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渦巻銀河の腕を見れば中心ブラックホールの質量が分かる?

2017年08月05日 | 銀河と中心ブラックホールの進化
今回発表されたのは渦巻銀河の渦状腕の開き具合と、
その銀河の中心にあるブラックホールに強い相関があること。

渦巻銀河の腕の開き具合を見るだけで、
その銀河の中心に潜む超大質量ブラックホールの質量が推測可能だそうです。

いまだにほとんで分かっていない中間質量ブラックホール探しにも役立つようです。


腕の開き具合とバルジの大きさ

ほとんんどの銀河の中心には、
太陽の数百万倍から数十億倍もの質量をもつ超大質量ブラックホールが、
存在すると考えられています。

その銀河中心ブラックホール存在の推定や質量の見積りは、
これまで、ブラックホール周囲を回る星やガスの運動から見積もられていました。
  太陽1億4000万個分もある!? 銀河中心の超大質量ブラックホール
    

今回の研究では、この銀河中心ブラックホールの質量と、
渦巻銀河の渦状腕の開き具合(あるいは、巻き具合)との関係を調査。

銀河を形状で分類する“ハッブル分類”では、
渦巻銀河は、腕が最もきつく巻き付いた“Sa型”から腕が大きく開いた“Sd型”に分けられています。
  “ハッブル分類”は天文学者のエドウィン・ハッブルが考案した。
そして、腕が開いた渦巻銀河ではバルジという銀河中心の膨らんだ領域が小さく、
反対にバルジが大きいと腕が巻き付いているという特徴が分かります。
  バルジが大きい銀河は赤い
    

銀河の腕の巻き具合と銀河中心ブラックホールの質量との間に、
関係があることが見つかったのが約10年前のことでした。

今回の研究は10年前の研究を発展させ44個の銀河サンプルを慎重に分析。

すると、これらの間に予想以上に強い相関が見られ、
開いた腕を持つ“Sc型”や“Sd型”の渦巻銀河では、
銀河中心ブラックホールの質量が小さいことを示す結果が見出されています。

この結果は、これまでの質量推測方法に匹敵するほどの相関が見られたんですねー

なので、銀河の画像を見るだけで、
すぐに銀河中心ブラックホールの質量を見積もることができるそうです。
おおぐま座の渦巻銀河M81 の赤外線観測画像。
“Sab型”に分類され、中心ブラックホールの推定質量は太陽の6800万倍。

銀河の円盤部とブラックホールの関係

渦巻き模様が見られるのは、銀河の円盤部であることを考えれば、
今回の結果は、今までよく分かっていなかった銀河の円盤部と、
ブラックホールの関係に光を当てるものになります。

さらに可能になったのが、バルジを持たない円盤銀河の中心ブラックホールの質量の予測。
ブラックホールと円盤は共進化するはずだということを示唆することになります。

今回の研究成果により、
渦巻銀河の中心ブラックホールの質量を明かすことは簡単なことになりました。

さらに、腕の巻き具合とブラックホール質量の関係は、
いまだにほとんで分かっていない中間質量ブラックホール探しにも役立つようですよ。
  中間質量ブラックホールは太陽の100倍から10万倍の質量をもつ。


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  初の中間質量ブラックホールを確認 “HLX-1”
    


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