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ベンヌで採取されたサンプルをNASAが初公開! 小惑星からのサンプルリターンを成功させた探査機“オシリス・レックス”

2023年10月21日 | 太陽系・小惑星
“オシリス・レックス”が地球に持ち帰った小惑星ベンヌ(101955 Bennu)のサンプルが、ジョンソン宇宙センターからのライブ配信を通して初公開されました。

サンプルの公開に合わせてNASAからリリースされたのは、大きく写っている円筒型の物体。
それは、“オシリス・レックス”のロボットアーム先端に取り付けられていたサンプル採取装置“TAGSAM(Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism)”でした。

中央の開口部に見えている砕けた炭のような物質が、ベンヌの表面から採取された砂や小石サイズのサンプルです。
サンプル保管容器から取り出された小惑星探査機“オシリス・レックス”のサンプル採取装置“TAGSAM”。サンプルの大部分はまだ採取装置の中にある。(Credit: NASA/Erika Blumenfeld & Joseph Aebersold)
サンプル保管容器から取り出された小惑星探査機“オシリス・レックス”のサンプル採取装置“TAGSAM”。サンプルの大部分はまだ採取装置の中にある。(Credit: NASA/Erika Blumenfeld & Joseph Aebersold)

アメリカ版“はやぶさ”とも呼ばれるNASAの小惑星探査機

アメリカ版“はやぶさ”とも呼ばれるNASAの小惑星探査機“オシリス・レックス(OSIRIS-REx)”。
2016年9月に打ち上げられ、ベンヌに到着したのは2018年12月でした。

ベンヌの周回軌道上から観測を重ねた後、2020年10月に表面からのサンプル採取を実施。
目標の60グラムを大幅に上回るサンプルが集められたと判断されていました。
“オシリス・レックス”のカメラ“SamCam”で撮影されたサンプル採取前後5分間の画像から作成されたアニメーション。(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)
“オシリス・レックス”は、2021年5月にベンヌを出発。
回収カプセルの地球帰還に向けて飛行を続けていたんですねー

“オシリス・レックス”は、日本時間2023年9月24日19時42分頃、高度約6万3000マイル(約10万キロ)で本体から回収カプセルを分離。
回収カプセルは、約4時間後の日本時間同日23時42分にアメリカ・カリフォルニア州沖合の太平洋上空で大気圏に再突入し、東へ向かっていました。

そして、日本時間同日23時52分、小惑星ベンヌのサンプルを収めた“オシリス・レックス”の回収カプセルが、アメリカ・ユタ州の国防総省の試験訓練地域内の着陸エリアに着地。
これにより、小惑星からのサンプルリーンはアメリカ初!
世界では、日本の小惑星探査機“はやぶさ”と“はやぶさ2”に続き3例目になりました。

サンプルから得られた炭素と水が豊富に含まれている証拠

サンプルの採取当日、“オシリス・レックス”はロボットアームを伸ばしベンヌの表面へと降下していきます。

先端の採取装置が、小惑星性の表面に接触すると同時に窒素ガスを噴射。
これにより、表面から舞い上がった物質を採取装置の内部にとらえています。

採取装置は2020年10月30日にロボットアームから切り離され、回収カプセル内部のサンプル容器に収容。
2023年9月26日にジョンソン宇宙センターで開封作業が行われるまで、採取装置は3年近くサンプル容器に保管されていました。

サンプル容器の開封から2週間以内に行われた最初の分析の結果、ベンヌのサンプルからは炭素と水が豊富に含まれている証拠が得られています。
小惑星ベンヌからのサンプル採取後に撮影された小惑星探査機“オシリス・レックス”のサンプル採取装置“TAGSAM”の連続画像。採取された粒子の一部とみられる物質が漂っていた。(Credit: NASA)
小惑星ベンヌからのサンプル採取後に撮影された小惑星探査機“オシリス・レックス”のサンプル採取装置“TAGSAM”の連続画像。採取された粒子の一部とみられる物質が漂っていた。(Credit: NASA)
オシリス・レックスのミッションでは、少なくとも60グラムのサンプルをベンヌで採取し、地球に持ち帰ることが計画されていました。

でも、サンプル採取前後のロボットアームの動きを比較してみると、実際に採取したサンプルは約250グラムと予測されています。
ただ、正確に何グラムのサンプルが手に入ったのかは、2023年10月11日の時点でも判明していません。

