一期一会

日々是好日な身辺雑記

読書の千本ノック

2012年06月16日 | 日記

今日も雨の休日である。

今週、[流転の海)の第四部(天の夜曲)と第五部(花の回廊)を読み終える。
主人公松坂熊吾とその妻房江、一人息子の伸仁の生活が熊吾の商売の挫折により転がり落ちていく。
富山へ移り住んでの厳しい生活や、大阪に戻り、伸仁を妹タネの家に預けての生活と話が展開していく。
朝鮮人、韓国人が多く住む集合住宅での生活の中でも、天真爛漫に過す伸仁の成長と、
その集合住宅の人達と伸仁との交遊が面白い。

第六部(慈雨の音)が昨年8月に単行本\2,200で発売されている。
Amazonで検索したら\1,300で中古本が出ていた。
直ぐにでも読みたい気がするが最近古本市で買った半藤一利の「昭和史」、
今日Book offで買った誉田哲也の「ソウルケイジ」を読んでからにしよう。
そういえばBook offにGWに売ったネルソン・デミルの「ゲストハウス」(上)(下)等が結構な値段で売られていた。
買い値の4~5倍位の値段か?
一括での値段付けなので各本の価格は分からない。本棚の整理の為に売ったので、どうということもない。

12日(火)に日経新聞を持ってくるのを忘れ、駅のスタンドで毎日新聞を買い昼休みに読んでいたらコラムの欄に
「読書の千本ノック」という記事が目に付いた。
小国綾子さんという記者が、石川県の星稜高校野球部名誉監督の山下智茂さんを訪ねた時の話が書いてある。
それを引用させて頂く。


「野球は人間がやるものだから、心がしっかりしていないとプレーに表れる。
ところで人間性を豊かにし、精神力と忍耐力を同時に高める指導法がある。
何か分かりますか?」という。
答えは「読書」。だから、野球部員にいつも「本を読め」と指導する。
山下さんの{読書の千本ノック}をまともに受けてたった高校球児がかっていた。
山下さんはこの生徒のために三カ年計画を立て、定期的に書物を手渡し続けた。
最初は日本や世界の歴史書。続いて国内外の教養書。福沢諭吉、二宮尊徳 、アリストテレス・・・。
過酷な練習の後も、生徒は片道1時間の電車通学を利用し、本を読み続けた。
山下さんはふりかえる。「彼、松井秀喜君は、僕が知る中で最も本を読んだ高校生です。
今もこの大リーガーの周囲には読書の水先案内人がいる。筆頭は作家、伊集院静さん。
「書物が人を勇気づけることを知っている稀有なプロ野球選手」と称賛する。
~中略~ 松井選手は高校生の頃から、皆がなぜ自分のためにその本を選んだのか、
人々の思いごと心の深いところで受け止め、一冊一冊を自分の血肉としてきたのだろう。
彼がここぞという試合で本塁打を打てるのは 、書物で{心の筋肉}を鍛えてきたからかもしれない。

なかなか良いコラムである。

ちょうど今週買った月刊「文藝春秋」に伊集院静の特別寄稿「私たちはなぜ松井秀喜が好きなのか」が載っていた。
松井に贈った本のことや、ヤンキースのキャプテン、ジーターと松井の交友のこと、
松井夫妻との今年の渡米前の会食時の話しや、
仙台へ帰る車中で感じる震災後の復興が進まないことへの苛立ちが書かれている。
同じ週に毎日新聞のコラムと文藝春秋に伊集院静と松井秀喜の本を通しての交友が載っていたのは偶然なのだろうか?

この特別寄稿だけなら本屋での立ち読みで済んでしまうが、
今月の文藝春秋にはその他にも面白い記事が載っていた。

伊集院静の本は、その凛とした人柄を映したような流麗な文章が好きである。

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