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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

隕石の炭素を調べて分かった。太陽系の小惑星帯にある天体の一部は、木星よりも遠くで作られて移動してきたようです。

2019年07月26日 | 太陽系・小惑星
火星と木星軌道の間にある小惑星帯。
そこに存在する小惑星の一部の形成過程が、小惑星由来の隕石に含まれる炭酸鉱物の分析から明らかになってきました。
まず木星軌道の外側の低温領域で形成され、後に現在の軌道へ移動してきた可能性が高いようです。
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小惑星はどこで形成されたのか

現在、太陽系の小惑星は火星と木星の公転軌道の間にある小惑星帯に集中して存在しています。

こうした小惑星はどこで形成されたのでしょうか?

この疑問を解くことは、現在の太陽系惑星の姿がどのように構築され、惑星の材料となった物質がどのようなものであったか? っという重要な問題を解決するための糸口にもなるんですねー

それでは、小惑星が形成された位置を特定するにはどうすればイイのでしょうか?

小惑星の形成過程を解明するには重要な手掛かりになるものがあります。
それは、小惑星を母天体とする隕石に含まれる炭素化合物などの凝固点の低い揮発性成分。

水を多く含む原始的隕石(炭素質コンドライト)には、その母天体の中で形成された炭酸塩鉱物が存在しています。
  水と岩石との反応で炭酸塩鉱物が形成される。

そこに含まれる炭素が、母天体に存在した揮発性の炭素化合物に由来すると考えられるわけです。
ただ、これまでその起源を特定できていませんでした。


小惑星由来の隕石に含まれている炭素を分析してみると…

今回、小惑星に含まれる炭素の由来を調査したのは茨城大学の研究チーム。
2000年1月にカナダ西部に落下した“タギシュ・レイク隕石”に豊富に含まれている炭酸塩鉱物の炭素同位体比(炭素13と炭素12の量比13C/12C)を分析しています。
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分析に用いられた“タギシュ・レイク隕石”。
宇宙空間に近い環境を保つため低温で保管されている。
その結果、炭酸塩鉱物の炭素同位体比は一様で、地球の標準物質と比較して7%も13Cに富んでいることが分かります。

これほど13Cに富む有機物は極めて稀なこと。
さらに分かったのが、隕石に含まれる炭酸塩鉱物が(炭素量で)1.3重量%と大量なので、この炭素が有機物由来である可能性が低いことでした。

では、有機物以外に炭酸塩鉱物に炭素を供給できる物質は何でしょうか?

研究チームが最も可能性が高いと考えたのは、母天体に固体として含まれていた二酸化炭素(ドライアイス)です。

ドライアイスの凝固点は、0.0001気圧程度の宇宙空間では摂氏マイナス200度と低くなります。
なので、今回の分析結果は“タギシュ・レイク隕石”の母天体が形成されたのが、ドライアイスが存在できる低温環境下だということを示していました。

つまり、“タギシュ・レイク隕石”の母天体が形成されたのは、太陽から遠い木星軌道以遠ということになるんですねー
  今回推定したドライアイスの炭素同位体比や、
  この隕石に含まれる二酸化炭素と水の量比は、彗星の観測値と矛盾していない。


“タギシュ・レイク隕石”は、小惑星帯の外縁や、木星のトロヤ群小惑星に多く存在する“D型小惑星”から飛来したと見られます。
  トロヤ群小惑星は、木星軌道上で木星の前後に集団で存在する小惑星の一群。

理論モデルによると、約40億年間に木星型惑星の軌道が変化し、その際に太陽系外縁天体が小惑星帯やトロヤ群領域に移動した可能性があると考えられています。

このシナリオと調和的な今回の研究結果は、小惑星の形成と軌道進化の過程を実験データで示した初めての成果になります。

小天体の移動が起こっていたのであれば、地球型惑星が存在する内惑星領域にも、外惑星領域で形成された物質が存在する可能性が出てきます。

地球大気に含まれるキセノンのうち20%は彗星物質に由来するという報告もあるので、地球の大気や海洋を含む、惑星に存在する揮発性物質の起源を探る上でも、今回の研究成果は重要な知見をもたらすものと言えるんですねー

