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モバライダー mobarider

ダークマターの分布を調べるのに球状星団が向いているので探してみると、22,426個も候補天体が見つかった。

2019年01月13日 | ダークマターとダークエネルギー
銀河団内には銀河だけでなく、電磁波では観測できない“ダークマター”も分布しています。
この“ダークマター”の分布を調べるには、銀河よりも小さくて数が多い球状星団の方が向いているんですねー

そこで今回の研究では、ハッブル宇宙望遠鏡で観測されてきた複数の画像を合成。
その画像を用いて球状星団を探しています。

ただ、ハッブル宇宙望遠鏡は視野が狭いので、銀河団を一度に観測できる計画中の新しい望遠鏡が期待されているようですよ。


“ダークマター”の分布を調べる

地球から約3.2光年彼方に位置する“かみのけ座銀河団”は、1000個以上の銀河が密集している大きな銀河団です。

その領域内には銀河だけでなく、銀河から離れた多数の球状星団も存在しています。
さらに、銀河団内に分布している物質には、電磁波では観測できず重力の影響からその存在を知ることができる“ダークマター”があるんですねー

その“ダークマター”の分布の様子を調べるには、銀河よりも小さく数が多い球状星団の方が良い指標になったりします。
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ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“かみのけ座銀河団”のモザイク合成画像。
画像の横幅は約220万光年に相当する。


まずは球状星団を見つけること

そして今回、オーストラリア国立望遠鏡機構の研究チームが行ったのは、“かみのけ座銀河団”内に球状星団を見つけることでした。

まず、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影されてきた“かみのけ座銀河団”の画像を集めて、銀河団のモザイク合成画像を作成。
ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された“かみのけ座銀河団”の画像は、どれにも球状星団が写っていたのがきっかけでした。

さらに研究チームは、球状星団が古い星で占められているので赤っぽく見えることや、名前の通り丸く写るという特徴を利用。
球状星団とそれ以外の天体(ほとんどは銀河団より遠くにある無関係の銀河)とを区別するアルゴリズムを開発します。

そのアルゴリズムを“かみのけ座銀河団”の画像に適用してみると、銀河団の中心領域に位置する複数の銀河の間に、22,426個もの球状星団の候補天体が検出されます。

このことから考えられるのは、これらの天体が銀河同士の接近によって、母銀河から離れて銀河間に散ってしまったということ。
さらに、一部の球状星団が橋のように整列している様子も見られ、これも銀河同士の相互作用の影響と考えられています。
○○○
“かみのけ座銀河団”の一部。
青緑色の丸が球状星団の候補天体。
ハッブル宇宙望遠鏡は高い感度と解像度を備えた優れた宇宙望遠鏡です。
ただ、視野が狭い点が玉に瑕… そこで期待されるのが、NASAが計画中の“近赤外線広視野サーベイ望遠鏡(WFIRST)”です。

この望遠鏡の特徴は銀河団全体を一度に観測できること。
なので、この広視野を活かせば、“ダークマター”の分布など驚くような成果が得られるようですよ。


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