なお、取り出されたベンヌのサンプルは、世界各国の研究者に配分されて分析が進められることになっています。

日本は、JAXAの小惑星探査機“はやぶさ2”が採取・回収した小惑星リュウグウ(162173 Ryugu)のサンプルの一部と、ベンヌのサンプルの一部をそれぞれ提供し合う交換協定を結んでいます。
これにより、ベンヌのサンプルは、日本の研究チームにも配分されることになります。

また、サンプルのうち70%は、将来の研究者へ託すために保存されることになります。
ジョンソン宇宙センターの専用クリーンルームに設置されたグローブボックスでサンプル容器から採取装置が取り外された時の様子。(2023年10月4日撮影)(Credit: NASA)
ジョンソン宇宙センターの専用クリーンルームに設置されたグローブボックスでサンプル容器から採取装置が取り外された時の様子。(2023年10月4日撮影)(Credit: NASA)

新たな目標天体へ向かうミッション“オシリス・アペックス”

小惑星ベンヌで採取したサンプルを無事地球へ届けた“オシリス・レックス”探査機本体は、回収カプセルの放出から20分後の日本時間2023年9月24日20時2分にスラスターを噴射し、大気圏に再突入する軌道から離脱。
新たなミッション“オシリス・アペックス(OSIRIS-APEX)”として小惑星アポフィスの調査に出発しました。

アポフィス(99942 Apophis)は直径約300メートルの小惑星。
2029年4月に地球へ2万マイル以内(地球から月までの距離の10分の1)まで接近する予定です。

“オシリス・アペックス”は、今後太陽系内で複雑な航路をたどり、アポフィスが地球に接近する2029年に同天体へ近接接近し、自転速度や表面の状態などを調査することになります。

ただ、“オシリス・アペックス”では“オシリス・レックス”とは異なりサンプルの採取はありません。
探査期間は18か月を予定しています。


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太陽系外縁部に未発見の第9惑星“プラネットX”は存在する!? 数値シミュレーションによる太陽系外縁天体の特性から分かったこと

2023年10月17日 | 太陽系・小惑星
現在、太陽系で確認されている惑星の数は8つあります。

その中で太陽から最も遠い海王星(第8惑星)の外側、太陽から数百天文単位離れたところには、未発見の惑星が存在するのではないかと考えられています。

その理由は、一部の太陽系外縁天体に見られる極端に偏った軌道にあります。
この偏った軌道が、未知の“第9惑星”の重力的な影響により、似た軌道に押しやられた結果だと考えられているんですねー

今回、近畿大学が発表したのは、数値シミュレーションを用いて、海王星以遠の4つに大別できる“太陽系外縁天体(trans-Neptunian objects ; TNO)”の特性を再現することに成功したことでした。

これにより、太陽系外縁部に未発見の第9惑星“プラネットX”が存在する可能性を示しています。
この研究成果は、近畿大学 総合社会学部 総合社会学科社会・マスメディア系専攻のソフィア・リカフィカ・パトリック准教授、国立天文台 天文シミュレーションプロジェクトの伊藤孝士講師らの共同研究チームによるものです。
太陽系外縁部に存在する可能性がある“プラネットX”のイメージ図。地球の約1.5倍~約3倍の質量となる可能性が導き出された。これは地球ほどからスーパーアースの天体になる。(Credit: Fernando Peña D'Andrea(出所:NEWSCAST Webサイト))
太陽系外縁部に存在する可能性がある“プラネットX”のイメージ図。地球の約1.5倍~約3倍の質量となる可能性が導き出された。これは地球ほどからスーパーアースの天体になる。(Credit: Fernando Peña D'Andrea(出所:NEWSCAST Webサイト))

軌道の偏りがある太陽系外縁天体

太陽から約30天文単位(au)離れた海王星軌道のさらに外側、約50au(約75億キロ)以遠に位置する太陽系外縁天体の中には、最も影響力のある海王星など、4つの巨大惑星だけでは説明できない軌道の偏りがあるものが観測されています。
1天文単位は太陽~地球間の平均距離、約1億5000万キロに相当する。
その偏りを説明できる仮説の1つとして、カイパーベルト領域に未知の第9惑星“プラネットX”が存在していて、重力的な影響を与えているというものがあります。

