X線新星は、ある時突然X線の領域で急激に明るくなって、1年程度かけて穏やかに暗くなる天体です。
ただ、宇宙から飛来するX線は地球の大気に吸収されてしまうので、地上から観測することができません。
なので、天体が放射するX線を観測するために、いくつかのX線天文衛星が打ち上げられているんですねー
X線の観測は国際宇宙ステーションでも行われています。
日本実験棟“きぼう”には“MAXI”というX線観測装置が設置されていて、国際宇宙ステーションが地球を周回するのを利用して全天を観測しています。
今回、“MAXI”が200日にわたって観測したのは2017年9月に見つかったX線新星の変光の様子。
観測で得られたデータから分かってきたのは中心にブラックホールがあることでした。
見つかったX線新星の中心にはブラックホールが存在している
2017年8月2日、国際宇宙ステーションの“きぼう”日本実験棟に設置されているX線監視装置“MAXI”によって、じょうぎ座のX線新星“MAXI J1535-571”が発見されます。
研究チームでは、このX線新星の明るさがピークに達し徐々に暗くなる様子を200日以上にわたり“MAXI”で観測。
“MAXI J1535-571”の当初の明るさは、かに星雲の3%(30ミリクラブ)程度だったのが、次第に増光し、16日後には100倍以上(5クラブ)まで明るくなっていました。
これはX線新星としては今世紀最大で、観測史上7番目の明るさでした。
また、明るさだけでなくX線のエネルギースペクトルも大きく変化しています。
低エネルギーX線(2~8キロ電子ボルト)と高エネルギーX線(8~20キロ電子ボルト)の間の比は20倍以上も変化していたんですねー
さらに研究チームは、このX線エネルギースペクトルをもとに、“MAXI J1535-571”を取り巻く降着円盤と高温コロナについて温度や構造を詳しく調査。
すると、円盤内側の温度が1キロ電子ボルトから0.5キロ電子ボルトまで減少していたのに、内側の半径は一定だったことが分かります。
このことから考えられるのは、“MAXI J1535-571”の中心にブラックホールが存在していて、その質量に比例する半径で降着円盤の構造が途切れているということ。
“MAXI J1535-571”がブラックホールである可能性を強く示唆する結果になったんですねー
“MAXI”は短い間隔で繰り返し長時間観測することを得意としている
“MAXI”は、かつてのX線天文衛星“すざく”のように大型のX線望遠鏡を備えた装置と比べると有効面積では劣っています。
ただ、大型のX線天文衛星は対象天体を定めて長時間の観測を行うタイプのものが多いので、変光天体や突発現象の観測には向いてないんですねー
一方、“MAXI”は96分で地球を一周する国際宇宙ステーションに取り付けられているので、対象とする天体を96分に1回の頻度で観測することができます。
そう、“MAXI”は天体を短い間隔で繰り返し長時間にわたって観測することを得意としているんですねー
突発天体が検出されるとインターネットを通じて即座に情報が公開され、
天文衛星“Swift”や“インテグラル”などの様々な観測装置による追加観測が可能になる。
今回、“MAXI J1535-571”のように非常に明るい天体が現れたことで、X線新星の活動開始から終息までの変化全体を時間的にも詳しく調べることができました。
大きな注目を浴びた“MAXI J1535-571”は、世界中の様々な望遠鏡によって観測が行われ、今年の7月にも再増光が報告されています。
これらの観測データを使い詳細な研究を進めていく上で、いち早く行われた“MAXI”によるX線新星の全体像を明らかにする報告が役立つそうですよ。
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いて座のX線新星はブラックホール連星
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X線の観測は国際宇宙ステーションでも行われています。
日本実験棟“きぼう”には“MAXI”というX線観測装置が設置されていて、国際宇宙ステーションが地球を周回するのを利用して全天を観測しています。
今回、“MAXI”が200日にわたって観測したのは2017年9月に見つかったX線新星の変光の様子。
観測で得られたデータから分かってきたのは中心にブラックホールがあることでした。
見つかったX線新星の中心にはブラックホールが存在している
2017年8月2日、国際宇宙ステーションの“きぼう”日本実験棟に設置されているX線監視装置“MAXI”によって、じょうぎ座のX線新星“MAXI J1535-571”が発見されます。
研究チームでは、このX線新星の明るさがピークに達し徐々に暗くなる様子を200日以上にわたり“MAXI”で観測。
“MAXI J1535-571”の当初の明るさは、かに星雲の3%(30ミリクラブ)程度だったのが、次第に増光し、16日後には100倍以上(5クラブ)まで明るくなっていました。
これはX線新星としては今世紀最大で、観測史上7番目の明るさでした。
“MAXI J1535-571”が最大光度に達した2017年9月18日の“MAXI”による全店X線画像。 |
低エネルギーX線(2~8キロ電子ボルト)と高エネルギーX線(8~20キロ電子ボルト)の間の比は20倍以上も変化していたんですねー
“MAXI J1535-571”のX線エネルギーの変化(上)、X線の色の変化(下)。 |
すると、円盤内側の温度が1キロ電子ボルトから0.5キロ電子ボルトまで減少していたのに、内側の半径は一定だったことが分かります。
このことから考えられるのは、“MAXI J1535-571”の中心にブラックホールが存在していて、その質量に比例する半径で降着円盤の構造が途切れているということ。
“MAXI J1535-571”がブラックホールである可能性を強く示唆する結果になったんですねー
“MAXI”は短い間隔で繰り返し長時間観測することを得意としている
“MAXI”は、かつてのX線天文衛星“すざく”のように大型のX線望遠鏡を備えた装置と比べると有効面積では劣っています。
ただ、大型のX線天文衛星は対象天体を定めて長時間の観測を行うタイプのものが多いので、変光天体や突発現象の観測には向いてないんですねー
一方、“MAXI”は96分で地球を一周する国際宇宙ステーションに取り付けられているので、対象とする天体を96分に1回の頻度で観測することができます。
そう、“MAXI”は天体を短い間隔で繰り返し長時間にわたって観測することを得意としているんですねー
突発天体が検出されるとインターネットを通じて即座に情報が公開され、
天文衛星“Swift”や“インテグラル”などの様々な観測装置による追加観測が可能になる。
今回、“MAXI J1535-571”のように非常に明るい天体が現れたことで、X線新星の活動開始から終息までの変化全体を時間的にも詳しく調べることができました。
大きな注目を浴びた“MAXI J1535-571”は、世界中の様々な望遠鏡によって観測が行われ、今年の7月にも再増光が報告されています。
これらの観測データを使い詳細な研究を進めていく上で、いち早く行われた“MAXI”によるX線新星の全体像を明らかにする報告が役立つそうですよ。
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