隕石の炭酸塩鉱物がドライアイスの存在量、すなわち周囲の温度を示す指標になる可能性を示した今回の成果により、今後期待されるのが小惑星の形成過程の解明が進むこと。

さらに、探査機による小惑星や彗星の探査にとっても、“タギシュ・レイク隕石”の分析結果は有用なデータになるようですよ。


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化学汚染の影響を受けない新分析方法を開発! 岩石天体の衝突で発生する揮発性ガスの分析に活用

2019年07月20日 | 太陽系・小惑星
岩石天体同士が高速で衝突した際に起こると予測されてきた“衝突脱ガス”現象。
この現象について、新たな化学分析法が開発され、火星で実際に同現象が起こり得ることが実証されたそうです。
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岩石天体同士の衝突

太陽系の岩石天体同士が秒速数キロ以上の高速度で衝突すると、衝突地点の岩石は過熱され、含まれていた水蒸気や有機物などの揮発性成分が失われてしまいます。

このような現象は“衝突脱ガス”と呼ばれ、地球大気の形成や海の発生、6500万年前の恐竜絶滅に代表される環境大変動の原因として古くから研究されてきました。

これまで、天体衝突で発生する超高圧・高温条件を再現するのに有効なのは、“二段式ガス衝撃銃”と呼ばれる装置で実際に高速飛翔体を衝突させること。

でも、この装置だと加速時に発生する化学ガスが実験系を汚染してしまう問題があり、“衝突脱ガス”の研究で用いることができていませんでした。

今回、千葉工業大学惑星探査研究センターの研究チームは、化学汚染の影響を受けずに“衝突脱ガス”を分析する“2バルブ法”という新手法を開発。

この手法により、装置由来の化学汚染ガスを飛翔体質量の0.01~0.1%まで抑えることに成功したそうです。
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高速度衝突実験装置の概略図。
“2バルブ法”では2つのゲートバルブと二段式水素ガス銃を、
事前検討と予備実験で決定した時間差をつけて信号制御する。
これにより銃由来の化学汚染ガスを遮断し、
衝突発生ガスのみをガス分析装置に送って計測することができる。


火星の古い塩湖を想定した天体衝突実験

今回研究チームが実施したのは、“2バルブ法”による岩塩と二水石膏を用いた“衝突脱ガス”実験。
過去に干上がった火星の古い塩湖への天体衝突を想定していました。

そして実証したのが、火星への典型的な衝突の際に岩塩からは塩化ナトリウムの蒸気が、二水石膏からは水蒸気が発生すること。

これは、古い塩湖に固定された揮発性成分が天体衝突によって再び大気水圏に戻されることを意味するものであり、天体衝突が火星上での物質循環・化学反応を促すことを示唆する結果でした。
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ガス分析結果の例。
(a)岩塩を標的にした場合に発生した塩化ナトリウム蒸気分圧の変化
(b)二水石膏を標的にした場合に発生した水蒸気分圧の変化
岩塩は31万気圧、二水石膏は11万気圧の衝撃圧力がかかった場合にガスを放出することが分かる。
この衝撃圧力は火星への典型的な天体衝突条件で容易に達成される。
2020年末には探査機“はやぶさ2”が小惑星リュウグウの試料を持ち帰ってきます。

リュウグウもしくはその母天体が“衝突脱ガス”を経験している可能性があることを踏まえて、リュウグウを想定した模擬物質への“衝突脱ガス”実験も実施される予定です。

実験で得られる結果は、リュウグウの研究を進めるうえで不可欠な基礎データになると期待されているようですよ。


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太陽系外縁天体の衛星はどうやって作られたのか? 原因は初期の太陽系で起こった、溶融した巨大天体の衝突

2019年07月12日 | 太陽系・小惑星
冥王星など太陽系外縁天体の大きな衛星は、巨大天体衝突によって太陽系初期に形成された可能性が高いことが、数値シミュレーションによる研究で示されたそうです。

海王星軌道の外側を周る天体“太陽系外縁天体”