太陽系外縁天体は、以下のような4つに大別できる特性を持つ可能性が指摘されています。

  1. 海王星との平均運動共鳴に捕獲された、始原的であり安定した共鳴太陽系外縁天体の集団。

  2. 海王星の重力の影響が及ばない位置に軌道を持ち、近日点距離が40auを超える離脱太陽系外縁天体の集団。

  3. 45度以上の高い軌道傾斜角を持つ太陽系外縁天体の集団。地球などの惑星の公転面は太陽の赤道にほぼ沿っているが、それに対し冥王星のように斜めの軌道を持っている。

  4. 惑星候補の小惑星セドナ(近日点約76au~遠日点961au、公転周期1万1809年)のように、説明の難しい特異な軌道を持つ極端な太陽系外縁天体の集団。

“プラネットX”が遠方カイパーベルトに与える影響

でも、これまでのカイパーベルトおよび太陽系形成モデルでは、これらの特徴を一括して説明することはできませんでした。

そこで、今回の研究ではシミュレーションを用いて、“プラネットX”が遠方カイパーベルトの形成に与える影響を調査しています。

まず、太陽系形成から約46億年後の遠方カイパーベルトをシミュレーションで再現。
その結果について、太陽系外縁天体の集団の比率や、現在知られている極端な軌道を持つ太陽系外縁天体との比較を行いました。

さらに、観測結果と直接比較するために、太陽系大規模観測のシミュレータを用いて、作成されたシミュレーション結果に観測的なバイアスを与えています。

検証により実証されたのは、4つの巨大惑星のみを考慮した標準的モデルだと、離脱太陽系外縁天体高い軌道傾斜角を持つ太陽系外縁天体、そして極端な太陽系外縁天体のいずれも説明できないことでした。

でも、“プラネットX”を含むモデルを用いて、観測結果との比較を行ってみると、シミュレーションとほぼ一致することが判明するんですねー

“プラネットX”を含むモデルでは、遠方カイパーベルトの4集団を説明でき、さらに同惑星による重力的な影響が、太陽系形成以降の海王星以遠領域の軌道構造に影響を与えてきたことも示唆されました。
遠方に存在するカイパーベルトの軌道構造(上からの様子)。“プラネットX”が存在する場合は、離脱太陽系外縁天体(青い軌道)、高い軌道傾斜角を持つ太陽系外縁天体(緑の軌道)、極端な太陽系外縁天体(黄色の軌道)を一貫して説明可能。この図で“プラネットX”は太陽から約200au~約500au程度の距離で、その軌道は地球の軌道面に対して約30度傾いていると予測される。また“プラネットX”を考慮しても、海王星との安定した共鳴にある太陽系外縁天体(白い軌道)の形成は阻害されない。(出所:NEWSCAST Webサイト)
遠方に存在するカイパーベルトの軌道構造(上からの様子)。“プラネットX”が存在する場合は、離脱太陽系外縁天体(青い軌道)、高い軌道傾斜角を持つ太陽系外縁天体(緑の軌道)、極端な太陽系外縁天体(黄色の軌道)を一貫して説明可能。この図で“プラネットX”は太陽から約200au~約500au程度の距離で、その軌道は地球の軌道面に対して約30度傾いていると予測される。また“プラネットX”を考慮しても、海王星との安定した共鳴にある太陽系外縁天体(白い軌道)の形成は阻害されない。(出所:NEWSCAST Webサイト)

太陽系外縁天体を説明するために必要となる“プラネットX”の性質

そして、太陽系外縁天体を説明するために必要となる“プラネットX”の性質が分析され、以下の特徴が導き出されています。

  1. 遠方のカイパーベルトに数十億年安定して存在する共鳴太陽系外縁天体を説明するため、約200au以遠に位置する必要がある。

  2. 離脱太陽系外縁天体を説明するため、距離約200au~約300au、約200au~約500au、約200au~約800auのいずれかの離心軌道で進化する必要がある。

  3. 高い軌道傾斜角を持つ太陽系外縁天体を説明するため、質量が地球の約1.5倍を超え、軌道が約30度傾いている必要がある。

  4. セドナを含む、極端な太陽系外縁天体を説明するため、上記の性質を持つ地球的な惑星が必要である。

このような“プラネットX”があれば、太陽系内を逆行する軌道を持つ太陽系外縁天体や、彗星の源となるような遠方で高い軌道傾斜角を持つ天体も説明が可能になるようです。

このことから、地球の約1.5倍~約3倍の質量を持ち、太陽から約200au~約500auまたは約200au~約800au以内に位置し、約30度の軌道傾斜角を持つ“プラネットX”があれば、太陽系外縁天体の4集団について説明できることが明らかになりました。

