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モバライダー mobarider

初の中間質量ブラックホールを確認 “HLX-1”

2012年07月08日 | 宇宙 space
3年前に発見され、
中間質量ブラックホールの「候補」になっていた天体“HLX-1”ですが、
新しい研究でやっと「本物」だと分かりました。

今回の研究では、
NASAのX線観測衛星“チャンドラ”および探査衛星“スウィフト”を用いて3年近く観測。

その結果、地球から約3億光年の距離にある“HLX-1”が、
新しいタイプの中間質量ブラックホールの初の観測例だと確認されたんですねー


2種類の大きさしか存在しない?

最近までブラックホールには、2種類の大きさしかないと考えられていました。

1つは、太陽の数倍の質量を持つ恒星質量クラスの“小型ブラックホール”で、
もう1つは、太陽の数百万倍以上の質量を持つ“超大質量ブラックホール”です。

恒星を引き裂き飲み込むことで知られている超大質量ブラックホールは、
多くの銀河の中心部にのみ存在しています。

今回確認されたブラックホールは、
この2つのタイプの中間にくらいで質量は太陽の約9万倍でした。


ブラックホールの形成と成長を解き明かす

今回の調査にあたった研究チームが、
2009年に「ほぼ偶然」に発見したのが“HLX-1”でした。

大量のX線と電波フレアを発している天体を見つけたのですが、
その発生源は渦巻銀河の中心部でなく、1万2000光年ほど離れた場所だったんですねー
中間質量ブラックホール“HLX-1”(円内)。
銀河中心からはずれた星団の中に位置している。

なので中間質量ブラックホールの起源は、
無数の恒星が互いの引力で引き寄せあって密集した、
球状星団の中心部にあるのかもしれません。

ごく初期の宇宙には太陽の1万倍の質量を持つ恒星が存在していて、
その恒星が一生を終えて中間質量ブラックホールになった っと考えることもできます。

また、中間質量ブラックホールが存在すること自体が、
超大質量ブラックホールの形成過程を解き明かす鍵になるかもしれません。

中間質量ブラックホールが、超大質量ブラックホールの原型かもしれないんですねー

例えば、1つの中間質量ブラックホールが太陽100万個分の質量を飲み込めば、
超大質量ブラックホールの規模まで成長できます。

また、複数の中間質量ブラックホールが初期の宇宙で融合して、
超大質量ブラックホールを形成したのかもしれません。

中間質量ブラックホールには、まだまだ分からないことが一杯あります。
なんせ、今のところ“HLX-1”しか見つかっていませんし…

とりあえず、中間質量ブラックホールが宇宙全体でどの程度一般的なモノなのか?
まだまだ研究が必要ですね。


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