太陽系外縁天体のうち冥王星やエリス、ハウメアなど直径1000キロ以上の天体には、全てに衛星が見つかっています。

これらの衛星について分かっていることは、質量が中心天体の約10分の1から1000分の1と大きく、軌道はほぼ円形だということ。
  太陽系の惑星の衛星の質量は、
  月を除いてほとんどが中心天体の1万分の1未満。

現在発見されている直径1000キロ以上の太陽系外縁天体とその衛星のイメージ図(下端は地球と月)。
現在発見されている直径1000キロ以上の太陽系外縁天体とその衛星のイメージ図(下端は地球と月)。
ただ、これらの衛星がどのように形成されたのかはよく分かってないんですねー

冥王星とその最大の衛星カロンについては、地球の月と同様に巨大天体衝突によって形成されたという説が提唱されています。

巨大天体衝突によって衛星は形成されるか?

この謎を解くため東京工業大学の研究チームが進めたのは、数値シミュレーションによる調査。
冥王星とカロンの衛星系以外にも、巨大天体衝突によって衛星が形成されるかを調べたんですねー

まず行ったのは、天体衝突の速度や角度、衝突前の2つの天体の組成や質量比などを様々に変化させたシミュレーション。
そして明らかになったのが、衝突速度が脱出速度程度と小さく、衝突角度が約45度以上のかすり衝突の場合には衛星が形成されることでした。

この結果は、天体の分化状態や組成、質量といった条件などには依らないが、衝突の速度や角度によって衛星の質量が変わり、観測されている衛星の質量比も再現されました。

現在の自転・公転周期や離心率を説明するには

次に研究チームが行ったのは、巨大天体衝突後に形成された衛星についての潮汐による軌道進化の計算。
どのような場合に、現在の衛星や中心の天体の自転・公転周期や離心率が説明できるのかを調べています。

このシミュレーションでは、潮汐の大きさが天体の溶融状態によって変化するという条件を取り入れ、衝突後にある程度の時間が経過したところで溶融していた天体が冷却され固化するという過程を考慮しています。
  形成直後の衛星は離心率が大きい(つぶれた楕円軌道である)が、
  観測では現在の離心率は小さい(軌道が円に近くなる)ので、潮汐による軌道進化が必要になる。


計算の結果、衛星系を構成する2つの天体が、衛星形成後すぐに固化していた場合には離心率が上昇するので、観測を説明できないことが示されます。

一方、衛星系の天体が衛星形成後の数万年から数百万年の期間だけ溶融していた場合には、自転・公転周期と離心率の両方が説明できました。

太陽系初期に巨大天体が溶融した状態で衝突して衛星が形成された

さらに、巨大天体衝突や潮汐による加熱量の見積もりから分かったのは、直径1000キロサイズの太陽系外縁天体が衛星形成後に溶融していたとすれば、巨大天体衝突以前から溶融していたはずだということ。

そう、このサイズの天体が溶融するためには、太陽系の初期数百万年以内に形成されなくてはならないんですねー

この「巨大天体衝突が太陽系初期の数百万年程度で発生する」という仮説は、ちょうど「衛星を形成する巨大天体衝突の衝突速度は小さい」という数値シミュレーションから得られた制約と整合することになります。
研究1:巨大天体衝突による衛星形成の数値シミュレーション結果の例。研究2:潮汐による軌道進化の概念図。形成直後の衛星は離心率が大きいが、観測では現在の離心率は小さいので、潮汐による軌道進化が必要になる。右図:潮汐による軌道進化の計算結果。衛星系を構成する2天体が衛星形成後から固化している場合(左)や、衛星形成後1000年間しか溶融していない場合(中央)には観測を説明できないが、衛星形成後100万年間溶融していた場合(右)は離心率が低下し、観測を説明できるようになる。
研究1:巨大天体衝突による衛星形成の数値シミュレーション結果の例。
研究2:潮汐による軌道進化の概念図。形成直後の衛星は離心率が大きいが、観測では現在の離心率は小さいので、潮汐による軌道進化が必要になる。
右図:潮汐による軌道進化の計算結果。衛星系を構成する2天体が衛星形成後から固化している場合(左)や、衛星形成後1000年間しか溶融していない場合(中央)には観測を説明できないが、衛星形成後100万年間溶融していた場合(右)は離心率が低下し、観測を説明できるようになる。
これらのことから、太陽系外縁部に離心率の小さい衛星が普遍的に存在するのは、海王星以遠においても直径1000キロサイズの天体が太陽系初期に形成され、そうした巨大天体が溶融した状態で衝突して衛星が形成された可能性あることです。