また、“プラネットX”による重力的な影響は、海王星による重力散乱を強く受ける太陽系外縁天体のように、50auを超えた距離にある他の天体の形成を阻害しないことから、今回作成されたモデルは遠方のカイパーベルトの分布を説明でき、現代の観測結果と矛盾するものではないことも確認されました。

今回の研究成果は、近日点距離が大きい、もしくは大きな軌道傾斜角を持つ未知の太陽系外縁天体集団が、約100auを超える領域に存在し得ることも示唆していることにあります。

こうした太陽系外縁天体集団は、“プラネットX”の存在を観測的に検証する際の指標となり得ます。

今後、研究チームでは“プラネットX”や未知の太陽系外縁天体の集団などの軌道構造を、より詳細に明らかにしていくそうです。
これにより、太陽系外縁部での惑星の形成や太陽系全体の進化についても、より深い理解が得られることが期待されますね。
遠方に存在するカイパーベルトの軌道構造(横からの様子)。(出所:NEWSCAST Webサイト)
遠方に存在するカイパーベルトの軌道構造(横からの様子)。(出所:NEWSCAST Webサイト)


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【 打ち上げ成功!】 原始惑星のコアだったかも? 金属が豊富な小惑星を目指すNASAの探査機“サイキ”は10月13日以降の打ち上げへ

2023年10月13日 | 太陽系・小惑星
2023年10月18日更新
小惑星“プシケ(16 Psyche)”を目指すNASAの探査機“サイキ(Psyche)”の打ち上げが迫ってきました。

直近の打ち上げ予定は2023年の10月5日でしたが、窒素コールドガススラスターの問題に対処するため、打ち上げは延期。
スラスターを温度制限内で運転することは、ユニットの長期的な健全性を確保するために不可欠だったため、この問題への対処が行われています。

探査機“サイキ”の打ち上げに利用するスペースX社のファルコンヘビーロケットは、静止燃焼テストを完了。
この打ち上げは、ファルコンヘビーロケットにとって8回目のミッションになります。

探査機“サイキ”は、アメリカ・フロリダ州にあるケネディ宇宙センターから、10月12日以降に打ち上げられる予定です。
NASAの小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の探査機を搭載したスーペースX社のファルコンヘビーロケット。ケネディ宇宙センター39A射場にて2023年10月11日に撮影。(Credit: NASA/Aubrey Gemignani)
NASAの小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の探査機を搭載したスーペースX社のファルコンヘビーロケット。ケネディ宇宙センター39A射場にて2023年10月11日に撮影。(Credit: NASA/Aubrey Gemignani)

打ち上げ目標を10月13日夜に延期

日本時間2023年10月12日夜に予定されていた小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の探査機打ち上げが、1日延期されたことをNASAが発表しました。

直近の打ち上げ目標は、日本時間の2023年10月12日23時16分(アメリカ東部夏時間同日10時16分)でした。

悪天候が予想されることから1日延期。
新たな打ち上げ目標は、日本時間の2023年10月13日23時19分(アメリカ東部夏時間同日10時19分)になっています。

NASAでは、英語の解説付きライブ中継を日本時間同日22時30分からYouTube公式チャンネル、SNS、NASA公式アプリなどで配信するそうですよ。
▼“Psyche(サイキ)”ミッション打ち上げライブ配信URL(YouTube)。
https://www.youtube.com/watch?v=npIDMxrzm_o
スペースX社は、日本時間の2023年10月13日23時19分(アメリカ東部夏時間同日10時19分)にファルコンヘビーロケットの打ち上げを実施。
搭載されていた探査機“サイキ(Psyche)”が、ロケットから正常に分離されたことで打ち上げは成功しています。
“Psyche(サイキ)”ミッションの打ち上げライブ配信(YouTube)。(Credit: NASA)

“Psyche”の日本語表記について、小惑星はラテン語の読み方の“プシケ”、NASAのミッションおよび探査機は英語の読み方の“サイキ”を用いています。

図1.小惑星“プシケ”を観測する探査機“サイキ”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/Arizona State Univ./Space Systems Loral/Peter Rubin)
図1.小惑星“プシケ”を観測する探査機“サイキ”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/Arizona State Univ./Space Systems Loral/Peter Rubin)

