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NASAの小惑星探査機“オシリス・レックス”が帰ってくる! 小惑星ベンヌのサンプルを収めたカプセルは9月24日夜に大気圏突入

2023年09月16日 | 太陽系・小惑星
小惑星ベンヌで採取したサンプルを無事地球へ届けた“オシリス・レックス”は、新たなミッション“オシリス・アペックス”として小惑星アポフィスの調査に出発しました。

小惑星探査機“オシリス・レックス”は“オシリス・アペックス”に改名され、直径約300メートルの小惑星アポフィスの調査へ。
アポフィスは、2029年4月に地球へ2万マイル以内(地球から月までの距離の10分の1)まで接近する予定です。
“オシリス・アペックス”は、今後太陽系内で複雑な航路をたどり、アポフィスが地球に接近する2029年に同天体へ近接接近。
自転速度、表面の状態などを調査することになります。

ただ、“オシリス・アペックス”では“オシリス・レックス”とは異なりサンプルの採取はありません。
探査期間は18か月を予定しています。


小惑星探査機“オシリス・レックス(OSIRIS-REx)”のミッションは、日本の“はやぶさ”や“はやぶさ2”と同様に小惑星からサンプルを採取して地球に持ち帰ることです。

今回、NASAが明らかにしたのは、“オシリス・レックス”の回収カプセルを、地球に帰還させるための重要な軌道修正操作が実施されたこと。
小惑星ベンヌ(101955 Bennu)から採取されたサンプルを収めたカプセルは、日本時間2023年9月24日に地球へ届けられる予定です。
(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/CI Lab)
(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/CI Lab)

地球の大気圏へ再突入する軌道へ

アメリカ版“はやぶさ”とも呼ばれる“オシリス・レックス”は2016年9月に打ち上げられ、ベンヌに到着したのは2018年12月でした。

周回軌道上からの観測を重ねた後の2020年10月に表面からのサンプル採取を実施。
目標の60グラムを大幅に上回るサンプルが集められたと判断されていたんですねー

2021年5月にベンヌを出発した“オシリス・レックス”は、回収カプセルの地球帰還に向けて飛行を続けていました。

ベンヌを出発してから2年が経った2023年7月26日、スラスターを約63秒間噴射する軌道修正操作“TCM10(Trajectory Correction Maneuver)”を実施。
“オシリス・レックス”は軌道修正操作前よりも地球へわずかに近付く軌道に入っていました。

NASAによると、2023年9月10日に軌道修正操作“TCM11”が実施された結果、“オシリス・レックス”は地球の大気圏へ再突入する軌道に入ったそうです。

JAXAの小惑星探査機“はやぶさ”や“はやぶさ2”と同様に、“オシリス・レックス”の回収カプセルには自分で飛行する能力はありません。

そのため、回収カプセルを地球に帰還させるには、“オシリス・レックス”自身が一時的に大気圏へ再突入する軌道に入る必要があります。

“オシリス・レックス”が回収カプセルを放出するのは、地表から約10万2000キロ(地球から月の距離の3分の1ほど)まで近づいた日本時間2023年9月24日19時42分。
回収カプセルの大気圏再突入は、その4時間後の同日23時42分に予定されています。

大気圏突入から約2分後には減速用のパラシュートを展開し、6分後の上空1.6キロでメインパラシュートを展開。
大気圏突入から13分後、カプセルはアメリカ・ユタ州の砂漠にある国防総省の試験訓練地域に着地する予定です。

回収されたカプセルは、近くに設置された一時的なクリーンルームで初期処理などを行った後、NASAのジョンソン宇宙センターへ航空機で輸送される予定です。

なお、軌道の最終調整が必要と判断された場合には、9月17日に再び軌道修正操作が行われる可能性があります。
9月17日、NASAは回収カプセルの着地地点を調整するため、ごく短時間のスラスター噴射を実施しました。
軌道を微調整した“オシリス・レックス”は、地球に対する速度が秒速3ミリメートル変化。
この微調整により、回収カプセルの着地予測地点は東に12.5キロほど移動することになります。
着地予測地点は、アメリカ・ユタ州の砂漠にある国防総省の試験訓練地域内の着陸エリアの中央になったようです。
“オシリス・レックス”の軌道修正操作“TCM10(JUL. 26)”から地球フライバイまでの飛行経路を示した図。今回実施された軌道修正操作は“TCM11(SEP. 10)”で、必要に応じて“TCM12(SEP. 17)”が実施された後に回収カプセルを分離する(CAPSULE RELEASE)。その後、“オシリス・レックス”は再突入軌道を離れる操作を実施し(SPACECRAFT DIVERTS)、回収カプセルは地球の大気圏へ再突入する(CAPSULE EARTH ENTRY)。(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)
“オシリス・レックス”の軌道修正操作“TCM10(JUL. 26)”から地球フライバイまでの飛行経路を示した図。今回実施された軌道修正操作は“TCM11(SEP. 10)”で、必要に応じて“TCM12(SEP. 17)”が実施された後に回収カプセルを分離する(CAPSULE RELEASE)。その後、“オシリス・レックス”は再突入軌道を離れる操作を実施し(SPACECRAFT DIVERTS)、回収カプセルは地球の大気圏へ再突入する(CAPSULE EARTH ENTRY)。(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)

日本時間2023年9月24日19時42分頃、高度約6万3000マイル(約10万キロ)で“オシリス・レックス”本体から回収カプセルが分離。
回収カプセルは、約4時間後の日本時間同日23時42分にアメリカ・カリフォルニア州沖合の太平洋上空で大気圏に再突入し、東へ向かっていました。
そして、日本時間同日23時52分、小惑星ベンヌのサンプルを収めた“オシリス・レックス”の回収カプセルが、アメリカ・ユタ州の国防総省の試験訓練地域内の着陸エリアに着地。
これにより、小惑星からのサンプルリーンはアメリカ初!
世界では、日本の小惑星探査機“はやぶさ”と“はやぶさ2”に続き3例目になりました。

新たな目標天体へ向かうミッション“オシリス・アペックス”

“オシリス・レックス”は回収カプセル放出後のミッション延長がすでに決定しています。

なので、“オシリス・レックス”探査機本体は、回収カプセルの放出から20分後の日本時間2023年9月24日20時2分にスラスターを噴射し、大気圏に再突入する軌道から離脱します。

ミッション名は“オシリス・アペックス(OSIRIS-APEX)”に改められ、2029年に小惑星アポフィス(99942 Apophis)に到着して周回探査を実施する予定です。

小惑星リュウグウ(162173 Ryugu)から約5.4グラムのサンプル採取とサンプルリターンを成功させた“はやぶさ2”は、現在は拡張ミッション“はやぶさ2#”に入っています。

一方、当初予定されていた60グラムを上回る量のサンプルを採取できたとみられている“オシリス・レックス”。
カプセルの帰還と延長ミッション“オシリス・アペックス”が成功するといいですね。
(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/CI Lab)
(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/CI Lab)


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