今後必要になってくるのは、衛星の軌道や組成をより詳しく調べて仮説を検証していくこと。

すばる望遠鏡やアルマ望遠鏡などによる太陽系外縁天体とその衛星の観測から、まだ知られていない太陽系の姿が明らかになっていくことが期待されています。


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原始惑星の数少ない生き残り小惑星ベスタ。南半球にある異常に分厚い地殻はどうやって作られたのか?

2019年07月01日 | 太陽系・小惑星
小惑星ベスタを起源とする隕石の年代測定から、ベスタが約45億年前に巨大衝突を経験していたことが分かってきました。

これまで謎だったベスタの南半球にある異常に分厚い地殻… これも、どのように形成されたのか解明できるようですよ。

原始惑星の生き残り

地球などの惑星の元になった原始惑星が、太陽系の歴史の中でいつ誕生し、どのように成長したのか?
これらのことは、太陽系形成のシナリオを考える上でとても重要になります。

ただ、ほとんどの原始惑星は衝突などによって失われてしまうんですねー

でも、火星軌道と木星軌道の間に広がる小惑星帯の中に、原始惑星の数少ない生き残りが存在しています。
その生き残りが、小惑星帯の中で2番目に大きい小惑星ベスタ(直径525キロ)です。
小惑星ベスタ
小惑星ベスタ
ベスタが起源だと考えられている隕石グループに“メソシデライト”があります。
“メソシデライト”はその性質上、層構造を持つ天体が大規模に破壊されたときに形成されたと考えられています。

でも、“メソシデライト”がベスタで形成されたとすると、ベスタは形成史の中で大きな崩壊を経験したことになってしまいます。

一方で、ベスタに起源を持つ別の隕石グループ“HED隕石”の研究によると、ベスタは今も形成当時と同じ層構造を保っていると考えられていて、“メソシデライト”の形成に必要な大規模崩壊が起こったという推測とは矛盾する結果になっています。

ベスタは過去に巨大衝突を経験している

今回、東京工業大学の研究チームが検討したのは、これまでの研究で考慮されていなかったベスタにおける巨大衝突の可能性について。
このために調べたのは“メソシデライト”の形成年代でした。

5つの“メソシデライト”に含まれていたジルコンに対して、ウラン-鉛年代測定法(ID-TIM法)を用いて超高精度の年代測定を実施。
すると、“メソシデライト”の母天体の地殻は45.59±0.02億年前に形成され、45.254±0.009億年前に大規模な破壊を経験したことが判明します。

この結果と一致していたのは“HED隕石”から分かっているベスタの進化史でした。
“HED隕石”の測定から知られているのは、ベスタの地殻が45.5億年前に形成され、45.2~45.3億年前に何らかの原因で外部から再加熱されたこと。

また、これまでに得られた全科学データが“HED隕石”一致していて、“メソシデライト”の母天体は“HED隕石”と同じベスタであると確認されます。
“メソシデライト”と“HED隕石”の年代に関するヒストグラム。(上)“メソシデライト”に含まれるジルコンのウラン-鉛年代に基づく母天体の進化史(下)“HED隕石”のウラン-鉛年代に基づくベスタの進化史。地殻形成と再加熱(巨大衝突)の年代が一致している。
“メソシデライト”と“HED隕石”の年代に関するヒストグラム。(上)“メソシデライト”に含まれるジルコンのウラン-鉛年代に基づく母天体の進化史(下)“HED隕石”のウラン-鉛年代に基づくベスタの進化史。地殻形成と再加熱(巨大衝突)の年代が一致している。

