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マーティン・フレスト(バセットCl)ジョナサン・ノット指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 モ―ツァルトクラリネット協 ブルックナー2番

2024-03-14 17:49:58 | 音楽夜話(クラシック)
3月14日 
3:30-6:03 19:30-22:03 Espace2


モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調K622
ソリスト・アンコール M・アーノルド:即興曲


ブルックナー:交響曲第2番 ハ短調(1877年版) ブルックナー生誕200年


マーティン・フレスト(バセットCl)
ジョナサン・ノット指揮
スイス・ロマンド管弦楽団


2024年ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホールから生中継


スウェーデン(1970年)生まれの、超絶技巧を操るクラリネティスト。
モーツァルトなども軽々と吹きあげてしまう。同曲録音は3度に渡って
更新している。
指揮活動もしているようで、場合によっては吹き振りもするという。
才人だ。
上から下まで、クリアな音色で曲が作り上げられている。
今時のモーツァルト表現とでもいおうか、前向きな表現のように聞こえる。
先人の録音のような、ほっこり加減はない。
デジタル感がある。アナログではない。
でも、50代決して若くはないが、音は若い。以前、リチャード・ストルツマン
という奏者がいたけれど、それより進化した感じのアーティストだ。
時代は変わっていく。


ブルックナー:1877年版の2番とある。アダージョが3楽章に
なっているので、もしかすると1872年(キャラガン)版かもしれない。
詳しいことはわからない。
生誕200年を迎えるが、版の問題はわかりにくいことが多く難しい。
聴ければいいとたかをくくっている。この曲の2.3楽章入れ替えは
個人的には好きなものだけれど、録音が増えてきているとはいえ、
正式なものとはなっていない。
オーケストラも頑張って演奏している。アンサンブルもなかなかだけれど、
スイス・ロマンド管弦楽団というと、アンセルメが頭に浮かぶ。
当時からしたらずいぶん時間がたった。
オケも変わるだろう。その当時のアンサンブルを考えると、
楽団も変わったのかもしれない。
指揮者が違えば音も変わる。録音自体の様相も変わっているのだから音も
変わってしかるべき。しかしながら音のごつごつ感があるのは、
今時にしては珍しいというか発見だった。
そういうオケもまだあるのだ。ノットの指揮でそうなっているのなら
相乗効果かもしれない。終演後はブラヴォーも飛んだ。
演奏される機会が増えれば、認知度が上がり、聴かれることも
多くなり、いい傾向が増えていいのだけれど。


ベストオブクラシック カザルス弦楽四重奏団 演奏会 バッハ:「フーガの技法」他

2024-03-14 05:56:00 | 音楽夜話(クラシック)
ベストオブクラシック カザルス弦楽四重奏団 演奏会 バッハ:「フーガの技法」他


3月8日(金)午後7:30放送


バッハ:フーガの技法 ニ短調 BWV1080
「コラール「われら苦しみの極みにあるとき」BWV668a」


アンコール:
パーセル:「ファンタジア ヘ長調 Z.737」
ラモン・トーマス:編曲「鳥の歌」カタルーニャ民謡


2023年11月2日 浜離宮朝日ホール(東京)


カザルスSQの来日公演の放送を部分でしか聞けなかったので、
聞き逃し放送を待って聴いた。


個人的には疲れた頭にはバッハを流し聞きする。
フーガの技法は基本演奏楽器の指定がないので、
鍵盤楽器やオルガンから入った。


長いし、旋律も掴みにくいけれど、疲れた頭には
このタペストリーのように織られていく音楽が
頭にしみこんでいく。


カザルスSQは、バロック弓を使い、柔らかくふくよかな音が
聞き取れる。ピリオド奏法というのも影響しているのかも
しれない。録音も秀逸。


ケラーSQのものを持っていたけれど、ずいぶんアプローチが
違う感じがした。今日はこの感じで頭の疲れがほぐれていった。
2~4声の曲で、ヴァイオリンとチェロとか2重奏があったり、
工夫が凝らされている。この曲は未完なのだけれど、
進んでいくと最後は1本の楽器になり、ふっと音がなくなる。
ドルフィーではないけれど、


“When you hear music, after it’s over,
it’s gone in the air.
You can never capture it again. ”
「音楽を聴き、終った後、それは空中に消えてしまい、
二度と捕まえることはできない」
この未完成ヴァージョンを聴くと思い起こされる言葉だったりする。


本日の演奏は、最後の曲はニ長調の終止の和音で完結されていた。
どなたかの補作なのだろう。


バッハが生前、この曲の終わりには、コラールを演奏するように
と言い伝えがあるようで、バッハの晩年、この作品を仕上げているときに
短調の曲の後に、その解決として長調のコラールを持ってきて
魂の開放をするというような思いがあったのか、
コラールが演奏されたり、録音されたりしている。


後で知ったのだけれど、カザルスSQは、2022年にこの曲を
レコーディングしており、それをもって、昨年日本ツァーに
入っている。そのライブを聴いたわけだ。


なかなか良いものを聴いた。当分、「フーガの技法」は
彼らの演奏が、「お気に」の座に座ることになる。


アンコールの「鳥の歌」はカザルスが1971年94歳の時、
国連本部に登壇し、国連平和賞受賞記念の演奏した。
その前のスピーチに、


"私は公共の場で長年に亘りチェロを演奏してきませんでした。
しかし私はまた演奏しなければなりません。
今日演奏するのは短い曲です。


その曲は『鳥たちの歌』と呼ばれています。
空飛ぶ鳥たちはこう歌うのです。
Peace、Peace、Peace!
Peace、Peace、Peace!


鳥たちはこう歌うのです。
Peace、Peace、Peace!
Peace、Peace、Peace!


Peace、Peace、Peace!
Peace、Peace、Peace!


そしてそれはバッハ、ベートーベン
そして全ての偉人たちが賞賛し、
愛したメロディーとなるのです。
そしてカタルーニャ、わたしの
民族の魂の中にその歌は生まれるのです。"


カザルスの名を受け継いだSQは、その意志を
アンコールでも引き継いでいる。