薄墨羊羹~『色の歴史手帖』

2009-12-13 14:49:27 | Weblog
「関東平野の冬!!」といったところでしょうか(笑)。しかしながら、覚悟していたほどではないような…。風がさほど強くなく、良い案配ですね。


松山・中野本舗の薄墨羊羹を少々。松山銘菓では一六タルトが有名ですが、私としては山田屋まんじゅうのほうが遥かに好みです(笑)。
さて、薄墨羊羹…抹茶を加えているためか、見た目が海松色(みるいろ)に近い気がします。甘味も柔らかで、緑茶によく合いますね。もしも『ご当地羊羹ランキング』なんてジャンルがあれば、間違いなく上位に入るでしょう(笑)。
しかし…羊羹の色艶を眺めていると谷崎の『陰翳礼讃』に連想がいくのは、「パブロフの犬」としか言い様がない(-_-;)


少しだけ時間ができた時、『色の歴史手帖』(吉岡幸雄/PHP)を広げる今日この頃…。束の間、日本の染色・染織が有する豊穣な世界に浸るのはなかなか愉しいですね。
季節が織りなす風景や寺社行事に縁の色を紹介する本文も素人にはありがたいのですが、それ以上に嬉しいのがカラー図版。紅花や藍茜などが染料になる工程や四季折々の襲の色目など、カラーでなければわからない色彩の数々とその名称とが収められています。色とその名称の豊かさに改めて感嘆させられます。
昔々、奈良へ行った時、著者の父、吉岡常雄の回顧展があり、染めの世界の深さに目を奪われ圧倒されるばかりでした。自然の恵みと、それを組み合わせる人間の叡智とが上手く噛み合って生まれる色合いは、合成染料では作り得ないものでしょう。
勿論、私たちが日常用いる衣服を天然染料でまかなうことなど到底できません。ただ、動植物や鉱物から生み出される様々な色を、私たちの先祖が愛で伝えてきたことに気付くだけで、ほんの少し豊かな気持ちになれそうな気がします。単なる自己満足なのでしょうけどね(苦笑)。