原始惑星のコアだった可能性がある小惑星

小惑星“プシケ”が位置しているのは火星と木星の間に広がる小惑星帯で、太陽~地球間の3倍ほど離れた軌道を公転しています。

ジャガイモのような不規則な形をしていて、幅は最大で280キロほど。
おそらく岩石と金属が混合してできていて、金属が体積の30~60%を占めると見られています。
小惑星“16 Psyche(プシケ)”は、鉄やニッケルといった金属を豊富に含む“M型小惑星”に分類されている。
小惑星“プシケ”に含まれる金属は、地球上では1,000京ドル(約14垓円)の価値があると考えられています。
世界経済全体よりも大きいと試算されている“プシケ”の経済価値ですが、探査機“サイキ”の目的は小惑星の探査。
磁力計やガンマ線・中性子分光計、多波長イメージャなどを用いて、小惑星の組成や統制を詳しく調査することにあります。
図2.小惑星“プシケ”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)
図2.小惑星“プシケ”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)
このような金属が豊富な小惑星を目指すミッションは史上初めてのこと。

地球などの岩石惑星は、かつて微惑星が衝突・合体をして形成されたと考えられています。

小惑星“プシケ”は、微惑星の外層が衝突によって剥ぎ取られて核が露出したもの、あるいは核の一部である可能性があると考えられています。

岩石惑星の核は、天体の中心部にあるので直接観測することはできません。

小惑星“プシケ”を探査することで、岩石惑星の核がどのように形成されたのかについて、新たな知見が得られるはず…
一方、“プシケ”が微惑星の核ではない場合、これまで誰も見たことのない、非常に珍しい種類の原始の太陽系天体であることが判明するかもしれません。

約6年間をかけて小惑星“プシケ”へ

10月12日だと、打ち上げは23時16分(日本時間)に実施されます。

何らかの理由でその時刻に打ち上げができないと、打ち上げは翌日以降に持ち越されることになります。
打ち上げ可能な期間は10月25日までありますが、打ち上げ時刻は30分程度しか変わりません。

打ち上げ後の探査機“サイキ”は約6年間をかけて小惑星“プシケ”へ。
小惑星“プシケ”に到着するのは2029年8月の予定になっています。

その間、2026年5月に火星フライバイを実施。
火星への最接近時に探査機“サイキ”は、火星上空3000~4400キロを飛行するそうです。
探査機が、惑星の近傍を通過するとき、その惑星の重力や公転運動量などを利用して、速度や方向を変える飛行方式。燃料を消費せずに軌道変更と加速や減速が行える。積極的に軌道や速度を変更する場合をスイングバイ、観測に重点が置かれる場合をフライバイと言い、使い分けている。
特徴的なのは、“サイキ”がソーラーパネルから得た電力を用いて推進する“太陽電気推進”を採用する点です。
これは、搭載するキセノンガスを電気でイオン化してスラスターから噴射する方式。
得られる推力は弱いものの、少ないガス搭載量で長期間のミッションが可能になります。

さらに、“深宇宙光通信(Deep Space Optical Communications; DSOC)”の技術実証も予定。
このデモは、打ち上げから約3週間後、探査機が地球から約700万キロ離れた時点で実施され、光レーザーを用いて深宇宙との広帯域データ通信を実証します。
この技術が実用化できれば、深宇宙探査において得られるデータ量が格段に増す可能性があります。

観測は異なる高度の4つの軌道から

小惑星“プシケ”に到着後の探査機“サイキ”は、少なくとも26か月間“プシケ”を周回する予定です。
図3.小惑星“プシケ”に到着後の探査機“サイキ”の軌道。(Credit: NASA/JPL-Caltech)
図3.小惑星“プシケ”に到着後の探査機“サイキ”の軌道。(Credit: NASA/JPL-Caltech)
“サイキ”は、異なる高度の4つの軌道から小惑星の観測を行います。(図3)

