17歳の少女の恐怖の日常を描く青春ホラー・ラブストーリー・ドラマ。
アーロン・スターマーの2016年の小説『Spontaneous』を実写映画化。
主演は、『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』、ドラマシリーズ『13の理由』のキャサリン・ラングフォード。
共演は、『荒野にて』のチャーリー・プラマー。
『ダイバージェントNEO』、『ラブ&モンスターズ』などの脚本家ブライアン・ダフィールドが長編監督デビューを果たした。(脚本も)
2作目の『誰も助けてくれない』は配信用映画ですが、隠れた佳作でこれもなかなかいいです。
というか、『誰も助けてくれない』を見たんで、デビュー作も観たいなというになったので。
爆発現象で人生の意味を見つけ出すって内容なのに、本国での評価が抜群にいいってのうなづける一本。
原作はコロナ禍前だが、映画はコロナ禍の最中につくられたので、コロナ禍の世界を反映している。
これによりヘンテコ設定で軽めの比喩がリアルなメタファーになっている。
ホラーな設定を重すぎない感じでシリアスにフィクション的に語る、おいら好みのミクスチャー。
上手いのは、10代特有の夢想的な暗さとラブストーリーの明るさ、人生の意味に向かう海鮮と豚肉の料理にカレーかけてうまくまとめている感がたまらない。
そのカレーがキャサリン・ラングフォードの抜群の存在感と演技、それを支えるチャーリー・プラマーの少し足りない感じの誠実さ。どこの学校にもいそうな二人って感じが絶妙。
開巻ボンっとスプラッターでスタートするテンポのよさ。
血塗れ具合が実写ならではの生理的な圧力があるのもいいんです。
映画的な灯回rの使い方もなかなか。
そうそう、この手のアメリカン青春ものはで重要ポイントの音楽も、個性が光っててセンスがよいの。
脚本の滑らかさと言葉選びがいいとこに収まっていて、見やすい。
爆発の方はあくまでエッセンスにとどめたのも英断。
タイトルの意味もしっかり組み込ませてる誠実さは原作に真摯に向き合ったのが伝わります。おいらは読んでないので、原作とは違うのかもしれないけど。
なにより展開のタイミングのほどよさが際立ってます。
いわゆるライトノベル(YA小説)っぽい感じを掬いあげて見事に映し上げた佳作。
ネタバレ。
ディゾルブで、次のカットの光の線だけを際立たせ、コミック効果を出したカットが印象的。
好みのセリフ。
「原因が不明でも起きる。ビッグバンだって起きた」
「もう今が余生みたいなものよ」
「私が呪いなの」
なぜ起きたか解決しないで自然発生的になくなっていくのもある意味リアル。
これ、コロナ禍前だと、一発アイディア勝負に感じますけどね。