南半球にある分厚い地殻は巨大衝突によって作られた

さらに研究チームは、ベスタでの巨大衝突モデルのいくつかを検討。
すると、当て逃げ型(ヒットエンドラン)の衝突モデルが、“メソシデライト”の形成やベスタ南半球の分厚い地殻の謎を説明できることが分かってきたんですねー

このモデルでは、まずベスタが40キロ程度の地殻を持って誕生。
その後、45.25億年前に別の小惑星と衝突を起こして北半球の大部分が崩壊します。

この時、地殻やマントル物質、溶融状態の金属コアが宇宙空間に飛び出しますが、大部分はベスタの重力から脱することができず、衝突の影響が比較的小さかった南半球に分厚く降り積もることになります。

その時に形成されたと考えられているのが“メソシデライト”。
最終的に地殻と衝突破砕物からなる分厚い層が、南半球のマントルの上にできたそうです。
(上)ベスタにおける巨大衝突モデルのイラスト、(下)45.25億年前のベスタにおける巨大衝突のイメージ図
(上)ベスタにおける巨大衝突モデルのイラスト
(下)45.25億年前のベスタにおける巨大衝突のイメージ図
NASAの小惑星探査機“ドーン”の探査データに基づいたシミュレーション研究から、ベスタの地殻の厚さが80キロ以上もあることが推定されていました。

その異常に分厚い地殻の正体は、この地殻と衝突破砕物の層で、45.25億年前の巨大衝突によってベスタの層構造が大きく変化した証拠ということになります。

今回の研究では、世界で初めて天体の巨大衝突が起こった年代が超高精度で決定され、ベスタの進化史がより鮮明に描き出されることになりました。

同様の年代測定法を他の隕石や探査機による回収資料に応用していくと、太陽系に存在する小惑星や惑星の多様性についての理解が進むのかもしれませんね。


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小惑星が明るい恒星の前を通過する現象“恒星食”、恒星がその間だけ暗くなったように見えますよ

2019年02月09日 | 太陽系・小惑星
2月11日の25時頃、小惑星が恒星の手前を通過して光を遮る恒星食が起きます。

小惑星による恒星食としては、今年一番の好条件なので注目の現象なんですねー
ただ、見えるのは関東地方になるようです。


骨のような形状をした小惑星

1980年4月10日にオーストリアの天文学者ヨハン・パリスによって発見された“クレオパトラ”は、小惑星帯にある12等に見える小惑星です。

古代エジプト最後の女王クレオパトラ7世にちなんで命名された小惑星“クレオパトラ”。
魅力的な名前を持っていますが、その素顔もミステリーに包まれているんですねー
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小惑星“クレオパトラ”
それは、過去に行われたレーダーによる観測から、小惑星“クレオパトラ”の形状が骨のようだったから。
三軸方向の長さは、それぞれ217キロメートル、94キロメートル、81キロメートルで、長く伸びた形で、中央部がくびれ、両端にこぶのある形をしているそうです。

このような形状は、膨大な数の小惑星の中でもとても奇妙なものの一つになります。


小惑星による恒星食

太陽系内を運動する暗い小惑星が、明るい恒星の前を通過すると、恒星がその間だけ暗くなったように見えます。
この現象を小惑星による恒星食といいます。

小惑星“クレオパトラ”による恒星食が起こるのは、2月11日(月曜日)の1時5分頃です。

いっぽう、“クレオパトラ”に隠されるのは、いっかくじゅう座に含まれる9.45等の恒星“TYC 0152-02286-1”。
“TYC 0152-02286-1”は恒星食としてはかなり明るい対象なので、減光が起これば、恒星は最長19.8秒にわたって約1.9等級暗くなると予想されています。
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目的の星を見つけることさえ出来れば、小口径の天体望遠鏡でも恒星が暗くなることを確認できるんですねー

ただ、観測が可能な範囲は限られていて、今回は関東を中心に中部や北陸エリアと予想されています。
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掩蔽とは、ある天体が観測者と他の天体の間を通過するときに、その天体が隠される現象。
今回は、“クレオパトラ”が観測者と恒星“TYC 0152-02286-1”の間を通過する。
緑の線で観測すれば掩蔽を正面から見れる。青は限界線、赤は誤差を考慮した限界線。


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