4つの軌道は高度の高い順にAからDまでのアルファベットが付けられていますが、必ずしもアルファベット順にミッションが進行するわけではありません。

現段階で想定されているのは、A→B1→D→C→B2の順。
軌道A(ORBIT A)は709キロの距離を32.6時間で1周し、56日間で41周することになります。

軌道B(ORBIT B)は303キロの軌道を11.6時間で周回。
軌道B1では92日間で190周、軌道B2では100日間で206周する予定です。

軌道C(ORBIT C)は190キロの高度を7.2時間で周回し、100日間で333周。

軌道D(ORBIT D)は小惑星に最も接近し、高度は75キロで3.6時間で1周します。
100日間で666周することになっています。

“ディスカバリー計画”14番目のミッションとして2017年に選定された小惑星探査ミッション“サイキ”。

ディスカバリーと言えば、1992年に当時のNASA長官が提唱した、「より速く、より良く、より安く」のスローガンを体現する計画。
過去のディスカバリー計画の探査ミッションには、小惑星“ベスタ”と準惑星“ケレス”を探査した“ドーン”、太陽系外惑星探査を行う“ケプラー”、彗星を探査した“メッセンジャー”などがあります。

そう、低コストのミッションなのに高パフォーマンス!
どれも素晴らしい結果を残しているんですねー

なので、このミッションも原始惑星やそのコアについて新たな知見を与えてくれるはずですよ。


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NASAの小惑星探査機“オシリス・レックス”が帰ってくる! 小惑星ベンヌのサンプルを収めたカプセルは9月24日夜に大気圏突入

2023年09月16日 | 太陽系・小惑星
小惑星ベンヌで採取したサンプルを無事地球へ届けた“オシリス・レックス”は、新たなミッション“オシリス・アペックス”として小惑星アポフィスの調査に出発しました。

小惑星探査機“オシリス・レックス”は“オシリス・アペックス”に改名され、直径約300メートルの小惑星アポフィスの調査へ。
アポフィスは、2029年4月に地球へ2万マイル以内(地球から月までの距離の10分の1)まで接近する予定です。
“オシリス・アペックス”は、今後太陽系内で複雑な航路をたどり、アポフィスが地球に接近する2029年に同天体へ近接接近。
自転速度、表面の状態などを調査することになります。

ただ、“オシリス・アペックス”では“オシリス・レックス”とは異なりサンプルの採取はありません。
探査期間は18か月を予定しています。


小惑星探査機“オシリス・レックス(OSIRIS-REx)”のミッションは、日本の“はやぶさ”や“はやぶさ2”と同様に小惑星からサンプルを採取して地球に持ち帰ることです。

今回、NASAが明らかにしたのは、“オシリス・レックス”の回収カプセルを、地球に帰還させるための重要な軌道修正操作が実施されたこと。
小惑星ベンヌ(101955 Bennu)から採取されたサンプルを収めたカプセルは、日本時間2023年9月24日に地球へ届けられる予定です。
(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/CI Lab)
(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/CI Lab)

地球の大気圏へ再突入する軌道へ

アメリカ版“はやぶさ”とも呼ばれる“オシリス・レックス”は2016年9月に打ち上げられ、ベンヌに到着したのは2018年12月でした。

周回軌道上からの観測を重ねた後の2020年10月に表面からのサンプル採取を実施。
目標の60グラムを大幅に上回るサンプルが集められたと判断されていたんですねー

2021年5月にベンヌを出発した“オシリス・レックス”は、回収カプセルの地球帰還に向けて飛行を続けていました。

ベンヌを出発してから2年が経った2023年7月26日、スラスターを約63秒間噴射する軌道修正操作“TCM10(Trajectory Correction Maneuver)”を実施。
“オシリス・レックス”は軌道修正操作前よりも地球へわずかに近付く軌道に入っていました。

NASAによると、2023年9月10日に軌道修正操作“TCM11”が実施された結果、“オシリス・レックス”は地球の大気圏へ再突入する軌道に入ったそうです。

JAXAの小惑星探査機“はやぶさ”や“はやぶさ2”と同様に、“オシリス・レックス”の回収カプセルには自分で飛行する能力はありません。

そのため、回収カプセルを地球に帰還させるには、“オシリス・レックス”自身が一時的に大気圏へ再突入する軌道に入る必要があります。

“オシリス・レックス”が回収カプセルを放出するのは、地表から約10万2000キロ(地球から月の距離の3分の1ほど)まで近づいた日本時間2023年9月24日19時42分。
回収カプセルの大気圏再突入は、その4時間後の同日23時42分に予定されています。

大気圏突入から約2分後には減速用のパラシュートを展開し、6分後の上空1.6キロでメインパラシュートを展開。
大気圏突入から13分後、カプセルはアメリカ・ユタ州の砂漠にある国防総省の試験訓練地域に着地する予定です。

回収されたカプセルは、近くに設置された一時的なクリーンルームで初期処理などを行った後、NASAのジョンソン宇宙センターへ航空機で輸送される予定です。

なお、軌道の最終調整が必要と判断された場合には、9月17日に再び軌道修正操作が行われる可能性があります。
9月17日、NASAは回収カプセルの着地地点を調整するため、ごく短時間のスラスター噴射を実施しました。
軌道を微調整した“オシリス・レックス”は、地球に対する速度が秒速3ミリメートル変化。
この微調整により、回収カプセルの着地予測地点は東に12.5キロほど移動することになります。
着地予測地点は、アメリカ・ユタ州の砂漠にある国防総省の試験訓練地域内の着陸エリアの中央になったようです。
“オシリス・レックス”の軌道修正操作“TCM10(JUL. 26)”から地球フライバイまでの飛行経路を示した図。今回実施された軌道修正操作は“TCM11(SEP. 10)”で、必要に応じて“TCM12(SEP. 17)”が実施された後に回収カプセルを分離する(CAPSULE RELEASE)。その後、“オシリス・レックス”は再突入軌道を離れる操作を実施し(SPACECRAFT DIVERTS)、回収カプセルは地球の大気圏へ再突入する(CAPSULE EARTH ENTRY)。(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)
“オシリス・レックス”の軌道修正操作“TCM10(JUL. 26)”から地球フライバイまでの飛行経路を示した図。今回実施された軌道修正操作は“TCM11(SEP. 10)”で、必要に応じて“TCM12(SEP. 17)”が実施された後に回収カプセルを分離する(CAPSULE RELEASE)。その後、“オシリス・レックス”は再突入軌道を離れる操作を実施し(SPACECRAFT DIVERTS)、回収カプセルは地球の大気圏へ再突入する(CAPSULE EARTH ENTRY)。(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)

日本時間2023年9月24日19時42分頃、高度約6万3000マイル(約10万キロ)で“オシリス・レックス”本体から回収カプセルが分離。
回収カプセルは、約4時間後の日本時間同日23時42分にアメリカ・カリフォルニア州沖合の太平洋上空で大気圏に再突入し、東へ向かっていました。
そして、日本時間同日23時52分、小惑星ベンヌのサンプルを収めた“オシリス・レックス”の回収カプセルが、アメリカ・ユタ州の国防総省の試験訓練地域内の着陸エリアに着地。
これにより、小惑星からのサンプルリーンはアメリカ初!
世界では、日本の小惑星探査機“はやぶさ”と“はやぶさ2”に続き3例目になりました。

新たな目標天体へ向かうミッション“オシリス・アペックス”

“オシリス・レックス”は回収カプセル放出後のミッション延長がすでに決定しています。

なので、“オシリス・レックス”探査機本体は、回収カプセルの放出から20分後の日本時間2023年9月24日20時2分にスラスターを噴射し、大気圏に再突入する軌道から離脱します。

ミッション名は“オシリス・アペックス(OSIRIS-APEX)”に改められ、2029年に小惑星アポフィス(99942 Apophis)に到着して周回探査を実施する予定です。

小惑星リュウグウ(162173 Ryugu)から約5.4グラムのサンプル採取とサンプルリターンを成功させた“はやぶさ2”は、現在は拡張ミッション“はやぶさ2#”に入っています。

一方、当初予定されていた60グラムを上回る量のサンプルを採取できたとみられている“オシリス・レックス”。
カプセルの帰還と延長ミッション“オシリス・アペックス”が成功するといいですね。
(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/CI Lab)
(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/CI Lab)


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原始惑星のコアだった可能性がある小惑星へ! 打ち上げ準備が進められるNASAの小惑星探査機“サイキ”は2023年10月出発予定

2023年08月13日 | 太陽系・小惑星
打ち上げ準備が進められているNASAの小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の探査機。
2023年7月25日(現地時間)、アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センター近くにあるアストロテック・スペース・オペレーションズの施設で、探査機“Psyche(サイキ)”本体に太陽電池アレイ取り付けられているところです。
“Psyche”の日本語表記について、小惑星はラテン語の読み方の“プシケ”、NASAのミッションおよび探査機は英語の読み方の“サイキ”を用いています。
NASAの小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の探査機への太陽電池アレイ取り付け作業の様子(2023年7月25日撮影)。(Credit: NASA/Kim Shiflett)
NASAの小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の探査機への太陽電池アレイ取り付け作業の様子(2023年7月25日撮影)。(Credit: NASA/Kim Shiflett)

ディスカバリー計画で14番目のミッション

小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”の目的は、火星と木星の間に広がる小惑星帯を公転する小惑星“16 Psyche(プシケ)”の周回探査。
“ディスカバリー計画”14番目のミッションとして2017年に選定されました。

ディスカバリーと言えば、1992年に当時のNASA長官が提唱した、「より速く、より良く、より安く」のスローガンを体現する計画。
過去のディスカバリー計画の探査ミッションには、小惑星“ベスタ”と準惑星“ケレス”を探査した“ドーン”、太陽系外惑星探査を行う“ケプラー”、彗星を探査した“メッセンジャー”などがあります。

そう、低コストのミッションなのに高パフォーマンス!
どれも素晴らしい結果を残しているんですねー

原始惑星のコアだった可能性がある小惑星へ

小惑星“16 Psyche(プシケ)”は、鉄やニッケルといった金属を豊富に含む“M型小惑星”に分類されています。

その正体は初期の太陽系で形成された原始惑星のコア(核)ではないかと予想されてきました。

過去に探査機が接近して観測した小惑星や彗星は主に岩石や氷でできているので、“16 Psyche(プシケ)”は金属質の小惑星を間近で観測する初のミッションになります。

地球のコアを直接調べることはできないので、原始惑星のコアだった可能性がある“16 Psyche(プシケ)”の観測を通して、地球のような惑星の形成についての貴重な情報が得られると期待されています。
NASAの小惑星探査機“Psyche(サイキ)”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/Arizona State Univ./Space Systems Loral/Peter Rubin)
NASAの小惑星探査機“Psyche(サイキ)”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/Arizona State Univ./Space Systems Loral/Peter Rubin)

打ち上げは日本時間の2023年10月5日23時38分

小惑星探査ミッション“Psyche(サイキ)”は、もともと2022年の8月1日~10月11日に探査機を打ち上げる予定で準備が進められてきました。

でも、地上試験で用いられるソフトウェア試験用のテストベッド(試験用の環境やプラットフォームのこと)で問題が見つかるんですねー
このため、2022年6月には打ち上げがいったん見送られることに…
現在、探査機“Psyche(サイキ)”の打ち上げ目標日時は、日本時間の2023年10月5日23時38分に再設定されています。

NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、探査機“Psyche(サイキ)”には5枚のパネルを十字型に配置した太陽電池アレイが2基搭載されています。

展開後の面積は2基合わせて75平方メートルで、1基当たりの寸法は長さ11.3メートル・幅7.4メートル。
太陽電池アレイを拡げた“Psyche(サイキ)”の幅は、テニスコートの縦方向の長さとほぼ同じ24.7メートルにもなります。
小惑星探査機“Psyche(サイキ)”への太陽電池アレイ取り付け作業の動画(英語)。(Credit: NASA/Glenn Benson and Cory Huston)
巨大な太陽電池アレイの発電能力は地球近傍では21キロワット。
でも、地球よりも太陽から遠い小惑星帯では2キロワット強にまで低下してしまいます。

それでも、“16 Psyche(プシケ)”までの飛行を担うホールスラスター(キセノンを利用した電気推進システム)をはじめ、探査機本体のシステムや観測装置などの電力需要を満たすのに十分なんだとか。

“Psyche(サイキ)”に推進剤のキセノン(合計1085キロ)が充填されるのは2023年8月中旬。
2023年10月に打ち上げられると、2029年7月に“16 Psyche(プシケ)”に到着し、26か月間にわたって周回探査を実施する予定です。

“Psyche(サイキ)”により原始惑星やそのコアについて新たな知見が得られるのでしょうか… まずは打ち上げの成功ですね。
小惑星“16 Psyche(プシケ)”(奥)を観測する探査機“Psyche(サイキ)”(手前)のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)
小惑星“16 Psyche(プシケ)”(奥)を観測する探査機“Psyche(サイキ)”(手前)のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)


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